理想的な高校生活
大学附属高校に入学した。この高校は男子校だが大学のような感じだ。
この学校を選んだのは勉強ができなくとも先生は文句は言わない。大学のように自己責任だ。
俺にとって一番大事な事は下宿をすることだ。授業料を自分で負担するからと言って、塾に行く必要がないのに毎日夜遅くまでバイトするのは親から見て不自然だ。家から登校に2時間弱、登下校に4時間弱かかる家から遠い高校を選んだのは、それを理由に下宿することを親に納得させるためだ。
学校の帰りに新宿と高校の中間駅のワンルームマンションを借りるために不動産屋に入り、手付金を払った。家に帰ってから通学が大変だから一人住まいがしたいと両親に話をした。家賃はバイトして自分で払うと言った。中学時代にバイトで塾代、高校の授業料を払うと宣言し、その高校に合格したので納得してくれた。
「大学生なら下宿が当たり前だし、少し早いがいいだろう」
親父が言ってくれた。
「賃貸借契約には親の同意書と連帯責任の認可の署名捺印が必要なんだ。今度の日曜日に一緒に行ってくれる?」
俺は親父にお願いした。
「わかった」
賃貸借契約は両親も一緒に来て契約した。お袋が生活必需品を買ってくれた。家具も買ってくれるそうだが、自分で選びたいからと断った。
ダブルベットと机と冷蔵庫は自分で揃えた。
しかし、問題はお袋が毎週来るようになってしまった。
「だって心配なんだもの」とか言って食事を作っている。
このままでは下宿した意味がない。パチンコで稼げないじゃないか。
「嬉しいけど、バイトに行かなくちゃならないから、来週からはもう大丈夫だよ」
「じゃあバイト先に挨拶に行こうかしら?」
「あっ、バイトはいくつかかけ持ちしてるし、短期なんで大丈夫だよ」
「あら、そ〜お、じゃあしょうがないわね」
(気持ちは嬉しいんだが、毎週来られたらパチンコに行けないじゃないか)
電話を設置して、週1回電話をしてお袋を安心させることにした。
高校では英語の授業が教科書ではなく小説で、英語の原書になった。知らない英単語が沢山あった。辞書で日本語に訳せるが、発音は英和辞典を見るだけでは所詮カタカナ英語の発音で、外国では全く役に立たないだろう。
英語の家庭教師が欲しいと思った。だがパチンコを終えた金曜日か土曜日の夜11時から個人的に教えてくれるネイティブ英語が話せる外国人女性、そんな都合のいい人がいたら最高だと思った。
金曜日の夕方4時頃、新宿の詳細地図を持って交番に行った。日本語学校の所在を教えてもらうためだ。代々木、新宿、新大久保にかけて20校位もあった。
「日本語学校の教師になりたいんです」
まだ若い警察官が親切に地図に印を付けてくれた。
「ありがとうございます」
俺は笑顔で感謝した。
「仕事だからな」
若い警官が嬉しそうに答えた。
日本語学校の授業は月曜日から金曜日で夕方4時に授業が終わるとのことだった。それから毎週金曜日に日本語学校の玄口の近くで、出てくるアメリカ人っぽい女性がいないか確認してからパチンコ屋に行く事にした。2、3ヶ月、何校も出待ちをしたが、白人女性がほとんどいない。やっと見つけても、周りに男子学生が群がっていて近寄ることすらできなかった。
学校の事務員のおじさんに事情を確認すると、在校生は中国人とベトナムを含む東南アジア出身者が多く、アメリカ人や英国人はいないと言う事だった。欧米人の場合、本国の日本語学校に通ってから、上智とかICUに留学するそうある。
日本語学校は諦めて、フィリピンパブの女の子をターゲットにしようと思った。池袋や上野、錦糸町に多いが、新宿には1店舗だけあり、土曜日に行く事にした。
さすが新宿だけあって女の子のレベルが高かった。本当にモデル級の娘が多かった。見た目が白人女性も数人いる。話を聞くとスペイン系の白人のハーフという事だった。
客のほとんどがサラリーマンのおじさんや金持ちの爺さんだと思う。俺みたいに見た目が大学生なんていないので、女の子の方から俺に寄ってきた。店もある程度容認していた。店の中央にはステージがあって、昔あったデカいカセットでカラオケをするようで、おじさん達が古い歌を歌っていた。
席に着いた女の子が手拍子を売って、「〇〇さん、素敵!」とか言って盛り上がっていた。席に戻ったおじさんと女の子は乾杯していた。カラオケ1曲千円、ドリンク1杯千円で女の子に半分の500円がバックされる。女の子の飲み物はほとんど烏龍茶だ。酒に酔ったらドリンクをたくさん飲めなくなるからだ。だから烏龍茶も一口飲むだけである。女の子が客のキープした酒を飲んだら、ほぼ客の事を気に入っている証拠だ。本当に酒が飲みたければドリンクオーダーでビールを注文する。
ひっきりなしにおじさん達がステージで歌っていた。女の子達は自分に関係ない他の客の時は、ただ見ているだけで適当に手拍子を打っている。
順繰りに女の子が俺の席にやってきて、「お客さん、今日は初めて?」、「今日はいい天気ね」とか、「今日は仕事の帰り?」とか、いつもの決まったセリフを言ってから、
「ねえ、ドリンク頼んでもいい」という事になる。
「いや、今日はいいや」と断ると、お互い無言の時間がすぎ、次の女の子がやってくる。
売れっ子の女の子は60分の時間制限の10分位前に席に着いて話を盛り上げて、時間がくると、ボーイが「お客様そろそろお時間になりますが延長しますか?」と聞いてくる。客の方は、酒に酔っ払って気が大きくなっているから、せっかくいい子が来たんだから、もう少し話がしたいと、ほぼ確実に延長する事になる。しかし10分くらいすると、「〇〇さん〇〇席にご指名が入ってます」と店のアナウンスが入って可愛い子が席を立つ。すぐに別の女の子がきてドリンクオーダー、制限時間少し前に可愛い子が戻ってきて、ボーイが「延長されますか」と聞いてくる。酒で気が大きくなってるからまた延長してしまう。この無限ループにはまってしまう。酒に酔っ払うと時間の経過が恐しく早くなって、いつのまにか閉店までになって、大変な金額に膨れ上がっている。最初の60分は3000円だが、20分か30分の延長料金は高いし、ひっきりなしに席にくる女の子にドリンクオーダーされて、料金は雪だるまに膨れ上がる事になる。ご愁傷様様である。
フィリピンバーのラストは風営法により12時だ。
※風営法を簡単に説明するすると、客の横、前で酒の接待するバーやラウンジの営業時間は午前0時まで、スナックのようにカウンター越しならばこれにあたらない。ただし指名、同伴、アフターがないことが条件だ。女の子がいるスナックが午前0時過ぎも営業できるのはこういう理由だ。
俺はパチンコの後だったので23時少し前に入った。案の定入れ替わり女の子がきたが、ドリンクオーダーさせず、もしオーダーしてしまえばお気に入りと店に勘違いされて、制限時間の間近にまたやってくるからである。もう来なくていい。するとやっとすごいモデル級の美人がやってきた。白人系はポッチャリしたのが多いが、無駄な贅肉にないラテン系のハーフ美人だ。
「お兄さん、初めてよね、こういう店はよく来るの?」
「たまにね、でもあなたみたいな美人には会ったことがないよ、今日は幸運だね」
「本当、嘘でも嬉しいわ、私リリーって言うんだけどよろしくね、あのドリンク頼んでもいい?」
「もちろんいいよ、好きなの頼んだら」
「ボーイさん、ビール1つお願いします」
閉店が近くなってビールが飲みたくなったのだろう。
「ところで日本語上手だけど、日本に来てどれくらい?」
「まだ2年くらいかしら、でも簡単な事しか分かんないから」
「でも大したもんだよ、ところで英語って喋れるの?」
「もちろんよ、フィリピンの元々の言葉と英語も喋れるわよ」
「俺、英語の勉強したいんだよね、教えてくれる人いないかなあ?」
「私でよかっったら教えてあげてもいいわよ」
「本当に物凄く嬉しいのだけど、お店終わったらどこか食事に行こうよ、奢らせてくれないかなあ」
「ええ、いいわよ」
ボーイが「お客さん、お時間ですがどうされますかか」と聞いてきたので、延長すると答えた。
程なくして、「リリーさんご指名です」とお決まりのパターン。
「すぐ戻ってくるから帰らないでね」
「わかった」
店内で閉店のアナウンスがはじまった
「お客様、まもなく閉店のお時間です、またのお越しを快くお待ちしております、本日は誠にありがとうございました」
リリーがやっと戻ってきた。
「待ったでしょう、ごめんね」と言って名刺を渡してきた。声を出さずに、“待ってて”と口を動かした。
店を出てリリーから貰った名刺を見ると、寿司屋の名前が書いてあった。近くの交差点のところまで行ってみると、右手の30メートル先にそれらしき寿司屋があった。
店の扉を開けると若い店員が、
「いらっしゃいませ何人ですか?」と深夜にもかかわらず元気に迎い入れてきた。
「2人です」
「カウンターで宜しいですか?」
「いいですよ」と言って席に着いた。
「いかがしましょう?」
「連れが来るはずだから、来てから注文します」
10分ほどしてリリーがやってきた。背中の開いたタンクトップにミニスカートだった店の衣装から、ラフなグレーのスウェットの上下に着替えてきた。寿司屋には不釣り合いな派手なラテン系の女の子が店に入ってきた。歌舞伎町では日常的な事なんだろう。店員が無反応だった。
「いらっしゃい!」
「ごめんなさい、待った〜」
「いや、ちょっと前に来たところだよ」
「あ〜、お腹が空いた〜」
「寿司は好きなのかい?」
「好き!日本的なところがいいのよ」
「そうか」
店員が彼女の分のおしぼりを持ってきた。
「松を1人前を2つお願いします、それと純米酒の立山を一合、お猪口2つで」
リリーを待っている間、お酒のメニューを見て、旨いけど価格がリーズナブルな立山があった。
「とりあえず頼んだから、必要があれば別に頼んでいいよ、さっきビールを飲んでたから日本酒にしたよ」
「うん、十分よ」
「この店はよく来るの?」
「たまにお客さんと、だけど今日はプライベートのつもりよ」
日本酒が運ばれてきた。お猪口に注いでやり、「乾杯」と軽くお猪口を合わせた。
「普段はあまり飲まないけど、日本酒も好き」
食べる速度に合わせて寿司がカウンターに置かれた。リリーは酒が一合では足りないようなので、もう一合追加した。飲み終えた後、そこそこお腹いっぱいになった。
店を出て、リリーが無言になった。
俺が「ホテルへ行こう」と言ったら、
「うん」と言ってリリーが腕を組んできた。185cmの俺には丁度いい身長だ。
ホテルで俺はリリーに驚愕し、感動した。リリーは映画や雑誌の女優やモデルに引けを取らない、いやそれ以上にキュートで美人だ。身長は170cm位で張りのある魅惑的な乳房、ウェストが細くて多分56、7センチ、お尻は桃尻でデカい、95センチは楽に超えていると思う。しかも腹筋が割れていて無駄な脂肪がない。そして足が長く芸術的、いや、女神級のプロポーションをしていた。
女神の様な凄まじいプロポーションの美人なのに、俺に対して甘え上手で、情熱的でエロかった。前世では数え切れない程女遊びをしたが、俺はリリーに完全に打ちのめされた。これ程の女は2度と出会う事はできないと思ってしまった。俺は運命に感謝した。
次の週も23時前に入店した。席に着くとリリーが店の左奥の客の横に座っていた。目が合うと小さく頷いた。
「いらっしゃいませ、いかがしましょう」
ボーイが言ってきた。
「指名でリリーさんをお願いします」
店内のアナウンスでリリーが呼ばれてやってきた。俺の左横に長い脚を斜めに揃えて座った。
「来てくれて嬉しい。チョット心配してたんだから」
「そんな訳ないじゃないか、俺はリリーに出会えた幸運に感謝してるんだ」
「嬉しい〜」
リリーが俺の左腿の付け根近く右手をおいて、顔を俺の左肩に寄せた。
「飲み放題にする?」
「いや、ボトルを入れるよ」
リリーがボーイを呼んだ。ボトルメニューを見ると、1番安いのが焼酎だが、ウィスキーやワインの価格は一番安くて1万5千円からだった。前世ではウィスキーを色々飲んだ。酒は造られる土地によって風味や味が全く違う。前世ではウィスキーで一番好きなのはカナディアンクラブの12年だった。メニューにはないので、俺は3万円のオールドパーを選んだ。
「オールドパーをお願いね」
リリーがチョット誇らしげにボーイに言った。
「いいの?高いのに、私に気を使わなくてもいいのよ」
リリーが心配そうに言った。
「大丈夫だよ。リリーを指名するんだから、これくらいしないとな」
「ユウジって仕事何してるの?」
「学生だよ、副業でパチンコもね」
「ふ〜ん、パチンコって儲かるんだ」
「まあまあかな」
「ところで今日も行くんでしょ?お腹ぺこぺこなのよ」
「もちろんだよ」
「よかった」
リリーが嬉しそうに抱きついてきた。
ボーイがオールドパーのボトルとグラス二つ、アイスペール、ミネラルウォーターを持ってきた。
「水割りでいい?」
「薄めにしてくれる」
リリーは自分のグラスに、ほとんどオンザロックの水割りを作った。外人はアルコールに強いんだと思い出した。
軽くグラスを合わせた。いい女にいいウィスキー、最高だ。
「ところで、リリーの仲のいい子や世話になってる子ってどの子?」
「うん〜、ベルとルルとベッキーだよ、一緒の部屋で暮らしてるんだ」
「お店が近くにアパートを借りてくれて、1部屋に3段ベットを二つ入れて、一部屋に6人、二つ部屋があるから合わせて12人だよ」
「狭くないか?」
「狭いよ〜、だから荷物とか着る物を段ボールに入れて積み上げているのよ」
「食事はコンビニの弁当なのよ」
「誰かに助けて欲しいよ」
「華やかそうに見えるけど、大変なんだな」
助けてやりたいが、未成年の俺ではマンションを借りることもできない。それに今は投資資金を稼ぐのが最優先だ。それまで俺の恋人でいてくれよと切実に願った。リリーのオーラを確認すると、自分は来日時に借金しているにもかかわらず、毎月フィリピンの実家に仕送りしているのがわかった。これほどの女だ、自分を犠牲にして金持ちの愛人になるのは容易に想像できた。
俺は前世で知っている。フィリピンやベトナムやタイから若い女の子を、「日本でお金をたくさん稼げるから」と、パスポート、渡航費用をぼったくって、日本の風俗店に売るんだ。店では安いアパートに4〜6人を一部屋に押し込んで、家賃と食事代をガッポリ取る。知らない事をいいことに、ぼったくりの渡航費用と日本での生活費で女の子達は借金漬けだ。現地のブローカー、仲介業者、日本での店舗は暴力団と何らかの関係がある。
時給も日本のキャバクラより安く働かせている。〇〇ありのエステでは1万円の〇〇につき半分の五千円がバックされる。
更に過酷なのはストリップだ、店の奥に小さな部屋があって、5000円で1日に何十人と〇〇させられる女の子がいるのだ。なぜ知ってるかって?前世で体験済みで、仲良くなると女の子達が身の上話をしてくれたからだ。リリーの場合、その美貌とプロポーションで風俗に行かなかっただけだろう。
ボトルを入れると延長料金は取られないが、客が少ないと女の子達が群がってきて客のウィスキーを飲む。店としては追加注文させたいわけだ。俺としてはリリーに飲んで欲しいが、リリーの顔を立てたいので仲の良い女の子を事前に知っておきたかった。
少し長めに俺の席にいたが、結局お呼びがかかった。
「ごめんね、すぐ戻ってくるから」
「わかってるよ」
リリーが席を離れると、入れ替わりで女の子が席に着いた。
「初めまして、エリザベスです」
ポッチャリした外見が白人の女の子だった。前に着いたかかもしれないが、どうでもいい。
「お客さん、もしかしてユージ?」
「ああそうだよ」
「リリーが話してたわよ、いいひとができるかもって、今日も心配そうに待ってたわよ」
「そうか、それは嬉しいな」
エリザベスによると、リリーはこの店の一番で、よくお客さんと同伴して食事に誘ってもらっているそうだ。同伴は店の出勤前に客と二人きりでデートをして、遅れて客と一緒に店に入ることをいう。ただの食事でも同伴料はかなり高い、二人の食事代、同伴料、店での料金、もちろんボトルキープもする。結構な金額がかかる。常連客になって、なおかつ女の子がいいと思わなければ〇〇〇〇付きの同伴はできない。女の子が嫌なら同伴そのものができない。○〇〇○へのハードルは高いのだ。〇〇〇〇だけが目的ならば、ソープランドの方がはるかにお得なのだ。そう思うとリリーとの関係は奇跡的な幸運と言える。
仲の良い子が2、3人、席に着いて、閉店間近にリリーが戻ってきた。
「もうやんなっちゃう」
俺に薄めの水割りを作ってから、自分のはオンザロックみたいな水割りを作って、乾杯した。程よく飲んで閉店となった。今日入れたウィスキーはお情けに少しだけ残っていた。
「今日はここよ」
とリリーが言って名刺を渡してきた。
店を出て名刺の裏を見た。焼き鳥屋だった、矢印やら線が書いてあるが、これが地図なのかと思える代物で、この辺に焼き鳥屋が何軒かある。とにかく店周辺を歩きまわって、なんとか目指す焼き鳥屋に着いた。
焼き鳥屋が混んでいるので店の前でリリーを待った。
「お待たせ」
リリーが普段着でやってきた。白いスニーカーに長い脚にはデニムのジーンズ、白いTシャツをジーンズの中に入れて、やや幅広の茶色のベルトをしていた。白いTシャツの上に丈が短いスウェットのパーカーを前を開けて羽織っていた。Tシャツのラウンドネックに形のいいオッパイの輪郭がはみ出ていた。誰もが振り返る抜群にいい女がそこにいた。
「焼き鳥屋でよかった?」
「ああ、俺も好きだよ」
店に入ってカウンターに座った。
「好きなの頼んでいいぞ」
「ユウジに任せるよ」
「そうか、俺が好きなのをひと通り頼むから、気に入ったのがあったら追加すればいいよ、何を飲む?」
「レモンサワー」
レモンサワーを2杯頼んで、焼き鳥を、ねぎま、ひな、レバー、ハツ、タンをタレと塩で1本づつ、しいたけ肉詰め、ピーマン肉詰め、うずらを2本づつ、だし巻きたまごと枝豆を一個づつ頼んだ。焼き鳥は時間がかかるからこの調子だと2、3時間はかかるし、あっという間に明け方になっちゃうぞ。俺は焼き鳥が焼き終わらないうちに、英語の教科書、具体的には流行った映画の原書を出した。「華麗なるギャツビー」を2冊テーブルの上に出した。一冊は日本語訳をメモした俺用と、未記入のリリー用の一冊だ。
「時間があまりないから、悪いけれど、これ初めから声を出して読んでくれないか?」
「それから焼き鳥で汚すなよ」
「オッケー、アッこれ映画のやつだよね」
リリーが読み始めた。
おっ、ネイティブじゃん、見直したぞ。
「うん、そこまでで一旦いいよ」
俺が同じところを読むと、
「スタップ(ストップ)」と言ってネイティブ発音で俺の発音を直してくれた。俺が真似して言うと
「んノー、ノー」と言ってゆっくり発音してくれる。一つの単語に5、6回やり直しになった。もう全然前に進まない。焼き鳥を食べながらで2時間もたってしまった。英会話は霊体意識で時間短縮できなかった。
焼き鳥屋を出て改めて見ると、リリー先生が偉く見えてきた。
ラブホテルの部屋に入ると、すぐに浴室に入ってシャワーを浴びた。お互いに身体を密着させて洗いっこした。全身をボティソープで洗った後、右手を俺の首に回して情熱的なキスをしていた。
迫り上がってくる熱く爆発するエネルギーを、リリーが全身で受け止めてくれた。リリーを見下ろして、前世でもこれほどの女に出会ったことがない。手放したくないと、本当にそう思った。
時間は明け方の4時近かったが、4時間ほど睡眠が取れた。新宿プリンスホテルでモーニングビュッフェを食べた後、俺はパチンコ屋に向かった。リリーはアパートに戻って寝るそうだ。
リリーの店にはその後毎週通っていた。ボトルは1っか月で3、4本を空けた。月に約20万円の出費だ。リリーに年齢を聞くと18歳で、16歳の時に日本に来たそうだ。俺より2歳年上だ。自分が高校生とは言えないので、大学1年の19歳ということにした。
「えー、そんなに若いんだ。一つ上なんだね?」とビックリしていた。本当は2歳下なんだけどな。
高校生になって、パチンコ玉1個が2.5円から4.5円に、電動にもなったので稼ぐ金額が増えた。パチンコ1箱が7000円位になった。平日が10万円✖️20日間で200万円、土曜日が15万円✖️4日間で60万円、日曜日が25万円✖️4日間で100万円、月間合計が360万円だ。リリー関係の費用が月間20万円程度、マンションの家賃、水道光熱費、食費その他を多く見積もっても合計費用が15万円程度だ。尚、1973〜1975年の物価は、大卒の初任給が7万円程度、都内一戸建ても2000万円程度で買えた。
通常の月間収入は360万円✖️12ヶ月で4320万円、夏休み等の期間のプラス収入が年間300万円、年間合計収入金額は4600万円になる。生活費15万円✖️12ヶ月で約180万円、学費が50万円、リリー関係費20万円✖️12ヶ月で240万円、差引年間手取額は約4100万円になった。




