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3, 子どもに罪なんて無いのにね。

「⋯!」

「やぁ、ぼく。こんにちは。」

「⋯。」


太陽が1番高く昇った頃、男の子はやってきた。


「今日は何が気になるかい?」

「⋯!」


彼は朝並べた商品達をじいっと覗いていたが、しばらくすると、一つの本を持って立ち上がった。


「へぇ?地図に興味があるんだ。」

「⋯。」

「いいよ、こっちへおいで。お客さんも今は居ないし、地図の見方を教えてあげる。」


(この子はきっと聡明なんだろうな。こんな年から大人でも難しいものを選んでくるなんて。)


あの日以来、毎日のようにこの男の子は俺の所にやってくる。そう、懐いてもらえたのだ。彼が俺の出している商品を興味深そうに見ていたのを見て、俺はこの子の興味の向いたものを解説してあげることにした。そして彼と勉強会(仮)をやり始めて3日目が今日。  


(子供の飽くなき探求心は素晴らしいね。)


男の子が俺の膝の上に乗ろうと頑張っているのを見守っていると、ふと、彼の服の袖がめくれ上がってしまった。


「⋯、ほら、服がぐちゃぐちゃになっているよ。」

「⋯!」


服の下にあるのは、すべすべでもちもちで、とっても白い健康的なお肌。そんなわけはなく。


(⋯やっぱり、この子は、家で暴力を受けているのだろうか。)


青痣、切り傷。明らかな人の手の痕。蚯蚓腫れ。普通に愛されて育っているのならば、こんなものはできないだろう。


(せっかく子どもを育てることができるのに、その幸せを自ら壊すなんて。やっぱり、幸せを手に入れた人間ほど、その幸せに気づけないものなのか。)


簡単な言葉を使えばしっかり意思疎通を取る事が出来るのにこの男の子が話せないのは、きっと環境のせいだろう。


「ねぇ、痛いの痛いの飛んでけーってしてくれる男の人に会いに行かない?」

「⋯?」


男の子を抱きかかえて、俺は勤めて優しく微笑んだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


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