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少し短いですがこの後本編に入ります(ながらくお待たせいたしました)
あ~痛ててて。やや鈍めの痛みと共におれは目が覚めた。あれたしか俺は床に頭を打って、それから意識が途絶えてそれから・・・・此処何処だ?もう一回死ぬなんて洒落にならんぞ。首を動かしてみれば近くにはさっき産まれたときにいた使用人の姿があった。よかった~、2度あることは3度あるというが、死んで生き返る経験は2回だけで十分。
起きたばかりでだから、暇つぶしに首と目をきょろきょろ動かす。するとそれに気づいた使用人の一人が慌てて部屋の外へと飛びだした。はて?トイレでも我慢してたのだろうか。まあいい。それより今寝てるこのベッド凄いな。ふわふわしてそのまま沈んでしまうようだ。ドアの細工も素晴らしいな。あれほど細かい仕事ができる職人はなかなかいない。この家の主はよほど高い地位に就いているようだな。そうやって暇を潰していると、不意に、
ガチャ、すたすたすた
ドアが開き数名の足音が聞こえた。音源に首を動かすとそこには老齢の使用人、先ほど俺を落とした神経質な顔の男、ベッドに寝そべっていた俺の母親らしき人物の3人がいた。
彼らは俺に顔を近かずけそして、ゆっくりと、その口を開いた。
「#%”%%$’%&>+{+),☆;!」
「(&&$&(%#22$&#”4*{‘+>!」
「”242573$#&”!)2939^^-#!」
うん。わかってたよコンチクショーーーー-ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!
どうするどうすればいいこの状況の打破の最適解はなんだ情報が足りないくそっ
答えが得られないことがきっかけとなり瞬く間にいままで溜まっていた苛立ちがあふれてきた。そこにスパイスである混乱が加わることによって完全に恐慌状態に陥ってしまった。
目つきがどんどん険しくなって、魔力を練り魔法を放とうとする寸前になったとき、ふと前世での記憶がよみがえってきた。
最後まで超えられない壁であった師匠、変人だが腕は確かな連金術師、カッコつけたがりなその弟子、同業者でありライバルであった呪術師、一族伝来の秘術で自分を瀕死まで追い詰めた退魔師達、自分の命と技術を狙ってきた秘密結社、生涯を通して支えてくれた優秀な使い魔たち、面白くも強く残酷だった7つの大罪を司る魔王達、そして自身の中で最も印象深く、美しく、自身のカードのなかでタメ張るどころか自身より少し強かった猟犬の姿が流れてくるように映し出された。それは普段であれば微笑ましい一時の夢、戦闘中であればなによりも毛嫌いするものが、この時ばかりは、効果抜群の精神安定薬として作用した。
ああ、こんな所で立ち止まってはいられない。あいつらが、あのクソ野郎共がそれを許さない。こんなくだらない所で立ち止まることなんか許してもらえない。まず師匠には蹴られる、あの連金術師にはバカにされる、弟子は勝ち誇る(なぜか知らないけど性格的にそうなるだろう)、使い魔達と7柱の魔王達はこれを肴に宴会を始める。そんな屈辱だけは受けるわけにはいかない。
眠そうなそぶりをして周りの大人の目を欺いてそっと思考の海へダイブする。なに味方は居ないが怖くは無い。ずっと昔からやってきたじゃないか。1つ1つ丹念に丁寧に積み上げていけばいい。時間なら腐る程あるある。昔のように頑張ればなんとかなるさ。
そうして真なる意味で覚悟を決めた時から10年の月日がたった。