15, 少し休憩
アオが今夜の食料(草茅うさぎ)を捌く間、ケイトはミュシュラと周りの森を少し探索していた。
「このキノコなぁに?」
「それはゲラゲラだけ。食べたら笑いが止まらなくなる。」
「この小さいのは?」
「それは精霊のこどもだね。傷つけたらだめだよ?今からいろいろなことを見て学んで、大きくなるんだ。」
「うん!!」
「(こんな簡単に姿を現す存在ではないのだけれど、ケイト、もしかして愛し子なのかな?)」
「これは!!」
「これはカゲヘビ。魔物だけど特に危険はないよ。」
「そうなんだ!!」
「基本的に自分達が敵意を示さなければ見逃してくれる。」
「へぇ~。」
しばらくそうやって森を探索していると、突然後方から武器を持った集団が近付いてきた。
「おやおや?」
「みゅーら、これなに?」
「コレってなんだ!!これって!!」
比較的前側に居る無駄にギザギザした防具をつけている男が騒ぐ。
「ケイト、人を指す場合は"誰"だよ?そして人を指さしてはいけない。」
「うん。わかった」
「で、貴方達はどちら様なのでしょうか?」
「すまない、敵意は無いんだ。俺等は近くの村で依頼を受けてきた冒険者で、Cランクのパーティーだ。」
「ギルド証は?」
「は?ギルド証?」
「えぇ。あるでしょう?」
「あ、あぁ。」
まさかそこまで聞かれると思っていなかったのか、訝しげに目を細めながらも腰のバッグからギルド証である金属製のカードを取り出した男からそれを受け取り、名前、所属支部、ランクを確認する。
「ふむ。偽造ではないんですね。あ、このままだとフェアじゃないので私のもどうぞ。」
「あ、あぁ、って、Bランク?というか、そもそも君は冒険者なのかい?それにしても、Bランクって⋯。」
「は?マジかよ。」
「こんな細いのがあたしたちより上なの?」
彼のパーティーのメンバーもワラワラと彼に近寄りその手の中のギルド証を覗き込んだ。
(師に勧められてギルドに加入し、小遣い稼ぎ程度で依頼を受けていたらこうなったのだから、そこまで驚くことではないだろうに⋯⋯って、あぁ。)
「今はパーティーの休暇月間でして、私のパーティーメンバーはそれぞれ好きなところに行ってるんですよ。常時一緒だと、ストレスが溜まってしまうでしょう?あ、1人だけ今は一緒に居る子が居るんですけど、見に行きます?強いですよ?」
「パーティーだったのか。」
「ソロでBランクなんてそんなバケモノなれるわけないですよ。」
納得したように表情を和らげる彼らにケイトも緊張がいくらかマシになったようだ。
「ところで、依頼というのは?」
「あぁ、ここ最近、この付近で盗賊が見られるようになったらしいんだ。」
「盗賊ですか?」
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