135話 閑話 沙耶#1
書き忘れていた閑話です。
美月君とリリアが[帰還の札]で逃げた翌日の話です
「おはよ。」
朝、食堂に向かうと夏蓮が声を掛けてきた。
?夏蓮の様子がいつもと違うような?
「おはよう?どうかしたの?」
「美月君が居ないから………大丈夫かな?って…………。」
そういえば、今日は見てないわね?
でも、昨日の帰り道で一緒に訓練しようって結構前向きに話したけど、やっぱりまだ勇義君に負けた事を引き摺ってるのかな。
「美月は強い人なのは貴女が一番知ってるでしょ。問題無いわよ。」
「そ、そうだよね……そうだと良いんだけど………。」
夏蓮は、美月の為だとはいえ、結果として美月を突き放した訳だから、嫌われたんじゃないかと心配してるのかも?
話を変えないと!
「それより、昨日の帰りはどうだったの?同じ馬車だったんでしょ?」
「?………何の事?」
ヤバイ……昨日の事なのにもう忘れられてるんだ…。
夏蓮にとって勇義は眼中に無さすぎるみたいだよ…………。
★美月★>>>>それ以外の全て、なのかも?
「ほ、ほら、勇義君の事よ。昨日別れたあと一緒の馬車で戻って来たんでしょ?」
「…………!……そういえば、馬車に乗ってた時にやけに周りが五月蝿かったような気が………。思い返せば勇義君の声だったかも………?」
もっと悪かった!
忘れるどころか、聞いてすらなかったの!?
ま、この分だと酷いことされた訳じゃなさそうだから、一安心ね。
朝食が終わった。
結局、美月も来なかった…………。
「ちょっと私、美月の部屋に行ってくるね。」
「あっ、私も行くよ。」
あれ?
食堂に人が入ってきた。
あれはメイドのリーダーの人かな?
「お食事終わってすぐのところすいません。国王様がお呼びです。準備お願いします。」
「なんだろう?でも、美月の部屋に行くのは後だね。」
メイドさんに連れられて王の間に行く。
夏蓮は不満そうだけど、さすがに王様の呼び出しに逆らうわけにはいかないしね。
「あっ!すいません。美月輝夜って子が体調不良なのか朝からいなくて、呼んできましょうか?」
「?……あー、別に構いません。その子はこちらで呼んで呼んでおきましょう。それよりそろそろ到着します。」
王の間の前には衛兵が居て、そこを通ると奥に王様が座っている。
「来てもらって早速だが、要件を伝えよう。」
ちょっと場内が緊張感に溢れてる気がする。
何が、とは言え無いけど、前に来たときと空気が違うような。
「我が娘であるエミリアが昨日から行方がわからなくなっている。そして同じく昨日、君たちの仲間である美月輝夜が城内で、側付きにしていたメイドを生け贄に何らかの危険生物を召喚したようだ。」
え………と?
どうゆうこと?
メイドの命を引き換えに美月が何かいけない儀式をしたってこと?
「城内で大きな魔力反応を検知した魔法師団長が、現場に行ったが消息不明だが、未知の敵の魔力反応は城内から消滅した。恐らくは召喚魔法の効果が切れたのか、魔法師団長が刺し違えたのか、どちらかは分からないが一先ずは脅威は去ったと考えておる」
国王の話は続くがそんなこと美月がやったとは思えない………落ち込んでいたとは言え、私と強くなるって約束をしたのだ。
彼は優しい人。
それなのに、よりにもよって彼がメイドを犠牲にして強さを求めるなんてあり得ない。
そういえば、美月君はどうなったのかまだこの国王は言ってない!
まさか!?
「そして、お主らの同胞である美月輝夜は死体で発見された。」
え………。
今回は、敢えて沙耶さん目線で描いてみました。
あと1,2話ほど書く予定です。




