イースタリアの街(1)
私たちは新たな仲間とともに、なんとか本日の目標地点となっていた街『イースタリア』に到着した。
本来ならば私とナオトが二人で親睦を深めつつ、お散歩気分で歩む道のりであったはずなのに、朝からトラブルメイカーとしか思えない駄作家が仲間に加わったばかりか、暴走の果てにサルキメラの巣へ神風特攻という暴挙にも見舞われた。
幸いにして心強い味方ロイヤに助けられ、なんとか本日のミッションを終えられそうなところまでやってこれたが……。
私は、命からがら、とはこういうときに使う言葉なのだろうと実感していた。
「へぇぇ! すごいぜ! これがイースの街並みか! これぞファンタジー世界って感じの街並みだぜ!」
ナオトは真正面に長く続く石畳の大通りを眺めて目を輝かせた。
大通りの両端には木とモルタルを多用した違世界風の建物がズラリと並んでいる。ただし、一応それなりの街並みには見えるが、実はその建物のほとんどはハリボテであり、内部に至ってはほぼ何もない。
「ニャア! ナオト様に喜んでもらえてよかったニャ!」
「この街にも久しぶりに来たが、ずいぶんと様変わりをしたようじゃのぅ」
「実はオレも最近この街に来たばかりッスから、見慣れないものばかりッス!」
私たちもナオトに合わせてテンションを高めながらそろって大通りを歩いた。
「お! すげぇぜ! お城まであるのか!」
「そうニャ~! この街には王様も住んでるのニャ~!」
本当のことを言うと、街の規模に対して城の存在は釣り合わないのではとの声も上がった。だが違世界と言えばお城の存在は欠かせないだろうとの九条会長のひと声があって建設が決まったのだ。
街の規模としては決して王都と言うには物足りない。しかしそれぞれを区別して見れば立派な街と城である。
ひと言で言ってしまうと映画の世界を模したテーマパークのようではあるが、そうとは知らないナオトにとってみれば、そこはもう完全に現実世界ではない世界なのだろう。
「王城ってことは、ここが王都なのか……どおりで活気があって賑やかな街だぜ」
「とりあえず今日のところはみんな疲れておるじゃろうし、宿でも取ろうとするかのう」
「それがいいニャ! もうすぐ5時ニャ!」
「それならオレがお世話になってる宿をオススメするッスよ! 安いし、特にメシが最高に美味いッス!」
「お! いいな! できればパーティーで近くにいたほうがいいだろうし、リリアンやセツさえよければ、みんなでそこにお世話になろうぜ!」
「もっちろん私は大賛成ニャ~!」
「ワシも異論はないぞよ」
本当のことを言うとほとんどの建物がハリボテなので利用可能な店も限られている。だから私たちが泊まる宿は最初から決まっているのであるが、意外とすんなり誘導できたものである。
街の利用可能エリアはその宿を中心に現在進行系で広げているところではあるが、あとはナオトがハリボテの裏側を見ないよう管理していくことが重要だ。
一応私の目の届かないところでナオトが単独行動をしても、街中に配置された専用スタッフがイベント発生風に声を掛けて防げる仕組みはできていた。
「じゃあ決まりだな! 冒険者登録とかそういうのは明日にして、今日のところは休もうぜ!」
「「おお~!」」
私たちは手を上げて応える。
「そんでもって、今日は街にも着いて、新しい仲間も増えたことだしさ。よかったらみんなでパーティー結成パーティーでもしようぜ!」
「ニャア! 大賛成ニャ~!」
もうすぐ今日の定時となるが、この流れでは仕方ない。私は飛び上がって喜んだふりをした。
「ほっほっほ……この歳になってまたパーティーに入ることになるとはのう。若い頃を思い出すわい……なにも覚えておらんがのう」
「オレ、めっちゃ感激ッス! もう一人さみしい夕食に涙のトッピングをすることもなくなるッス!」
そんなふうにワイワイ騒いでいると、ナオト以外みんな演技だとわかってはいるのに、不思議と本当に楽しくなってくるような錯覚を覚える私だった。










