4, 許可は得るつもりさ
「ねぇぼく。こんな急に現れたお兄さんだけど、もしよければお兄さんと一緒に旅に出ないかい?」
「?」
ミュシュラは幌馬車の奥から一冊のノートを持ってくる。
「今はみんなバラバラなんだけど、俺はハルバルという商隊のリーダーなんだ。まぁ、商隊と言っても仲間は10人も居ないんだけどね。俺が気に入った人を仲間に引き込んでいるんだ。変わった奴等だけど、同じくらいいい奴等なんだよ?」
本をパラパラとめくり、目的のページを探した。
「⋯。」
「⋯、あれ?みんなのページが見つからない。まぁ、いっか。」
ミュシュラはパタンと本を閉じる。
「きっと会ってみればわかるから。」
「⋯。」
男の子は少し悩む素振りを見せたあと、ミュシュラの足にギュッと抱きついた。
「さて、君を雑に扱うひどい親だから、このまま黙って連れ去っても俺は構わないけれど、一応、ね。許可を取らないといけないんだ。お家に連れて行ってくれるかい?」
「⋯。」
男の子は大きく頷くと、また地図の本を読み始めた。
(思ったよりも早くこの国を出ることになりそうだ。ゲレディス。意外と好きな国だったのだけれどね。)
ミュシュラは深呼吸をして、近くの商品からゆっくり片付けていった。
(君は、僕のやり方は苦手かい?救いの手を差し伸べるように、欲しいと、望む者を手に入れる僕を、嫌うのかな?)
ミュシュラは心の中で、今は会えない人にそう問いかけた。
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