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194話 試験官の秘密

突然テッシィさんの様子が変わった。


「ミレオン緊急事態!私は先に行くから任せたウサ。」


そう告げると森の奥に消えていく。


「あれはいったい?」


皆が同様の疑問を感じていて、リリアの呟きに対してのミレオンさんの答えを待っている。


「取り敢えず、テッシィを追いながら説明してもいいですか?」


僕らはミレオンさんの提案に従い、森を移動しながら説明を聞く。


「…………何処から話しましょうかね。……………実は今回は私達レギオン【先読みの瞳】が今回の試験官をギルドから依頼されたのには、二つの理由があるんです。一つは私達のレギオンが護衛メインのレギオンであること。私達はそれぞれが特有の索敵能力を持っていて、魔物や盗賊より先に存在に気付き戦闘を避けると言うスタイルの護衛をしています。レギオンマスターのフイルさんは[魔力探知]による索敵能力、テッシィは[聴覚強化]と[俊足]を生かした偵察による索敵、私は[遠視]と様々な事を学んで覚えた知識による相手の行動予測、今はいませんが他の仲間もそれぞれが特化した索敵能力があり、もし大樹海で未知の脅威に遭遇した際に、戦闘になる前に逃走できるようにと言うことでした。」


護衛メインのレギオンで名前は【先読みの瞳】か。名前通りだな。

索敵能力の持ち主ばかりと言うのも、護衛クエストには理にかなっている。

護衛の仕事は敵を倒すことじゃなく、対象を守ること。それなら戦闘と言う行為に一定のリスクが生じる以上、それを回避できる索敵能力と言うのは最も大事かもしれない。

そして、まだ実力に不安の残るDランクの試験官には適切な人選だろう。


「そしてもう一つは、テッシィの存在です。」


ミレオンさんの言葉にヘンリーさんが疑問の声を上げる。


「そいつはどう言うことだ?……アイツは確かに戦いにおいて天才だ。だが、冒険者Bランクに到達する人間はほぼ全てが何かしらの才能を持った人間。言ったら悪いがテッシィちゃんの代わりの存在は幾らでも要るだろう?」


うーん。

冒険者の常識みたいなところは、僕にはよく分からないがベテランのヘンリーさんが言うならそうなんだろう。


「確かにテッシィの冒険者としての技能はBランクの中で見れば,特別抜き出たようなものではないです。ですから冒険者ギルドがテッシィを見出だした理由はそれ以外の所です。」


「それ以外…………!つまりはテッシィちゃんの種族か!」


「はい。つまりはギルドの懸念は獣人族との遭遇を最も危険視していたんです。獣人族の人々は強さのみで言えば、僕らに勝てるほどではありませんが、獣人族全体と敵対してしまうような事態になれば私達は生きて帰れません。それどころかガレンディアに獣人族が攻めてくるリスクもあります。特に今の獣人族は大樹海の反対側のセレン聖教国と戦争かなりの犠牲者が出ていて気が立ってますから。なので、もしもの時のために私達のメンツの中に獣人族を入れたかったと言うのがギルドの狙いです。」


「なるほど、そう言うことですか…………。大樹海の獣人族は仲間意識が強いと言いますからね。同族であるテッシィさんが、対話を求めていれば戦闘になるような事態はさせられるかもしれませんね。そして、さっき彼女が森の奥に走っていったということは、つまり…………。」


「はい。恐らくフイルさんの方で獣人族と接触したんでしょう。もしもの時にテッシィの耳にしか聞こえない周波数の音を出して合図することになってましたから………、恐らくその音が聞こえたんだと思います。」


僕らの会話も終わり静かになる。

[魔力視]を使用したまま森を移動し続けているが、まだフイルミナさんともテッシィさんとも合流出来てない。

するとヒスイが話し掛けてきた。


「ねぇ輝夜、気付いてる?」


「まあな。」


[魔力視]を使いながら走っているが、時々魔物以外の生き物の魔力が見える。

周りに目を配らせるとリリア・ニキスは明確的に気付いている様子で、ミレオンさん・ビルさん・ヘンリーさんは何かしらの違和感を感じていて、回りを警戒している。エミリアさんはそんな周囲の雰囲気を察して、心構えをしているとった感じだ。


やば!

木々の隙間から現れたのは獣人族の女。

そして、そのまま先頭を走っていたミレオンさんに切りかかった。




今回は若干難産で4時間も掛かりました。


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