第四章:友情の深まり
ユイは、カズキと過ごす時間がどれほど貴重なものであるかを実感していた。異次元の世界での冒険は、まるで夢のように楽しかった。彼と一緒にいると、自分が自由になれる気がした。
ある日、二人は光り輝く森を探検することにした。森の中は、奇妙な音楽が流れ、色とりどりの花が咲き乱れていた。ユイはその美しい光景に目を奪われ、思わず立ち止まった。
「わあ、すごくきれい!」ユイは嬉しそうに叫んだ。
「ここは『夢の森』って呼ばれている場所だよ。夜になると、星のような花が咲いて、さらに美しくなるんだ。」カズキが微笑みながら説明した。
二人は森の奥へと進み、さまざまな生き物たちと出会った。光る蝶々がユイの周りを舞い、時折手に止まってくれる。彼女はその瞬間がとても特別に感じた。
「カズキ、ありがとう。あなたが私にこの世界を見せてくれて、本当に感謝してる。」ユイは心から感謝の気持ちを伝えた。
「こちらこそ、ユイ。君と出会えたことが、僕にとっても特別な意味を持っているんだ。」カズキの目が優しく光った。
その瞬間、ユイは彼との絆がさらに深まったのを感じた。彼はただの友達ではなく、心の支えとなる存在だった。
しかし、楽しい時間も束の間、カズキの表情がまた少し曇る。「ユイ、時間が迫ってきたみたいだ。もうすぐ帰らなきゃいけない。」
ユイの心が痛む。「本当に帰らなければならないの?」
「うん。でも、君が戻ったら、僕の言ったことを思い出してほしい。君には大きな力がある。自分の夢を追い続けてほしいんだ。」
ユイはその言葉を胸に刻む。彼の思いを無駄にしたくなかった。彼との出会いが、自分の心に変化をもたらしていることを感じた。
「カズキ、私もあなたに会えたことが嬉しい。あなたのおかげで、もっと強くなりたいと思えた。」ユイは涙をこらえながら言った。
カズキは優しく彼女の手を握り、微笑んだ。「君が強くなることが、僕の願いだよ。いつでも心の中に僕を持っていて。」
彼の言葉に勇気づけられ、ユイは頷いた。「絶対に忘れない。」
森の中を歩きながら、二人は楽しい思い出を語り合った。カズキが語る不思議な冒険や、彼が出会った生き物たちの話に、ユイは心を奪われた。楽しい時間が経つのはあっという間で、彼らはいつの間にか夕暮れに包まれていた。
「そろそろ帰る時間だね。」カズキが言った。
「うん…もっと一緒にいたいけど、わかってる。」ユイは少し寂しさを感じた。
二人は湖のほとりに立ち、最後のひとときを楽しんだ。湖面に映る夕日が、二人の影を長く伸ばしていた。カズキはその影を見つめながら、ふと真剣な表情になった。
「ユイ、絶対に夢を追いかけて。君の未来は、君の手の中にあるんだから。」
ユイは彼の言葉をしっかりと受け止めた。「私、頑張る。カズキがいるから。」
その時、カズキの目が少し悲しげに見えた。ユイはそれに気づき、心が痛んだ。「どうしたの?何か心配なことがあるの?」
「実は、僕にはこの世界に来る理由がある。それが終わったら、また旅に出なければならないんだ。」
ユイはショックを受けた。「じゃあ、また会えなくなるの?」
「でも、君にはいつでもこの世界に戻れる力がある。僕がいなくても、君は一人じゃないから。」
その言葉に勇気をもらい、ユイは少し安心した。彼との友情が、どれだけ大切なものかを再確認したのだった。
こうして二人は、名残惜しい時間を過ごしながら、異次元の冒険を締めくくった。ユイは心の中にカズキの存在を刻み込み、彼が教えてくれたことを胸に、現実の世界に戻る決意を固めていた。