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中学生の自分に会いに行く

 また霊体離脱を試みてみた。空を飛んだり、瞬間移動を行えることは確認済みだ。

(未来に行けないだろうか?)

 意識を未来に向けた。全体がぼけて見えて、見えるところが一部分しかわからない。その見えた画像の時間軸は曖昧な感じだ。とても転移はできなかった。

(では、過去はどうだろうか?)

意識を自分の過去に向けた。霊体意識に刻まれた鮮明な情景が見えた。

 赤ん坊の時に意識を向けた。赤ん坊の自分のそばに転移した。若いお袋が赤ん坊の俺にお乳をあげていた。お袋が首の座っていない小さい俺を大事そうに抱えて、

「ゆうじ、お腹すいたでしょー、ママのオッパイでちゅよー、」

「おいしー、そう、よかったでちゅねー」

と若いお袋が笑顔で言った。お袋の溢れる愛情が、腕の中の小さい赤ん坊とそばにいる俺の心の中に流れ込んできた。“愛情って温かいエネルギーなんだ“と思った。俺は涙を流して、

(ありがとう、愛してくれて)と心の中で思った。

 

「そう、うれしいのー、ママもうれしいの、ゆうじがうれしいとママもうれしいの」

 若いお袋が俺の心の声に反応して応えた。生まれたばかりの小さい赤ん坊に、お俺は胸が詰まる様な愛情が湧き上がり、”がんばれ“と心に思った。自分自身なのにどうしてなんだろう。守護霊の意識はこんな風に愛情に溢れているに違いないと思った。


 時間が少し経ち、若いお袋がいなくなったので、1人になった赤ん坊に霊体を重ねてみた。他人と違って同じ俺なので重ねることはできた。だが、赤ん坊の様に未成熟な魂の器に、今の成熟した霊体をそのまま同調し融合することができなかった。赤ん坊の時の自分に霊体を同調しようとすると、人生で経験した記憶、知識、感情が融解していきそうなので、瞬間的に同調を中止した。

 俺は大人の思考能力と霊体意識に記録した膨大な知識を保有した現在の自分のまま、過去の若い自分に同調させ、もう一度、人生をやり直したい思った。

 試行錯誤が続いた。5歳、10歳、11歳、12歳、13歳、14歳、・・・。どうやら思春期以降が現在の意識を保持したまま同調できるギリギリの線だと思った。思春期以前の自分に同調すると融合が始まりそうで、一体化してしまうと戻れないかもしれないと思った。


 ※過去の経験や知識、成長に伴って得られる思考力、論理力、想像力といったものを全部削ぎ落とさなければ、赤ん坊に魂、霊体を入れることができないのではないだろうか。だから赤ん坊は無垢なのだ。

 もし能力と知識を保持したまま赤ん坊に転移し続けることができたなら、数万年に及ぶ過去世の記憶を保持したまま赤ん坊に転生できるなら、もはや地球の人類ではないと思う。

 仮にアインシュタインの様な天才が知識や経験の記憶を保持したまま数万年も転生を繰り返したとしたら、アインシュタイン1人ではなく惑星上の全ての人類がそうであったなら、想像もできないほど超高度な文明が発達しているだろう。宇宙にはその様な惑星、人類が必ず存在すると確信した。

 

 霊体で過去の自分に転移できると確信した。いつもの若い看護婦にお願いして、鞄にしまっていたIPadを出してもらった。看護婦はリハビリになるならと思っていた。力が入らない手を念動力を使ってIpadにタッチした。ゆっくりだが操作することができた。

 過去に上昇した株式の株価データを出して記憶しようとしたが、老人には記憶力がないのがよく分かった。そこで霊体意識で画面を見た。10秒ほど眺めると、鮮明な画像として記憶というよりも記録ができた。そして意識すれば鮮明な画像を再現することができた。霊体意識に容量無制限の記憶媒体の能力があった。そこで、世界中の金融データ(株価、金利、債券)、世界の地価推移、世界の税制だけでなく、過去に起きた出来事を取り込んだ。時間をかけて欲しいデータ取り込んでいった。

 人生をもう一度やり直せるなら、一番戻りたいか過去は中学2年生だ。

 


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