23, ガネイシャ
案内されたその部屋は小規模であれば貴族がパーティーをひらけそうな大きさであった。奥の壁には一面の鏡があり月明かりを反射している。高そうな絵画もかざられ……。美しいその部屋にはひどく不似合いな異物…大小様々な檻があった。怯えるようにミュシュラを見つめる子供。逆に威嚇するように睨む獣人。異種族同種族関係なく詰め込まれたものが部屋中に並べられている。
(想像以上の数だな。この中からあの子を探すのか。)
思い出すのは昨晩のこと。
◈◈◈
『そういえばアイツ、人身売買に巻き込まれてるっぽいです。』
『は?』
『どうやら女と間違われて攫われたっぽいんすわ。』
『う、うーん...。確かに彼は身体細いけど…、えぇ
…。その攫った奴らよく生きていたよね。というか何で逃げないんだろう。』
『とりあえずついでに助けてやってください。』
◈◈◈
「この中から好きなのを見繕うのだぞ。」
「動き回っても?」
「あぁ。」
(とりあえず囚われてる人達の人数を確認して、彼を檻から出して…)
「って、いた。」
「どうした?」
「いえ何も」
てきとうに近づいて覗き込んだおりの中に彼は居た。
「あの奥の銀髪の髪が長い子、どうしたんです?」
「アイツは少し前に入って来た商品だが、ずっと何かブツブツ呟きながらあぁやって下を向いてるからな、今のところ穀潰しだ。」
「へぇ。」
とりあえず他の檻の確認から進めることにする。
「この子は?」
「ソイツは…」
「この子は?」
「コイツは…」
ぐるりと部屋を見て回り、最初の檻の前まで戻る。
(だいたい30人居ないくらいか。)
「あの銀髪の子を。」
「あぁ。」
男は腰のポケットから鍵を取り出し、檻の鍵を開けた。
「おい、そこの銀髪、出てこい。買ってもらえるぞ。」
「⋯⋯。」
「そこのお前、銀髪のそれを連れてこい。」
「は、はい………。」
「いいえ、大丈夫です。自分で出てこれるでしょう?ガネイシャ。」
ガネイシャ、そう呼ばれた彼は肩を震わせた。
「はい。出ること、できます。ぼ、僕できる。僕、僕、ぼぼぼ、僕できる。できるできるできる。」
下手くそなよつん這いみたいになりながらも檻の外に出てきた彼を見て男はフンと鼻を鳴らした。
「お前人の指示が聞けたのか。」
「……。」
「とりあえずこの子の手枷を外してもらえますか?」
「あぁ。」
手枷を外し、そして首輪、足の重りも外していく。彼は外そうと暴れたのか、それらのあった場所は痛々しく変色していた。
「よく頑張ったね。」
男が手続き書類を取りに行った隙にミュシュラは彼にそれを手渡した。
「さぁ、壊そうか。」
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