表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

 第1話 教会の絵

 飛行機から降りると、外が暑いのに初めて気がついた。

空から照りつける太陽が痛い。

ココロは麦わら帽子を深くかぶった。

今は夏休み。そして彼女は高校の修学旅行で、ここイタリアに来ていた。

涼川すずかわ こころ、16歳。

彼女の長い夏はここから始まる。



イタリア中部にある世界最小の国、バチカン。修学旅行3日目はそこに多くある教会を訪ねまわる。

4つ目の教会の奥深くにある一つの部屋に来たとき、ココロはそこに飾られている一枚の絵に釘づけになっていた。法衣を着た老人が、十字架をヴァンパイアにつきつけている絵だ。

「ココロ、次の教会行くってさ。」

ふたつ結びをした友人がココロのところへ来て言った。ココロは絵を見ながら答える。

「沙織。この絵、なんか不思議な感じしない?」

ココロがそう言うと、沙織は首をかしげてココロの隣りで絵を見た。

「別になにも感じないけど…。」

「…なんか懐かしいの。どっかで見たような…」

沙織は眉間みけんにしわを寄せた。

「それってもしかしてデジャヴュってやつ?よくあるわよ。それよりも、もううちらしかこの教会に残ってないんですでけど。」

他の班はおそらく次の教会か、お昼ご飯を食べに行ったことだろう。この教会はあまり有名ではなくむしろあること自体、現地の人でも、知らない人がいるかもしれない。

来たときも観光客は非常に少なく、今この教会にいるのはココロと沙織だけだ。

「ねぇ沙織、先行ってていいよ。私もう少し見てたいから。」

「ううん、待ってる。じゃ私も他の絵見てこようかな。ちょっと経ったらまた迎えに来るから。」

そう言って沙織は部屋から出て行った。一人になったココロは自分の手元のパンフレットを見た。

「この絵、【月と太陽】っていう題名なんだ…。」

ココロは独り言を言って気づく。おかしい。

この絵には月も太陽も描かれていない。なのにこの題名は変だ。

そしてココロはもう一つ不思議なことに気づいた。

「なにこの文字…。」

先ほどはあきらかに書かれていなかった文字が、絵の左隅に書いてあった。ココロはその文字をなぞり、声にしてみる。

「≪太陽が満ちるとき月は陰る。月が満ちるとき太陽は陰る。≫何言ってんの、これ。そんなの当たり前じゃない。」

彼女がそうつぶやくと、一瞬、絵が光ったように見えた。

(…?)

ココロは不気味に思い、身をひるがえそうとしたその時、ココロをもっと不気味な思いにさせることが起こった。

「絵の…絵に描かれている人たちが消えてる…!!」

ココロはたまらず、全速力で部屋の出口へ向かった。あと一、二歩で部屋から出られたというのに、彼女は出られなかった。

絵から伸びたつるが、彼女の手足を掴んでいたのだ。信じられない光景にココロは必死でもがき、叫びまくる。

しかし努力もむなしく助けは来ず、そのまま絵の中へ取り込まれてしまった。

読んでいただきありがとうございました!

初投稿なので、アドバイスや感想などがありましたらぜひお願いします。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ