21, 報告
「はぁ!?捕縛対象との面会時間を本人からもらってきた!?」
アオは思わず手に持っていた木製のジョッキを落としかけたがどうにか持ちこたえた。危ない危ない。晩ご飯が酒の味になってしまうところだった。
「そう。2日後の昼、捕縛対象と交渉をすることになった。場所は商人協会。だからその日はケイトとお留守番していてほしいんだ。あ、街に探検に出かけても別にかまわないよ。」
「アオー、ケイトー、るすばんー!!」
ミュシュラはケイトの口の端に付いたソースを拭う。ちらりと見たのは彼の見開かれた青色の瞳。その瞳に乗っているのは溢れそうなほどの驚愕と怪訝さ。
(驚くのも当然か。)
今朝まで俺は、待てを指示していた。
『捕縛対象に接触するな。』と。
(それなのに、夜に会ってみれば言った本人がこうなってるからね。)
「ねぇ、それでさ、そっちの方は今日収穫あった?」
「あ、アイツの足取りなら、半月前までなら追えましたが、そこからの足取りが全く掴めないです。」
「最後にいたのは?」
「冒険者ギルド。ドール系の魔物が出る迷宮の依頼を終えたと報告してから音信不通。宿の方はその日の数日前、迷宮行ってくるって出てって以来帰ってないらしい。荷物の置き場に困ってましたよ。仲間なら持ってけって荷物押し付けられましたし。」
アオはげっそりと椅子の背もたれに寄りかかった。
「あの子は馬車よりもテント移動が好きだって言ってたからね。その上、俺の馬車に預ければいいのに今の時期は使わない商売道具も全部持ち歩いてるから。あれでよく身体を壊さないよ。」
「むしろ『ぼ、ぼぼ、僕の枯れ枝のような醜い身体も、す、少しはき、鍛えられるから』とか言ってるもんな⋯⋯。」
◈◈◈
「そういえば、彼と君は仲が良かったのだっけ?」
「あー⋯⋯、確かに、アイツラは、他のメンバーに比べたら話しますね⋯。」
アオは軽く記憶を漁ってからそう答えた。
(他のヤツラは、癖が強すぎるからな。)
ミュシュラに1回必要とされたから。救われたから。これからもミュシュラに期待される道具になることを望みハルバルにやってきた。そんな奴らの集まり。同じ穴の狢。何かあっても問題無いほどの連携は取れるものの、お互いの私生活はほとんど知らない。知らないし、多分聞いても語らない。
そんな我が道を行くメンバーの中でも比較的⋯⋯、いや、最早比べる事も出来ないほどに、なんなら、秘密主義の塊のような他のメンバーとは真逆ともいえるほどに友好的だったのが、今回消えた人形使い。
(アイツ、素直なだけに他のメンバーにも可愛いがられてたもんな〜。)
姿を消さないといけない事情があったのか、他者によって表から姿を消されたのか。
(まぁ、どちらにしろ慎重に調べる他ないな。)
ここまで読んでいただきありがとうございます。




