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第5話 実戦

朝食を終え、森を抜けた先にある街に向かう為に二人は歩いていると礼治は自分のスキル【気配察知】が前方100メートル先で何かの気配を察知した。

礼治のスキルである【気配察知】は本来なら有効範囲は半径1キロなのだが、半径1キロだと余計な情報量が多く入って来るために礼治はわざとスキルの効果範囲を狭めていたのだ。


「この先に何かいるな」


(スキルの反応からして数は全部で九つ。なんとなくだげどこれは獣かな?)


この時礼治は無意識であったがこの先にあるスキルの反応対象が獣と理解できたのはスキルの隠れた恩恵であり、それを知るのはまだ先のことだった。


「礼治様。どうなさいますか?」


礼治の呟きに対しフールは指示を待つ。


「取り敢えず近くまで行って様子を見よう」


礼治はそう言って先に進み、フールはそれに従い礼治の後を追う。

それから数分後。反応に近づくにつれ二人は慎重に進み反応から僅か数メートル地点で木の陰に隠れてその先の様子を伺うとそこには茶色の毛を生やした狼が九匹おり、その中央には動物の死骸が二つ転がっていた。

どうやら狼たちは食事中のようでその転がっていた二つの死骸にそれぞれ群がって肉に食らいついていた。


「フール。今なら敵も油断しているし、最初は俺一人で行ってみるよ」


「礼治様。相手が雑魚とはいえ、戦闘未経験の礼治様ではいくらなんでも危険です。最初は私が魔法で敵の数を減らしますので、礼治様はその後をお願いします」


礼治は自分のチートなステータスで負けることは無いだろうと思い、そうフールに提案したものの、フールはそれを即座に却下し、代わりに別の案を提示した。


「じゃあお願いするよ」


「はい。それでは早速」


礼治はフールの意見は一理あると判断し、フールの案に乗った。そしてフールは自分の案が採用されると早速行動に移すために自分の両手を前に出し、狼たちの方に向けた。礼治も呪文を唱えて異空間から風の剣を取り出して構える。


「礼治様。準備はよろしいですか?」


「大丈夫だよフール。いつでもお願い」


「ではいきます。【風爆弾(ウインドボム)】」


フールが呪文を唱えるとピンポン球くらい小さい風の球が形成され、それが二つのうちの一つの死骸に群がる狼の中心に飛んでいき地面に着弾。すると同時に着弾地点を中心に直径1メートルの範囲で爆発と突風が起き、突風により砂煙が勢いよく舞った。

その後風が収まり、砂煙が晴れるとそこには狼の群れの内五匹が無数の切り傷と身体の一部を大きく凹ませ死んでいた。


「グルル⁈グルグルルル⁉︎」


突然の爆発と仲間の死に混乱を隠しきれない狼たちが慌ている隙に礼治は背後から近づきまずは近くにいた一匹の首を『風の剣』で切断した。

その時大量の血が吹き出して飛び散り、その血が礼治にかかってしまったが礼治は気にしなかった。

また仲間を一匹を失った狼たちだったが未だ姿を隠しているフールとは違い、仲間の首を目の前で切断した敵である礼治に残りの三匹が一斉に飛びかかった。しかし、それを礼治は全てアッサリと避けることができた。

何故なら狼たちは喉元しか狙ってこなかったので避けるのが簡単だったからだ。

そう暫く礼治は狼たちの攻撃を避けていると三匹のうち二匹が同時に飛びかかってきたので礼治は『風の剣』を横に傾けそして。


「【風斬撃(ウインドスラッシュ)】」


呪文を唱えると同時に『風の剣』を横向きに勢いよく振りかざして風の斬撃を放った。

威力は昨日の始めて魔法をしかも全魔力を使って放った斬撃に比べれば大したものではなかったが二匹の狼の胴体を切り裂き空中分解させるのには充分の威力だった。しかし、ここで一瞬気を抜いてしまった礼治は残り一匹となった狼の攻撃に反応が遅れてしまった。

礼治はギリギリのところで狼の攻撃を避けたものの左頬に狼の前足から生えていた爪が擦ってしまい小さい切り傷がついた。

礼治はすぐさま態勢を立て直し攻撃の準備をしたその時だった。


<ブチッ>


突然変な音が聞こえ、それとほぼ同時に礼治と対峙していた狼が真横に吹っ飛んでいった。

礼治は吹っ飛んだ狼とは真逆の方向に急いで振り向くと、そこにはドス黒いオーラを放つフールがいた。

フールの攻撃はこれで終わらず、フールが扱う攻撃用の風魔法全てを連発し続けた。


「よくも、礼治様の整ったお顔に傷を!許さない許さない許さない許さない‼︎死ぬだけではなくその身体全てをこの世から消し去り後悔させて頂きます‼︎‼︎死ね‼︎‼︎‼︎」


フールの怒った瞬間を初めて見た礼治はただ顔を引きつらせてそれが収まるまで待つしかなかったのだった。

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