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116話 閑話 シェシリー#5

目が覚めるとそこは海岸線沿いの森の中でした。

体を起こそうとすると脇腹が物凄い痛み、自分が怪我をしていることを思い出した。

自分の体を見ると見たことの無いローブが体に掛けてある。

森の色合いによく馴染み私の体を周りから見えないようにしているようですね。

美月様が掛けて下さったのでしょうか?


しかし、確か私は城の中で美月様に別れの言葉と感謝の気持ちを伝えて気絶したような気がしますが………………?

美月様は何らかの方法で逃げ切ったのでしょうか?

ですが、まだ私の怪我が治っておらず、私のHPの減り具合から考えると城から遠くの場所とは考えずらいですが………。

このような場所が城の近くにあったでしょうか?

ガイドミル城は内陸にあるのですが………………。


ガサガサ


物音が聞こえてそっちに視線を向けると美月様の顔がありました。

その瞬間私は物凄い安心感を覚えました。

それと同時に、全く状況が分からない状況でも美月様の姿を見るだけで安心してしまった自分に私は困惑してしまいました。

ただ、その疑問より今の状況を知ることの方が重要でしょう。


「ここは?何処なんでしょうか?」


「それはですね・・・」


美月様は私に丁寧に説明してくださいました。

まさかあのあと私を見捨てることなく、足手まといでしかない私を連れ出して下さるなんて………………なんて優しい方なのでしょう。

しかも帰還の札ですか………その発想は思い浮かびませんでした。


「なるほど帰還の札ですか…………。それは盲点でした。ですが、ワープが失敗して良かったかもしれませんよ。」


「え?なんでですか?」


「帰還の札のワープ先は部屋になっていて、名前など様々な事柄を確認するようになっているので、最悪の場合捕まってしまってたかもしれません。」


はるか昔にその方法を使って盗賊団が町に侵入して誘拐をする事件が発生したこともありますし、戦争の際に敵国を混乱させる為の部隊を送ることに使われたことがあります。

ダンジョンが有る都市にとってもかなりの弱点になります。

しかし、それに対して冒険者から見るともしもの際に自分の命を救う絶対的なアイテムになりますし、ダンジョンからドロップする以上規制する方法も難しい。

以上の理由でワープ先には部屋を設置して常に衛兵がその者の余罪や所属先を確認することになったのです。


「それで、リリアさんの怪我を治すあてなんですが………………。」


美月様は言いずらいように話し出します。

治す方法なんて有るのでしょうか?


「そんなものあるのですか?近くに人の気配は無さそうですが………………。」


「そのぉー言いづらいんですが、僕は幾つかスキルにを[高位遮蔽]で隠してまして、そのうちの幾つかのスキルを使えば助かる可能性が有るって言う感じなんですが………………。」


まあ、美月様には何か強さの秘密が有ることは分かっていました。

ですが、分かっていながらもその真相を探らないように気を付けていました。

私が知ってしまえば、何らかの精神系魔法を受けた際にバラしてしまう可能性がありましたから………………。

幾らなんでもあのステータスで私の修行で彼処まで着いてくることは出来ないでしょうし、実戦経験は少ないものの炎の大精霊の加護を持った勇者に優位に戦ったり出来ないでしょう。

ですが、隠していたスキルですか………気になりますね。


「なるほど、いくらなんでもステータスの割には強すぎると思ってました。それでそのスキルと方法っていうのは?」


「僕が[高位遮蔽]で隠してるスキルの中にティムされた生き物に再生能力を与えることが出来るスキルがあるんです。そこでリリアさんには魔物になってもらい僕にティムされてもらいたいのです。」


テ、ティム!?

それはつまり美月様の所有物になり、永遠に尽くすってことですか………悪くありませんねぇ。むしろ嬉しいような?

そもそも元々生き甲斐も無い死んだような生活を送っていましたし、自分の大切に思う人に仕えるっていうのも楽しいかもしれません。

ただ気になるのは魔物になるっていうことですかね?

古今東西様々な人間が魔物について研究をしていますが、人間を魔物にするなんて実験のまともな成功事例は聞いたことありませんが?

いずれも魔物の成り損ないが限界だったとか聞きましたね。


「魔物になるですか………………。でも、そんな方法が?」


「オーガの血丸薬というアイテムを持ってまして、こいつは使いすぎると副作用で魔物化して死んでしまう効果があります。そこで僕が持っているスキルの[アイテム創造]を使いたいと思います。幾つかのアイテムを合成し新なアイテムを造れるスキルなんですが、副作用で死ぬって所を無くして、純粋に魔物になるっていうアイテムに変えることが出来るんじゃないかと思いまして。」


ふむ。

アイテムを合成して新たなアイテムを造るスキル。

そんなスキルが有るなら隠すのは当然ですね。

確かそんなスキルが有るのならば私を救うことは可能です。

ならば美月様にやってもらうとしよう。


「なるほど分かりました。それで構いません。」


「そ、即答ですね。魔物になるんですよ?嫌じゃないんですか?」


即答………?

なるほど、確かおかしいのかもしれないですね。

普通なら命の危険があるなら躊躇うことがあって当然かもしれないです。

しかし、私は生きる理由を見せて頂き、城で逃げることも出来ずに死ぬところだった私を救って下さいました。


「嫌じゃないかと聴かれると正直どんな風になるか分からないですし、嫌です。でも、ほんとは私の命は城で殺されて終わってた命です。その命を私を救おうと頑張ってくださっている美月様に託すことに抵抗はありません。」


「じゃ、その方針でいきますよ。」


そう言った美月様はアイテムボックスから2つのアイテムを取り出しました。


!?

ジェネラルオーガ!!

一般的にジェネラルオーガクラスの魔物のレベルとなれば最低でもレベル40は下らないでしょう。

幾ら美月様に隠している力が有ろうとも、実力差は圧倒的。

命を掛けて戦ってやっと勝ち目がでるっていうくらいの難易度でしょう。

………………そんな命まで掛けて私の為にアイテムを作ろうとしてくださるなんて………。

何か胸が苦しくなってくるっ!美月様の顔を見るのが辛い。

美月様と生活し始めてから何度かありましたが最近は頻度が増えてきたような気がしますが…………。


美月様はジェネラルオーガとオーガの血丸薬の2つを並べるとスキルを行使する。


「[アイテム創造]!」


するとオーガの血丸薬とジェネラルオーガの素材は、それぞれ眩い光になって、融合する。

出来上がったのは赤い液体の入った小瓶………ですかね?


美月様は数秒間、謎の小瓶を見つめると膝を落として地面に倒れこみました。


「美月様!?」


心配になった私は美月様の元に駆け付けようとしましたが脇腹が痛みで立つことができません。

美月様は此方を見て目線に私を捉えると私を安心させるように、それでいて申し訳なさを含むように言いました。


「いえ、僕はなんともないのですが………………。[アイテム創造]で創ったこのアイテムを[高位鑑定]したんで思った効果を得ることが出来なかったので………………。」


そうですか………思い通りの効果は得られなかったのですね………。


「そうですか……………えっ!?[高位鑑定]ですか?美月様は[高位鑑定]も習得してらっしゃるので?」


今、[高位鑑定]とおっしゃいましたか!?

それってつまり………………。


恋愛関係の心の機敏は難しいなぁ。

私自身が恋愛をしてないからなぁ。

一応リリアさんはまだ自分が美月君の事を好きなことには気付いてません。(好きではないとは言ってない。)


あっ!

前回は様々な意見をありがとうございます。

閑話をやっている間は意見を募集してますのでドシドシ意見を下さい。

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