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156話 やっぱり



「島に残れってのは、なんでなんだ?」


《いかに余達の種族が強かろうと幼少期は極めて脆弱なのだ。我が子のために食糧を獲るときも、子を狙う外敵と闘うときも、側に居させていないと他の敵に襲われるリスクがある。……実際に今までも大切な子を何度か失う悲しみを味わったものだ…………。その点、お主らが居れば、余も安心して子を育てられるというものだ。》


よくよくレヴィアタンの周りに目を凝らすと、その巨大な体の後ろに2m程の小さな小龍が、隠れるようにくっついている。

いくら親が強かろうと赤子は、無力だ。

とはいえ疑問は残る。


「だが、僕らが貴女の子を害するかもしれませんよ?それに貴女は世界樹を傷付ける可能性があるとして、この島に人を入れたくないと言っていましたが?」


《それはそこの精霊を見ていれば分かるというものだ。精霊という種族は、想いから生まれるという性質上、悪意に対しては敏感だ。その精霊がお主らと共に生活し、共に島を出ようとしているのならそれは全面的な信頼の証、その様な人間なら、世界樹を傷付けるようなことはしないだろうし、それなりには信用できる。》


「全面的に信頼って!そ、そんなこと無いわよ。」


ヒスイの方を見ると、俯きながらそう答える。

初めから僕以外も含め全員を信頼しててくれたわけか。


つまり、レヴィアタンの子供が育つまでは、僕達がせっせとご飯を集めて、外敵を倒し、レヴィアタン(……そろそろ分かり辛くなってきたから、以降は名前のレディアと呼ぶことにしよう。)は安全に子育てをするということか。

レディアが子供の側に居れば、仮に僕らに襲われても、ある程度子供の死というリスクは減らせる。

そして、僕らがこの島を出ないから他の人間に世界樹の存在を知られる心配もない。

だから僕らにこの島に居てほしいということか。


《それに今から闘うなら万が一加減を間違って精霊を殺してしまうかもしれんしの。》


レディアは何故ヒスイの事を気にかけるんだ?

ヒスイに死なれるとなにか困るのか?

僕の表情から疑問を読み取ったのだろうか?レディアが疑問に答えるように話し出す。


《500年前にも外に出ようとしている精霊がおったのでな。今と同じく島に残るよう言ったが、言うことを聞かないから仕方なく滅ぼしたのだが、世界樹は新たに妖精を産み出すために膨大な魔力(マナ)を使ったらしく、この500年は実に魔力が乏しかった。そこの精霊が、妖精から精霊になってようやく以前と同じくらいの魔力に戻ったが、ここでもう一度精霊を殺すのは世界樹にとって負担になるだろうからな。》


なるほどな。

その二つの理由があって島に残れと言うわけか。


「まあ、貴女としてのメリットに関しては理解できた。だけど、それには貴女のメリットしかない。僕らがなんで貴女の為にせっせと仕事をしないといけないんだ?」


《………はぁ………お主らは自分がどれ程人間の中で、異端な存在であるか理解しておるのか?人は自分とは違うものを嫌う。

突如、島に現れたお主らを危険視して、海の中から様子を伺っておったが、鬼の娘は元々人間だったようだな。今更人の世に戻ったところで、まともな生活が出来るとでも思っておるのか?そっちの猫やスライムそして……精霊も同じよ。所詮、人の世界は人が暮らしやすいものに過ぎない。お主らには息苦しい世界だ。》


確かに、人は自分とは違うものを否定しがちだ。

元の世界にも、人種差別なんてものもあったぐらいだしな。

だが、だからと言って全ての人間と分かり合えないというほどではないと思うが?

事実、エミリアさんは人族だが、魔族であるリリアと仲良く出来ている訳だし………。

それにいざとなれば、皆が[遮蔽]を使って人間として生きていけば良いしな。


「僕はそうとは思わないけどな。まあ、仮にそうだとしても、別にこの島以外の全ての地が人の住む場所じゃないだろ?」


《それに寿命の問題があるであろう?小僧やピンク頭は80年、鬼の娘は300年といったところかの?であるがそれに対して、猫やスライム、精霊はとてつもなく寿命が長い。特に精霊は寿命という概念がないし、魔物にしたって上位種になれば最低でも2000年は生きる。小僧が死んだ後はどうする?保護者も無しに人でないお主らは人の社会を生きてゆけるのか?その点この島であれば、そのような心配はない。周りは魔物ばかりであるし、余もおるのでな。》


そうか………寿命の問題もあったのか………。

ラズリやニキスは僕が居なくなってもしっかり生きていけるだろうか?

一番寿命が近いリリアでも200年も差があるのか………。

もしかしたら、レディアの言う通りニキスやラズリ、そしてヒスイの為にもこの島に残った方が良いだろうか?

不安な気持ちにかられ三人の方を見るとニキスが、こっちを見つめて言った。


「ニキスはマスターと色んな所に行って色んな事したいです。寿命の事とか、マスターが居なくなった後の事とかは、今はまだ解らないないですけど、私は別に後悔しないと思います。マスターには、向こうに戻ってやらないといけないことがあるんですよね?」


「私も後悔はしないわ。私も輝夜と一緒にこの世界の色んな所を見てみたいしね。輝夜が死んだあとの事はその時の私が考えるわよ。輝夜が気にすることじゃないわ。」


ニキスとヒスイが言う。

ラズリは言葉を話せないが、「当然!」と言うかのような態度。


「って言うことで、どうやらこっちの意思は纏まった。貴女には悪いが島を出させてもらおう。」


《交渉決裂か………では、申し訳ないが、お主らには死んでもらうしかあるまい。》

遅れてすいません。

サボってました……。

やる気高めていきます………。

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