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チュートリアル

『これにてチュートリアルは終了です。倉庫に回復薬をお送りしています。』


 NPCのお姉ちゃんが自分のアバターの前でお辞儀をする。

 移動の操作から始まり、キャラの視点変更やカメラワーク。アイテムに錬成できる植物や食材、石等の採取。武器は全9種それら全てを使いモブモンスターを倒す、というチュートリアルだった。



 まずは基本の片手剣を選択し、右手に西洋風の短く分厚い剣、左手に盾を構えフィールドに降り立つ。森林の中でアバターの影と樹木の影がそれぞれ動く度に感動した。そのまま散歩と洒落混みたかったが隣から姉が早くしろと視線を向けてくるので仕方無しにモブを探す。


 モンスターなんて居ないじゃ無いかと探し回ること5分、痺れを切らした姉に怒られる。


「薫ちゃんがグラフィックに見とれてるのは分かったから、いい加減モブ倒してよぉ!」

「えっ?モブいないじゃん」

「いるでしょぉぉ!何その天然!

 不自然に兎も鹿も大型草食獣もいるよねぇ?!」

「それはフィールド上の設定でしょ?

 こんな可愛い兎がモンスターなの?攻撃してこないじゃん」

「それはアクティブかノンアクティブってあって、あぁーもういいからその兎攻撃してみて!」

 姉の鬼気迫る雰囲気にビビりながら兎の前に立つ。



こ、この円らな瞳の兎を叩くのか・・・大丈夫か?死ぬんじゃないか?


 すっかりone lifeの世界に魅了された自分は目の前の兎が倒すべきモンスターと思えず固まってしまう。


「他のモンスターでもいい?」

「小動物だから殺せないってのは無しね」

「うぇぇ、コイツ死んじゃうじゃん」

「そういうゲームだから!根本から覆さないで!」


 自分のヘタレっぷりに笑いながら促す姉。もう逃げ道は無い。自分だって姉と一緒に遊びたいという思いがあるので、恐る恐るコントローラーを操作した。



ーザシュ

『ッピギィ』

「無理無理無理無理無理無理無理」

「どんだけヘタレ!!」

「いやいや切ったら血がでたって!予想以上の出血だし!

 すっげぇ可哀想な声出して逃げてんじゃん!」


 爆笑する姉を恨めしげに見る。するとアゥッと人の声がする。女性の中では少し低めの声、確かアバターに設定している声だ。


「え?なんかHP減ってんだけど」

「そりゃ攻撃受けたからねー」

 画面上部に表示されている緑色のゲージが少し減っている。誰だ、とアバターに視線をやると・・・居た。



「ウサギィィィィ!!!」


「アハハハハハ、もう無理ぃぃ!薫ちゃん天然すぎっ!」


 隣で腹を抱えて笑う姉を無視してコントローラーを握りしめる。


許さん!この超絶可愛いコちゃんに傷を付けるたぁ不貞野郎だ!

もう知らん!お前がどんな可愛い容姿をしてようと騙されぬぞ!



ザシュ

『ピギィ』

ザシュ

『キュッ』

『アゥッ』

ザシュ




・・・か、勝った。

が、何故だろうこの疲労感。ちょっと心が折れそうだ。


「お疲れ様ー、後は死体に近寄って決定ボタン押せば勝手に剥ぎ取りしてくれるから」


 アバターの後ろ姿を眺めながら操作をする。しゃがむ行動の数秒後、画面に【ラビットファーを獲得しました】とシステムメッセージが現れた。


「はい、じゃあ次は両手剣で同じ事してねー、一回街に帰って装備の変更だよ!」

「・・・うん」



お姉ちゃん・・・これちょっと無理かもしれない。


 そんな言葉は心にしまい大人しく街に帰る。せめて大型のモンスターを倒そうと決めて、全武器種を試していく。それが終わればやっとチュートリアルの終わりだった。



「どう?楽しいでしょ?」

「う、うん、片手剣が一番取り回ししやすくていいかも」

「そっか!んじゃお姉ちゃんと遊ぼう!」

「いや、ちょっと寝ていい?何か精神的に疲れた」

「えー、まぁいっか、また明日一緒に遊んでねー」


 カチャカチャとコントローラーを操作しゲームをログアウトする。街に帰ればオートセーブされるらしく、そのままシャットダウンをした。



どうか夢の中に兎さんが出てきませんように・・・


 それだけを願いながら布団に入るのだった。






お読み頂きありがとうございます。


暫くゲームの説明回かな?描写も拙いですがこんなゲームか、と思ってもらえれば嬉しいです。


予測変換ェ。



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