墜落
小説書くのって難しいね
圧倒的な加速。一秒が無限にも引き延ばされる感覚。
あぁ、
今俺は……落ちている
地面との距離…残り20メートル……落ちる落ちる
地面との距離…残り10メートル…まだだ……
地面との距離…5メートル…いまだ!
翼に意識を集中する!瞬間、全身を脱力感が襲う。同時に感じる浮遊感……成功だ!!
直後、激突音とともに俺の意識は暗転した。
種族 子竜
名前 無し
レベル2
――――――
HP 5/30
MP0/10
筋力 G
魔力 H
俊敏性 G
スキル
悪為恩恵
……ぐっ!全身の激痛で目が醒める。
どうやら気を失っていたようだな。だが生きている。減速自体は成功したようだ。
だいぶ序盤で躓いてしまったが気を取り直していこう。
まずは水場と食料の確保、余裕があれば寝床だ。
巨木の周囲の森を探索する。俺は周囲の木に頭突きをかまし木ノ実にありついていた。
食料は問題ないな。まあ肉が食べたいという欲求があるが我慢できないほどではない。
さて、探索を続けよ「何者だ!」
……どうやら異世界で初の会話ができそうだ、襲う前に声をかけてくるということはある程度友好的な相手であろうと期待を込め、声をかけられた背後を振り返る。
背後には人間の子供くらいの背丈に緑の皮膚、毛皮でできた腰蓑を纏ったゴブリンがこちらに短剣を突きつけていた。驚いた、ゴブリンは会話ができるのか。
とりあえず友好的に話してみよう、なにより今の俺じゃあ勝てる気がしないし、ゴブリンといえば複数でいるのが常だろう。
「いや、俺は怪しいものではない。そのでかい木の上で生まれたばかりだ。もちろん君の敵でもない」
できる限り笑顔を浮かべながら話してみたがさて?
「生まれたばかりなのは見ればわかる、しかしお前は竜だろう?竜種自体珍しいし、何よりこの辺りで竜など見たことがない、親竜の産卵も巣作りも我らは見たことがない、忌々しい人族どもの罠かもしれぬ」
ううむ、警戒は解けないか。だが情報は手に入った。竜は希少であること、俺に親はいないこと、そしてゴブリンと人間は敵対している。
「その不安はもっともだな。だが俺はなぜここで生まれたのかは知らないし、親の顔も見たことはない。それに人間は俺にとっても敵だ、そのためにこの世界に生まれたと言ってもいい」
さて嘘はついてないぞ、どうくる?
「そうか…お前の話を信じるならばお前は世界の意思によって生み出されたものなのかもしれん、無論、ただのはぐれ竜の可能性もあるがな。」
世界の意思だと?詳しく話を聞く必要があるな。しかし今は…
「警戒しているところすまないが、水を飲ませてくれないか?もう限界なんだ」
ゴブリンはきょとんとした後に笑い出した
「ふっふっふ、なかなか豪胆なやつだな。いいだろう同じアクマのよしみだ、完全に信頼するまでは村にて監視させてもらうが水と食料は保証してやる」
「自分で言っといてなんだが、いいのか?」
「ああ、どうせ遅かれ早かれ人に滅ぼされる身だ。敵意のないはぐれ竜くらい養ってもいいだろう」
……懐が深いな。彼らがアクマでこの世界の悪か……少なくとも俺にとってはまぎれもない善だな。
「ありがとう、感謝するよ。よろしく頼む」
「いいさ。俺はガブラという。子竜よ、名は?」
名か、考えたことなかったな。前世の名前は思い出せないし、今考えるか。俺は世界のために悪を為す
「ダハーグ……ダハーグと呼んでくれ」
「いい名じゃあないか。水場に案内するぞダハーグ」
主人公の名前の由来はアジ・ダハーカから。
次話 邂逅