千川刑事の世界
人はいつか死ぬ。それは変わることのない運命。じゃあなんで、俺は今ここにいるんだ…。
朝、目が覚めると、魔法使いや魔物、神様や悪魔や天使、ロボットにドラゴンそんな現実ではありえないものたちが存在している場所にいた。
どうやらここは異世界、というやつのようだ。とりあえず僕は辺りを探索することにした。しばらく歩くとかわいい女の子がいた。木によりかかっていてすごく苦しそうだ。体にはいくつもの切り傷や打撲痕があり、服はボロボロだ。
「君、大丈夫?その怪我かなりひどいよ。今すぐ病院に行かないと!」
「大丈夫…もう少しマナが回復すれば魔法で治せる…から」
なるほど、この異世界にはそんな便利な技があるのか。後で習得しよう。
「…それより、あな…たは誰?かなり…変な格好…だけど…」
「この格好変なんだ…」
今の今まで気づかなかった。パーカーとスエットという組み合わせが変な格好だということに。
「それ…より、早くここか…ら離れたほう…がいい」
「離れるってこんなにボロボロの女の子を置いて行けるわけないだろ」
「だか…ら、私は大丈夫、もうそろそろマナも回復してきたから…」
そういうと彼女は呪文のようなものを唱えた。
「よし、これで少しはましね」
「すごい、魔法って初めて見たけどやっぱりこういう感じなんだな~」
「あなた、魔法を見たことないの?じゃあ今までどうやって生きてきたの?」
「どうって、普通に?あ、僕はこの世界の人間じゃないから」
そういった瞬間彼女はまた呪文を唱えた。突然、僕と彼女の間に巨大な火の玉が出現し、僕のほうに向かってきた。そして僕は炎に包まれて、死んだ。
目が覚めるとそこは
ここまで読んで俺はとりあえず正直に伝えた。
「これ、冒頭しか読んでねーけど、普通につまらんぞ。」
「な、なんだとこの野郎っっっ!!こ、殺してやる!!!」
「やっぱお前が犯人ってことでいいんだな。連れてけ」
相変わらずわめき暴れている男は警察に連れられ部屋を出て行った。
「ったく、こんなクソ小説馬鹿にされたからって、人殺すかね~」
「浅倉さん、口が悪いですよ。そんなんこと言ってたらいつか仕返しされますよ」
薄暗い取調室では相棒の千川が倒れたいすなどを直している。
「それと、取調室は禁煙です」
「わかってるよ、お前ほんと真面目だよな~」
「浅倉さんはもっと真面目になってくれないと困ります。いっつも怒られるの僕なんですからね」
「まあ怒られたほうが成長できるんじゃねーの?」
浅倉さんは僕の上司でいわゆる相棒というやつだ。口は悪いし、ヘビースモーカーだし、とことん不真面目だ。今回の事件だってほとんど車の中でタバコを吸いながら競馬を聞いているだけだった。なのになぜかあっさり犯人を逮捕してしまった。ほとんどの人は人としては終わってるけど、刑事としては最高だという。だが、浅倉さんがどうやって犯人を見つけ、逮捕に至るのか誰も理解できなかった。
「さあて、昼飯にするかな。千川、お前も行くか?」
「行きますけど、浅倉さんの奢りですよ。」
これが僕らの日常だ。刑事としては、優秀な、浅倉さんの秘密を必ず突き止めてやる。