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22, お話

「この度は貴重なお時間を私にくださりありがとうございます。」

「よいよい、吾輩の貴重な時間をくれてやるのだ、さぞかし愉快にしてくれるのであろう?」


煙草の匂いで溢れた部屋。壁には大きな絵画、床には獣の毛皮が敷いてある。


(この毛皮、大きさと毛並みから推察するにベア・ボウルダーかな?)


岩熊。岩のように肉が硬い熊。ギルドが推奨するベア・ボウルダーを討伐する冒険者のランクはC以上、受注する冒険者のパーティーランクがCならメンバーが5人以上は居ると良いな〜といったところか。 


「お前、旅商式の商人だそうだな。」


ソファーにふんぞり返り、バッカスは醜悪に笑った。思考にふけりそうになったミュシュラも気持ちを切り替え微笑む。


「街に入って早々に敵陣に1人で乗り込むとは、大した阿呆だな。」

「お褒めにあずかり光栄でございます。」

「ふんっ、褒めとらんわい。」


(これは⋯⋯、お前の情報は握ってるぞ〜って脅しかな?まぁ、握られて困る情報なんてないけど。)


「実は、あなた様に商品を卸していただきたいのです。」

「ほう?」

「その⋯⋯、()()()()()者を頼みたくて⋯⋯。」


ミュシュラがしおらしく言えばそれが何を指すのか察したのだろう。彼はさらに大きく笑った。


「その情報をどこから入手したと言いたいが、まぁ良い。お前は吾輩に何を捧げる?」

「まず、あなたの言い値で購入します。そして、それと等価の情報を。」

「例えば?」

「さぁ、そこはあなたの采配によりますね。どれほど私を満足させてくれるか、それにより情報の価値は変わります。」

「ふむ⋯⋯。」

「もし今の条件で納得してもらえないのであれば、前払い金の代わりとして他の街や国の流行りなどの情報をお話します。」

「それは興味深いな。」

「商人にとって情報は武器。多ければ多いほど良いでしょう?」

「⋯⋯いいだろう。その条件でお前に売ってやる。準備に1日欲しいから明日の深夜、吾輩の所有する館の一つに案内する。仲間は連れてくるなよ。案内は商会のものにやらせる。詳しい話はそこでだ。さぁ、情報をさっさと話すが良い。」


(腐っていても商人、ね。)


情報という不透明なものの価値を理解できるのなら、悪事になんて手を染めなければよかったのに。


人身売買は東側の国の多くで禁止されている。それに則り商人ギルドも禁止している。

しかし、南部・北部の国の中には、人身売買が合法な国もある。ギルドに所属していなければ、彼らに目をつけられることもなかった。


(売るも買うも、そこですればいいのに。)

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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