18, ここにいる
「そういえば⋯」
ミュシュラは宿で荷物の整理をしていたときに突然思い出した。
「この辺に居るよね、彼。」
鞄から視線を上げ、アオに話しかける。ケイトに絵本を読み聞かせる姿はここ数日見慣れたものだ。もともと彼が面倒見が良いのも影響しているだろう。膝の上にちょこんとケイトを座らせて、自分の胴体を背もたれにさせているのもかなり様になっている。
「『そうして、4人の少年少女が贄となったおかげで、この大地は緑と癒しを取り戻したのだった。
この4人の英霊を祀るのが四贄教である。』よし、これで終わり。で、ボス。彼って誰のことっすか?」
「ハルバルの名物人形使い」
「あぁ、アイツか。」
「ケイトを見つけた街に行ったのもそういえば、彼を迎えに行くためだったんだよね。」
「え?勝手にさせてたら気が済んで戻ってくると思うが。」
「いや、定期の連絡がなくなったんだよね。だから何かあったかなって。」
「そうなんすか?」
「あの子のことだから心配は一切ないけど、一応?行っとく?みたいな感じで。ゆるゆる向かってたの。」
「確かに、あまり心配は無いですね。暴れてないか気になるけど。」
「仕事と並行して軽く捜索してみようと思うけど良いかな?」
「どーぞ、どーぞ。ボスのご意向のままに。」
「ありがとうね。」
(面白いものでも見つけたんだと思うけど。)
それに、消息不明なメンバーならもう1人居るし。
(たまには会いに来てくれてもいいと思うのだがね。)
ここまで読んでいただきありがとうございます。




