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6, タハドへ向かって。

「キャハハ」

「楽しそうでよかった。」


ケイトの楽しそうな笑い声が辺りにこだまする。ミュシュラは、


(なんだこの可愛すぎる生き物は⋯。)


と思いながら、優しくケイトの頭を撫でた。

今いるのは右も左も何もない平原。の、間にポツンと作られた街道。街道と言っても、草が刈られているだけなので、幌馬車で通るには少しデコボコし過ぎているが。


✠✠✠                    ✠✠✠


「昨日、傷を治してくれる人に会いに行こうって言ったの覚えてる?」

「うん。」

「その人はね、タハドって国に居るんだ。」

「たーど?」

「そう。タハド。大陸の西側で一番の商業の国。国の規模は小さいものの、山脈の向こう側とこちら側をつなぐ大切な国。」

「?」

「難しいね。つまり、人と物がいっぱい集まるんだよ。」


大陸の西側には、2つの大きな山脈がある。その向こう側に、大国ムーヴァをはじめとした聖公国があり、

タハドは、平原では唯一そことこちらを繋げる国だ。


(密入国したい人とかは、死ぬの覚悟で山脈を越えようとするけど。)


「そこに今から向かうつもりだ。この国に心残りはない?出てしまったら、しばらく戻ってこれないよ?」

「ない!」


ケイトはキッパリと答えた。


(ケイトは、もしかして本来はおしゃべりが好きなのかな?にしても、急に話せるようになったな。良かった、良かった。)


「なら、明日この国を出よう。今日は、食料とか、旅に必要な物資を揃えに行こうか。」

「うん!」


✠✠✠                    ✠✠✠


「みゅーら、これは?」

「それは夏に花を咲かせる植物だよ。」

「お空に居るのは?」

「あれは⋯、何の鳥だろう。太陽のせいで影しか見えない。」


ケイトが街から出たのはこれが初めてなのだろう。すべてのものに驚いて、楽しげにミュシュラを見上げては、『あれは何』、『これは何』と、問いかけてくるのだ。


(タハドに着いたら字を教えるために絵本を買ってあげよう。あと、植物図鑑と動物図鑑。)


植物図鑑と動物図鑑は学者などが仕事で使う専門書しか無いが、きっと持ってて損はないだろう。多分ケイトは喜んで読む。


「はぁ、子どもがいるって、こんなに幸せなんだ⋯。」

「みゅーら、しあーせ?」

「幸せだよ。ケイトがいるからね。可愛いね、ケイト。大好きだよー。」


ミュシュラは手綱を握っていない手でケイトを抱きしめた。


(仲間がこんな姿を見たら、キャラ崩壊を起こしてるとか言うんだろうな。)

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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