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ハワイアンソウル  作者: Natary
第三章
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最終章

喜びと希望

テトとジルはカネの水を持ってカイルアの海へ戻った。


浜辺に二人神妙に立つ。


“ペレはリリーとリアンを同じ大きさで呼び戻せっていったよな。”


“ああ、そう言ってたよな。”


“どっちかな?人間かな?妖精かな?”


“さあ、どっちだろうな、でも妖精は悩みがないんだろ?

そしたら二人とも妖精の方が幸せなんじゃないか?セイラとも大きさがあうし。君たちは家族になれるよ。”


“そっか、選んでいいのかな。妖精で戻そうかな。”


テトがぶつぶつ言っている。


“よし、まとめて3人分だ。ヒイアカ、そこにいるのかい?ヒイアカ?”


テトが呼びかけるとヒイアカが海の上に浮いた形で現れた。


“テト、呼び戻すのね。”

おっとりという。


“ヒイアカ、お願いします。リアンとリリーを妖精に、そしてラナを元の姿に”


そういって、テトがカネの水をそっと海水に混ぜた。


ヒイアカは、うなずいて、混ざったあたりの海水にふーっと息をかけた。


波の流れに逆らってその部分は生き物のようにぐるぐると回りだすと、


すーっと上持ち上がって、リアンとリリーが美しい妖精の姿で飛び出した。

リアンは若々しい青年の姿に戻っている。やがて大きなうねりがすーっと上に上がると、ラナが現れた。


“ラナ、ラナ!”

駆け寄って抱きしめるジル。


“ジル、ジル、やっぱりまた会えたわね”

嬉しそうに抱き合う二人。


“リリー、リアン、”

テトも嬉しそうに二人の妖精に駆け寄る。


“俺が妖精になれるなんて、”


リアンはくるくる周りながら嬉しそうに自分の羽や姿を確認した。


“少しハンサムに若返ったかな。”


リアンが嬉しそうにいった。人間だったときのリアンに浮かんでいた苦悩の表情はなく晴れ晴れとしている。


“ピュアソウル、ついに人間卒業だな”


テトがからかうように言った。

そしてリリー。


“リアン、テト”


嬉しそうなリリー、セイラに良く似た淡い緑の瞳のリリー。


“君の声、戻ったんだね?悪魔から取り戻したんだ。”


テトが飛び回って喜びを表現する。


“リリー、君の声が聞こえる。僕の声も聞こえる?”


なんてすばらしいんだろう。



“セイラに会いに行こう!”


テトが嬉しそうに言った。



“セイラ、セイラ”

テトが、リアンが人間だった頃の家に近づくと嬉しそうに声をあげた。


“セイラ、どこに居るのセイラ?”


リリーもリアンも一緒に呼びかける。


大きなモンステラの葉の影からセイラがひょこっと顔をだした。


“セイラ。”


テトの羽の輝きが増す。


“テトなの?”


セイラが飛び出してきた。淡い緑色の髪がふわっと揺れた。


二人の妖精が抱き合いながらクルクルと回るとあたり一面に光の粉が降り注ぐ。


“なんてきれいなのかしら。”


ラナがため息をつくようにいった。


“セイラ、約束どおり、カネの水で命を戻したよ”


テトが胸を張っていった。セイラの顔が喜びで満ちる。


“マミー、リアン!!”


セイラがリリーとリアンに気づいて歓声を上げる。


“リアン、妖精になったの?”


小さくなったリアンを珍しそうに見つめるセイラ。そして、リリーの嬉しそうな顔に飛びついた。


“マミー、会いたかったわ。マミー”


“セイラ、マイスウィート。戻ってきたわ。”


セイラの大きな瞳がますます大きく輝いた。



“マミー、話せるのね。私の声が聞こえるのね?”



妖精たちの歓喜の再会はキラキラと光の粉をふりまきながらしばらく続いた。


光の粉がジルとラナの頭上でキラキラと舞い踊る。

美しい光を見つめるラナをジルは嬉しそうに見つめた。



“ラナ、また会えたね。”


ラナの肩を抱きよせた。大切な人が側にいる幸せに浸る。


“ええ、ジル。だって私たち同じだもの。”


欠けているものは何もない。そう思えるような完璧な幸せだった。


“ラナ、僕たちは役割があってまだ生かされている。

一緒に神々の役割を果たそう。”


ラナはジルを見ると深くうなずいた。


“ジル、ラナ、一緒に祝おう。歓喜の夜だ。”


テトの嬉しそうな声にジルもラナも妖精たちのもとへ走った。



“テト、でも。まだまだピュアソウル集めないといけないんだよね”

ジルが女神に言われた使命を噛締めるように言った。


“大丈夫。まだ一世紀ある。”


テトがおどけたように言った。


“喜ぶときは100%ただ喜べ。先のことはそれからだ。”

ジルは妖精とともにいる喜びを噛締めた。


“世界はなんて素敵なんだ。僕は生きているだけで涙が出そうなほど感動しているよ”


ジルが世界を抱きしめるように両手を広げる。


テトはその様子を嬉しそうに見つめた。


“やっぱりさ、オレは人間が好きだな。”




“人間の希望ほど上手いものはない”


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