癒し
“アンクルジェイ。また来てくれたの?”
子供たちの顔が輝く。
ジェニーが死んでから、ジェイは私財を投じて教会の中の施設の増強を決めた。
毎日のように子供たちへのプレゼントを持っては教会を訪れる。
すっかり穏やかになったアンクルジェイに子供たちはなついた。
“ほうら、絵本を読んであげるよ。アンクルジェイのところに集まっておいで。”
子供たちが歓声をあげて、ジェイのもとに集まる。
“ねえ、アンクルジェイ。ジェニーはどこに行ってしまったの?”
一番幼いエイミーがジェイの膝の上に上りながら聞く。
“ジェニーはね、天使になったんだ。眼には見えないけどいつも側にいるよ。”
“アンクルジェイ、ジェニーに会えなくて悲しい?”
エイミーが心配そうに言った。
“そうだね。少し悲しいよ。僕はジェニーを本当に愛していたからね。”
“I know!!アンクルジェイはジェニーが本当に好きだったよね。”
子供たちが自信たっぷりに言う。
“でもさ、ジェニーと会えてラッキーだったよね。”
エイミーが言った。
“だって、ジェニーに会えない人もいっぱいいるでしょ?”
“そうだね。”
ジェイは幼いエイミーの言葉に心を打たれる。
“本当に出会えただけで奇跡だよね。僕は最高にラッキーだったよ。最後の一週間、ジェニーを独り占めしたんだからね。”
“いいなぁ。ジェニーといたかったなぁ。”
子供たちが口々に言う。
“ジェニーといるとさ、とっても安心するんだ。”
“また会いたいなぁ。”
僕もだ。ジェイは心から思った。
けれど子供たちとジェニーの話をすると幸せな気持ちになった。
“僕の知らないジェニーをもっと教えて。ジェニーといつもどんなことしていたの?”
一つずつ、子供たちの声に耳を澄ます。
ふとジェニーの笑い声が聞こえた気がした。
“ジェニー、僕はこの歳になって生まれ変わった気分なんだ。”
ジェイは心の中で呼びかける。
“これでいいんだよな。ジェニー。”
ふふふとジェニーが微笑んだ顔が脳裏に蘇る。
“僕ももうすぐそっちへ行くよ。そしたらまた一緒にポトフを作ろう。
この次は同じ歳に生まれるように神様にお願いしよう。そしたら君と長い時間ともに生きれるからね。”
ジェイはたくさんの子供たちの笑顔を見ながら思った。僕はもう孤独じゃない。