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144話 強者

「じゃあマスター行ってきます。」


「ムギュ!」


「エミリアさん。二人の事をよろしくお願いしますね。」


「えぇ、まあお役に立てるかどうかは分かりませんが、頑張らせてもらいます。」


そう言って、三人は森の中に消えていく。

その場に残ったのは僕とヒスイ。

リリアも朝早くから、素材探しに行ってしまった。


「ヒスイはどうするんだ?」


「どうって言われてもねぇ………。今さらこの島で私がしたいことなんて無いし、輝夜に着いていこうかな。」


まあ、そりゃそうか……、500年間もたった一人でこの島に居たんだもんな。

うーん。だけど僕も特別この島でしたいことは……無いかなぁ。

リリアみたいに武器の素材集めでもいいけど、格闘系スキルをメインに使う僕が、武器を使うとすれば、メリケンサックとかか?

それこそ微妙だなぁ。

格闘技を使う上でのメリットである武器が必要ないというアドバンテージを捨ててまで使いたいとは思えない。

[鉄装撃]のスキルさえ有れば、武器は必要ないし……。

………あっ。そういえば一つだけ気になることがあったな。


「ヒスイ、一つだけ聞いていいか?レヴィアタンってのは今、何処に居るんだ?」


「ん?………島の東側の近海だと思うけど、何でそんなことを聞くの?」


「エミリアさん曰く、この島に居るレヴィアタンは、この世界でも頂点に近い強さを持ってるらしいじゃないか。その頂を少し拝んでみたいと思ってね。」


「ちょっ!そんな気楽に考えてたら死ぬわよ?」


「気楽には考えてないさ。リリアによると僕達の強さは冒険者ランクで言うところのSSランク程度はあるだろうってことみたいだ。つまりSSSランクのレヴィアタンとの差は圧倒的って程じゃない。確かに相手は格上だと思うけど、逃げに徹してさえいれば、死ぬことはないと思う。」


こっちだって、最強って程ではないが、世界有数の実力者なはずだ。

それに、この世界で最強クラスの存在のステータスを拝んでおくことは、これからの行動方針を決める上でかなり重要な情報になり得るからな。


「そりゃ、幾らなんでも瞬殺されるってことは無いだろうけどさぁ」


渋っているヒスイを無理矢理納得させ、島の東側に向かう。

行くまでにある程度情報を仕入れておきたいな。


「で、具体的にレヴィアタンはどんな攻撃をしてくる魔物なんだ?」


「うーん………あくまで私も、先代の記憶を介して知っているだけで、直接見たことはないしなぁ………。メインは水を使った水流操作の攻撃で、特に強いのは水を圧縮して噴射してくる攻撃。直線上の全ての物質を貫くとっても危ない攻撃だよ。」


「基本的に、水魔物のセオリー通りな攻撃パターンなのかな?特殊な攻撃方法を持ってて強いというよりは、単純に強い!ってことか。」


それなら強さを計りやすくて良いなぁ。

そんな話をしていたら森を抜け島の東側の海岸に出た。


「あー、そういえばこっち側は岩礁地帯になってたっけ?」


海岸は岩礁地帯になっており、陸からちょっとでも離れたところには、青くて暗い海が広がっている。

さてさて早速[魔力視]っと。


「うぉ……確かに海の中からあり得ない程、濃密な魔力を感じるな。遠すぎて具体的にどの辺に居るかは分からないけど。」


予想よりかなりの魔力を感じる。

流石に僕よりも最大MPが高いってことはないと思うけど………多分……。


「出来れば、相手の姿を見たかったけど、海中に居るんじゃ、仕方ない。この魔力を見ただけで我慢するか。」


流石に海の魔物相手に、水中に潜って見に行くなんて、そんな自殺行為はしたくない。

そう思い、海に背を向け、踵を返そうとすると海の中の魔力が突如膨れ上がった。


「ヤバイ!多分なんかくる!」


「っ![プラントコントロール]!!」


ヒスイが植物を操り、瞬時に壁を作る。

その瞬間、水中からレーザーの様に水が噴出される。

彼はヒスイの壁だけでは無理か!?

ポケットから鉄の球を取り出す。


<[鉄装撃][火撃]>


鉄の球は液体化して、僕の腕を包み込むように形を変えてる。

[鉄装擊]は、僕が刃物を持った人との対人戦を想定して作ったオリジナルの魔法だ。

格闘術は剣士等の刃物を使う相手に対して、防御をすることが難しい。

防御をする方法と言えば、せいぜい刃物の側面を殴り付けるぐらいだ。あとは、躱すことでしか相手の攻撃をいなせない。

そこで金属で身を守りつつ、攻撃力を高める方法として編み出したのが、この[鉄装擊]だ。


水のレーザーはヒスイの壁を貫通する。


<[波擊]>


僕は、そのレーザーに対して拳をぶつける。

一瞬拮抗したものの水のレーザーは二つに割れて、弾き飛ばす。

相手の攻撃が終わるとすぐに、隣に居たヒスイを担ぎ上げる。


「キャッ!ちょっと!何触って!」


そのまま、次の第二波が来る前に森の中に走り戻った。




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