誕生
第1話で書き忘れましたが処女作です。
探り探りの連載となりますのでご意見等々どんどんとよろしくお願いします。
意識が覚醒する。
俺は転生したのか。
暗いな。周囲を探るか、感触がある、随分と硬いな。
俺が転生したのは竜種。つまりここは卵か?
いつまでもここにいても始まらない、取り敢えずは出よう。
内側から殴りつけてみるか。
力を込め手を突き出す、ペシペシと情けない音が殻の中に響き渡る。手ではだめだな。身体の硬い部分を探そう。
モゾモゾと身体の隅々までさわる。頭頂部に突起物を発見した、これは角か?ふむ、一番固そうだ、選択肢は頭突きだな。
首をを逸らせ、一気に前方へ押し出す! ピキ!と高い音が鳴った。効果的だな。しばらく繰り返してみるか。
何度か頭突きを繰り返したところ、暗闇に光が射す。殻に小さな穴が空いたようだ。もう一息だな。
更に何度か頭突きを繰り返し、遂に頭が殻を突き破った!
「おぉ…」
思わず声が漏れる。目の前に広がるのは圧倒的な空の青、そして眼下に広がる巨大な緑。前世では一度もみたことのない大いなる自然が俺を圧倒した。どうやら巨木に作られた巣で産まれたようだ。
しばし景色を見やり考えることをやめていた俺は、漸く身体を殻からだすことにした。
レベルが上がりました
ステータスが上昇します
頭に声が響く。レベル?ステータス?剣と魔法の世界とは聞いていたが本当にゲームのような世界なんだな。
ステータスを見せろと頭の中で念じる。
頭の中に文字列が浮かび出した。
種族 子竜
名前 無し
レベル2
――――――
HP 30/30
MP10/10
筋力 G
魔力 H
俊敏性 G
スキル
悪為恩恵
ステータスは低いな。レベルが2だから当然か、にしても殻を割るだけでレベルが上がるとは思わなかったな。たしかに重労働だったが。
にしてもこの不吉なスキルはなんだ?悪為恩恵だと?
悪為恩恵: 悪を為すことで経験値取得量増加
あぁ、神がいっていたな。特定条件下での経験値ボーナスをやると。やれやれ、二度も死にたくはないし、精々強くならねばと考えていたが、悪を為せか…。
この世界でいう悪とは恐らくだが人に仇なすことを指すものだと思うのだがやれるのか?元人間の俺に。
まあまだ人に会ってすらいないんだ考えすぎるのはよそう。
しかき親はどこにいるのだろうか。一晩待ってみるか。
腹が減った。親が現れる気配は一向にない。
この巨木から自力で旅立てということか。うちの親は放任主義のようだ。
どうやって降りるかな。高さは大体30メートルほどか。飛び降りるのは無理だな、怖い。
筋力も貧弱な今は木を下ることもできない。あれ?俺詰んでないか?
今の俺にできることを探そう。出来ること、出来ること、、頭突きぐらいしか思いつかない…!
頭突き…角…角?俺は希望を込めて背中を弄る。
あった!!薄い膜のような感触が一対!翼だ!ただ身体に対してやけに小さい気もするが些細なことだ。
そうと決まればやることは一つだ。俺は飛ぶ!
まず翼に意識を集中させる。お、動くぞ!ピコピコと擬音を発しそうな動きだ、飛べる気がしないな。
くそ!なんのために翼がついてるんだよ!飛べよ!
フワッ
その時ガクッと体から力が抜ける感覚があり、一瞬だけ俺の体が浮いた。今のは、魔力か?
ステータスを確認する
種族 子竜
名前 無し
レベル2
――――――
HP 30/30
MP9/10
筋力 G
魔力 H
俊敏性 G
スキル
悪為恩恵
魔力が、減っている。
なるほど、竜は魔力を消費することにより飛行ができるらしい。
さっきの感覚から考えると大体1の消費で0.5秒ほど滞空できるみたいだ。
つまり現在の最大滞空時間は5秒か。いけるな!
30メートルの高さを5秒で降りるには時速約21キロほどか、普通に危ないな。
ぶっつけ本番になるが着地の直前に飛行を発動して減速、この作戦でいこう。
魔力が回復する周期もわからない、なによりこのままでは餓死するのだ。万全の状態で試みるべし。