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ドゥグムと私はほとんどずうっと一緒に過ごして育った。

私が今まで父以外の人間に出会ったことがなかったこともあるし、ドゥグム自身もその自身の色のせいでこの広大な城に私の側以外の居場所がないようだった。

私が住んでいる城は本来の城の敷地内の離宮にあたり、本来の城には多数の人がいるものの、私の住む離宮には私とドゥグムと精霊たちしかいなかった。

だけどその静かな暮らしは私にとって当たり前で、ドゥグムが来てから少しだけにぎやかになった。


日が昇って同じ布団で目覚め、同じご飯を食べる。私の魔力制御の訓練を眺め、私に与えられた膨大な本を二人で読み漁る。

私の教育は父が使役する精霊たちによって行われていたし、一人で学ぶことに慣れてはいたけれど、同い年の子がいると何をするにも楽しかった。

最初は私のことを「聖女様」と呼んでいたドゥグムも私が名前で呼んでほしいと何度もお願いしてやっと呼んでくれるようになった。


朝も昼も晩もずうっと一緒に過ごしていく中でドゥグムからこの世界のことを少しだけ教えてもらっていた。


白金の髪と金の瞳の姫のことを世の中では「聖女様」と呼ぶということ。

黒髪と紫の目の者は呪われた者であり、聖女様によって浄化されなくていけないこと。

聖女様はこの世界のために祈っているから人々の前にお姿を見せることはできないこと。

ドゥグムはこの国の外の国からやってきたこと、両親はいないこと、帰る場所もないこと。


「どうして?ドゥグムは呪われてなんかないし、私が浄化する必要もないわ。それに私が他の人に会えないのは私の魔力が大きすぎるからよ。むしろ呪われているのは私だわ」

「アリーチェ様のおかげで私の呪いは浄化されているからですよ。だから今は私だけの姫様ですね。」


ドゥグムは本当は私の側になんてきっと来たくなかったのにそうやって軽口を叩く。

私が必要としなければ夜の者に対する迫害の強いこの国になんてこなくてよかったのに。

ドゥグムは私に説明しなかったけれど、特に強い思想統制もしてこなかった父は私が書物から物事を学ぶことを止めはしなかったし、私は貪欲になんでも吸収した。

だからドゥグムが言うことが少し違うことも、私の立ち位置もなんとなく理解していたし、ドゥグムの言葉を全て私が信じているわけではないこともドゥグムは知っていた。


でも、ドゥグムはいつも優しかった。

最初は鋭かった表情も私と仲良くなるにつれて柔らかい表情になり、私の前でくるくると変わるいろんな表情をみせてくれた。

美味しそうに食べる私をにこにこと見つめ、庭木にのぼった私を心配そうにながめ、そして当然のように庭木から落っこちた私を怒り。

真綿でくるむように大事にしてくれていたのは私がこの世界を憎まないように、全てを壊してしまいたいと思わないように。

そういう意味があるのだと分かっていても温かい時間にまどろんでいたかった。


ドゥグムといるとまるで普通の少女のように笑っていられたから。

だから出会って7年も経つ頃には当たり前のようにドゥグムが好きだった。

義務感で優しくしているだけの子から好かれても困るだろうなとか、そりゃ他に出会いがないからだもんねとかいろいろ思ったけど、とにかく好きだった。

温かい視線をくれる美しい紫水晶の瞳も、艶のある闇夜の髪も、魔力が多すぎて苦しいときにひんやりした石の上で一緒に寝転んでそっと頭を撫でてくれる手も。

全部全部好きだった。

でも全部は偽りだったしただの夢だったとやっと自分で認められたのはそれから5年経った私が18歳になる頃のことだった。








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