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176話 Gランク依頼

「おはようございます。昨日は随分遅い帰りだったみたいですね。もしかして~♪あれですか!」


「………その手は止めなよ。」


朝っぱらから宿娘が右手で丸を作り、左手の人差し指をその中の差し抜きしている。


「あれ?白髪のお客様は?………あ!すいませんそうゆうことですか!!」


「違うって!ただの酒の飲み過ぎで寝てるだけ。」


あ………出来ればラズリとニキスを外に出してやりたいがこの宿はどうなんだろうか?

ずっと[アイテムボックス]のじゃ気が滅入るだろうしな。


「ここってペット可ですか?」


「?………それは獣人族の愛人連れ込みオッケーか?って意味の隠語ですか?」


この娘の頭の中は、常に思春期なんだろうか?


「そうじゃなくて、[ティム]された魔物なんだけど………。」


「…………大きさと種類によりますねぇ。他のお客様の迷惑にならなければ良いんですが…………。」


「コイツらなんですが………」


[アイテムボックス]よりラズリとニキスを出す。

ニキスに関しては獣人族として[擬人化]した状態で過ごしてもらう選択肢もあったんだけど、ここはあまり人間と関わりを持とうとしない獣人部族が住まう大樹海の近くなので、獣人族よりは魔物のペットの方がいいという結論になった。


「うわぁ~♪ずいぶん可愛い子達じゃないですかぁ!この子達なら汚れないでしょうし問題ないですよ!」


ラズリが奪い取られムニムニされている。

年相応の反応も出来るんだ……………。


話をしていると見慣れた白髪の女の人が宿屋の二階から降りてくる。


「………美月様…………昨日は………その………………。」


あー、記憶はあるんですね。

リリアは顔を真っ赤しながら何やらボソボソ言いかけ、耐えきれないように食堂に消えていった。


「美月さん………いったい何をしたんですか?」


「輝夜あんたまさか!?」


「い、いや!疚しいことはなにもしてないよ。」


僕にそんな度胸はないし、泥酔している間に…ってのもね………倫理的に………。


気まずい感じで食事を終えるとギルドに向かう。

まずはラズリとニキスの首輪、そのあとは冒険者ランク上げかな。

ランクを上げれば、それなりの権限も手にはいるみたいだし。


「あ、おはようございます。昨日ぶりですね…………始めましての方もおられるようですが…………今日はクエストですか?」


この人は昨日夜勤で途中から出てきていたアリスさんだ。


「はい。今日は早速クエストをさせていただこうかと。」


「はい早速!………と言いたいところではあるんですが………。」


「Gランク冒険者となると新米中の新米なのですよ………べ、別に皆さんが信用出来ないと言うわけではないのですよ!?…………ですが、Gランク冒険者への依頼というのは失敗することが前提で依頼するものなので、今は依頼が………数日あれば準備できるんですが………。」


リリア曰くGランク冒険者というのは信頼の無い冒険者で、もし依頼を失敗しても補填はないし、冒険者ギルドはまだ信用に足る人間と認めてない証らしい。

Gランク冒険者としてある程度実績を作り初めて冒険者としての信用を得るとFランク冒険者になれるようだ。

するとリリアがアリスさんに話しかける。


「確かギルドはいつ新入り冒険者が来ても良いようにギルドが依頼人としてGランク依頼を持っているものではなかったのですか?」


「なっ!何故それを!?」


成る程ね。

滅多に無いGランクの依頼が来るのを待たせる訳にはいかないからと、ギルドから依頼を出すわけか。

だが、何故その依頼がないのだろう?


「………実は4日前に別の新入り冒険者の方が来られていまして………その方々が…………。」


成る程タイミングが悪かった訳か。


「今日からクエストを達成しに行くそうなので、もしよろしければ一緒に出来るが聞いてみましょうか?相手が承諾してくれるか分かりませんし、報酬はちょっと減るかもしれませんが………」


「どうしますか美月様………?」


「相手さえ問題なければ、一緒にやりたいかな?……因みにクエスト内容は?」


「薬草の納品です。新入りさんにはお伝えしておきますので、少しここで待ってて貰っても良いですか?」

前にお話ししていた悪役令嬢物完成しました。

土曜日の昼くらいに投稿する予定です。

題名は「フェテシアお嬢様はディル様の婚約者」という作品です。

暇ならで良いので!何卒よろしくお願いします。

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