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魔蟲の迷宮で俺は生きる  作者: 十夢 創也
支配者は君臨す
9/12

後半ややシリアスです

さて、睡眠もとったことだし今日は素材集めをするか。ゴーレム団を半分に分け(団長ゴーレムはお留守番兼家の拡張作業)地上に出る、その後護衛に5体ほど残し、そうでない物は素材採取に行かせた。自分は何をするかというと、付近の探索である。一昨日よりも広い範囲を捜索してみる。体力、魔力、加えてゴーレムという戦力があるからちょっとくらい遠出してもいいだろう。決してこの森に挑戦し敗れ去った冒険者から装備を拝借したり、貴重な薬草をもって帰ったりとかは考えてなんていない。ただ偶然見つけたから、使えるから持ち帰るんだ。うん、悪くなんか無い。


3時間後、そこには山の様な荷物があった。具体的に言えば両手一杯に土産おたからを抱えたゴーレムと俺のことである。いやあ、思ってたよりいい物がごろごろ落ちてた。当然だな、こんな狂った森に入る命知らずの奴等はもちのろんで高価な装備をしている。火竜の逆鱗より作られた剣、ミスリルのダガー、風を操るグリフォンの羽毛のローブ、貴重な薬草を使ったポーション等、少し遠出しただけでこれだ。この森全体だったらどれだけのお宝が落ちているのだろう。


両手に土産おたからを抱えながらちゃっちゃっと家に戻る。おっとっと。手から零れ落ちそうになるほどの収穫だ。落としちまったらもったいない。そうやって急ぎ足で茂みに偽装した家の入り口が見えてきた。入り口を開けてゴーレムを先に入らせ自分はその隙間に滑り込む。


「やあ、ただいま。」


すると目の前に団長ゴーレムが出てきたので定番の挨拶を掛けた。礼をしながら団長ゴーレムは喋る。


「オカエリナサイマセ。ドウデシタカ?ソトハ?」


「ああ、なかなか良い物が転がってた。薬草や食える木の実が生る木の枝も持ってきて、生物が増えてもいい様にしたから、いよいよお望みのホムンクルスが創れるぞ。」


「ホントウデスカ!ソレハイッタイイツデスカ!?」


興奮した様子で喋るゴーレムと歳不相応な戦闘力を持つやばいガキ。傍から見たら相当シュールな絵だな。そんな事を考えながら俺は先ほどの質問の返事をする。


「ああ、いや、フラスコとか、試験管とか、あと諸々の道具が必要だ。今回集めた材料は家の改造用。時期が来たら創る。」


「ナゼイマスグツクラナイノデスカ?」


心の底から理解できないという顔(多分)をしながら聞いてくる元騎士団長トーシロに説明を聞かせる。俺ってば優しいなあ。


「その作業を行うのに莫大なエネルギーと豊富な魔力それと、いい魔術師の血が必要なんだよ。1体最低3日。下手したら数年かかるなんて当たり前だ。」


説明してもあんまり分かってない様子なので、補足を追加してやる。この世界にはまだDNAすら発見されてないし、命そのものを創り出すホムンクルス生成なんて誰も思いつかないだろうな。


「まず、素体だな。そこらへんのやつじゃダメだ。とびきり良質な魔力じゃないと種すら創れない。下手こくとその種になるはずだったやつに自分が食い殺される。これが第一の関門。」


少しどころか完全に言葉を失ってしまったゴーレムを尻目に説明の補足を続ける。


「次に時間。俺のいた所では、だいたい17ヶ月と10日かかる。最低その位は覚悟しろ。条件によってはその数倍の時間がかかることもある。」


やや目つきを険しくしてそう言い放つ。実際面倒なのはたしかだからな。おまけに器具を壊されたらパーだ。それをやられたら最後、俺はやったやつの血族を皆殺しにする。そのくらいツライ待ち作業だ。


「最後に器具。これが肝だ。これが壊されれば、いや、目に見えない位ちっちゃいヒビ入れられただけで中にいる人工生命体ホムンクルスはお陀仏だ。デリケートで壊れやすく、おまけに足を引っ張る代物だが、もし成功したらとんでもないモノに化ける。」


「イッタイナニニバケルノデスカ?」


恐る恐るといった感じで聞いてくる団長ゴーレム。よく見ればその体はかすかに震えている。そんつに対して俺は前世じゃ知ってて当たりオカルト、ここだと間違いなく禁忌の部類に入る実験モノゴトの結末をバラした。









「この世の全てを知った、綺麗な双子の、知識のバケモノだよ。」


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