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11, 本屋さん

「うわぁぁ!!」

「どう?面白そうな本はあるかい?」

「⋯本屋か。」


小さな店の老店主は、チラリとミュシュラたちを見て、可愛い子供だねぇと笑いながら読書に戻った。


「これは何?」

「ムーヴァで100年ほど前に活躍した研究者、通称魔物学の父のゾエ著作『魔物観察論文その367』だね。本当の論文はムーヴァの学園で保管されているからこれを含め、世の中に出回ってるのはその写しさ。」

「じゃあこれは?」

「それは『目を閉じててもできる狩り百選〜本当に目を閉じてたら指が無くなるぞ〜』だね。」

「狩りなら俺がいくらでも教える。」

「アオは()()も上手いんだよ。俺も彼から学ぶほうが良いと思う。」


ケイトは目を輝かせて店に並ぶ本を見ていく。文字はまだ読めないだろうに、ピンポイントで大人でも読まない通称ゲテモノと呼ばれる特殊過ぎる本を持ってくるその姿に思わず吹き出してしまう。


(いや、字が読めないからこそ、かな?)


「将来が楽しみだね。」

「?」

「ケイト。物語に興味はあるかい?」

「ものがたり?」

「例えば、有名なのは勇者がドラゴンを倒しに行くおはなし」

「ドラゴンさん?悪い人?」

「いいや。悪い人ではないね。彼等が生きていることが人間にとって害悪になるから、人間の都合で殺されるだけさ。」

「ドラゴンさん可哀想。」

「ケイトは自分の都合で誰かを傷つけないように気をつけようね。」

「うん。」

「純粋無垢な子どもに絵本の現実を教えんなよ。」

「物語をオススメしてみようかと思ったけれど、よく考えたら子供向けの冒険譚とか絵本って、何気に1番残酷な本だよね。」

「じゃあ最初から勧めんなよ。」

「たまに史実に忠実なものもあるからね。そういうのを与えたいと思ったんだよ。」

「結果何がしたいんだ。」

「ケイトが欲しいと思う本を買いたい。」


ミュシュラはアオから向けられる胡乱な視線を華麗に無視した。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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