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冒頭に戻ります



そんな日々を送っていた中、私のお勤めのためにドゥグムが年に4回の連れ出しにきた。


「アリーチェ様。今日は西の結晶でのお勤めとのことです。」


「私の名前を呼ばないでと言っているでしょう。分かったわ。早く連れて行って。」


ドゥグムは淡々と告げ、その美しいかんばせに何の表情も浮かんでいなかった。

ドゥグムだけが使える紫に光る手のひらサイズの転移用の水晶を取り出しこちらへと差し出した。


私は水晶に手を触れ目をつぶり、ドゥグムは私をそっと抱きしめるように片腕で包んだ。

私はドゥグムがどんな顔をしているのか見たくなくてぎゅっと目をつぶっていたから、その日水晶の光が少し違うことも、ドゥグムの表情が少し違ったことにも気が付かなかった。


転移の光が収まったとき、目を開けるとそこは西の結晶ではなかった。


「ここは…」

「ここは他国に通じる転移門です。」

「どういうこと?私にはお勤めがあるわ。西の結晶へ連れて行きなさい。

「もうアリーチェ様は姫様でも聖女様でもありません。だから私と来てもらいます。」

「もう姫ではない?聖女でもない?‥‥つまり私を追放するという結論に至ったわけね。」


貴族たちが結論を出したのでしょう。

豊穣の力以上に私が父を倒す姿が悍ましかったのかもしれない。

それもそうかと思い返し、ドゥグムの瞳を見た。

しっかり見たのはいつぶりだろう。

変わらず美しい紫水晶の瞳は年月を重ねても私を優しく見ていたが、前にはない光があることに気が付いた。


「私がもう姫でも聖女でもないのなら、あなたがここにいる必要は余計にないわ。どこへなりとも行きなさいよ。あなた一緒に行くわけなんてないでしょう」

「アリーチェ様はもう姫でも聖女でもない。だから、もう遠慮することもありません。」


そうドゥグムはつぶやく私の手を取って頬ずりした。

私は驚いて手を引っ込めようとすると、思いのほか強い力で引き寄せられ、そのままドゥグムの腕の中に納まっていた。

「お優しいあなたが一人で耐えていたものに何も力になることができなかった。

ただ見ていることしかできなかったくせにお慕いしていた私をお許しください。」

「あんなに意地悪したのにどうして」


思いがけない言葉に思わず声が震える。

お慕い?どうして?


「あんなことをさせてしまった私に責任があります。父王様からあなたを大事にしてもよいと許可をいただいだにもかかわらず不甲斐ない。あなたが強がっていたことくらいわかっていました。…本当に嫌われたのではないかと結構疑ったりもしましたけど。」

「大事にしてもよいってあなたは私のせいで来たくもなかった国に無理やり連れてこられて、今だって私の側にいるのも嫌なのではないの」


「確かに最初の出会いはそうだったかもしれませんが、私はあなたの側にいられたからこの国でも幸せでしたよ。あなたが初めて出会ったそのときに、私の色ではなくて私が空腹なことを気に留めてくれた。それからもずっとあなたは私の色で何も変わらなかった。どうして嫌になることが?」


もう訳が分からなかった。こぼれる涙が止まらなかった。

「私はずうっとあなたが好きだったの。15の時、父を殺す将来と私が人ではないと突き付けられて、。父からは王家が滅ぶこともほのめかされて。あなたを巻き込みたくなかったの」


ドゥグムは私をぎゅっと抱きしめて

「いつまでもおそばにいますから」

とつぶやき、そっと私に口づけた。




そうして私たちは隣国へ渡り、私は人として龍として両方の姿で暮らすことになった。

龍になったとしても討伐されなければいけない理由はない。

ドゥグムが私に言ってくれたから、龍になることも怖くなかった。


隣国には私以外にも龍がいた。

私が生まれ育った国は龍を閉じ込めていた国だったのかもしれない。

もう戻ることもないから知らないけれど。


ドゥグムの一族は本来白龍とともに暮らすものだったそうだ。

白龍が持つ強すぎる力に影響を受けず、ともに生きられる一族。

白龍が王家として取り込まれ、他国でもその数を減らし、ドゥグムの一族は夜の者として迫害され数を減らした。


互いに数を減らしながらもまるで運命かのように巡り合うのが白龍と夜の者だそうだ。

私たちは出会うべくしてであったのかもしれないし、そうでないのかもしれない。

それでも隣に今ドゥグムがいるからもうどうでもいいのかも。





ドゥグムの一族からみた話も書くかも

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