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86年フィリピン訪問(リリーと結婚の約束)

 86年、フィリピン教育省の認可を受け、農村部の小学校を訪問することにした。リリーがヘリコプターを購入していた。教育省からもらった学校のリストを地図に印をつけて訪問する小学校を決めた。フィリピン本島においても農村部の社会インフラは整っていなかった。移動手段はヘリコプターにした。宿泊施設も必要だった。ODA学園の建設を85年からしており、優先していた宗教法人ODA真理の施設は完成していた。ODA真理総本部から近隣の小学校へ自動車で周ることにした。

 シンガポールからプライベートジェットでフィリピンに飛んだ。マニラの空港に着くと、ジャットの横にはキャデラックのロングタイプが停車しており、女神のように美しいリリーが立っていた。

「ユージ!」

 タラップを降りると、リリーが抱きついてきた。細いウェストに腕を廻した。弾力のある胸が俺の腕の中にぎっしりと詰まった感じになった。

 キスをしてリリーを見た。“美しい”“愛おしい”と思った。抱きしめると香水に混じったリリーの体臭がほのかに匂った。俺はこの匂いが好きだ。リリー本人は気づいていないが、フェロモンだと思う。リリーを抱く度にそう思える。リリーを抱きしめると、心が落ち着いて、でも性欲も強くなって、幸せな気分になる。輪廻転生を繰り返してやっと出会うことができた女だと思う。

 重厚な防弾のドアを開けて車の後部座席に座った。

「リンカーンをやめてキャデラックにしたのか?」

「リンカーンはナンシーにあげたの、キャデラックはユージ専用よ。アメリカ大統領専用車両、通称ビーストにするように注文したの」

「大統領専用車はアメリカの機密事項だろう、よくできたな」

「“ビースト”を製造しているGMCに頼んだら、50%の能力でいいなら造るというからお願いしちゃった」

「フィリピンの道路は狭い道もあるから、車体の長さをリムジンとしては少し短くしたのよ」

 運転席と後部座席との間には防音ガラスがあって、リリーがスィッチで透明からスモークに切り替えした。

「ユージ、聞いて欲しいことがあるの、ナンシーのことなの」

「ルーシーはシンガポールでユージといるでしょう。フィリピンでは私に遠慮しているけど、ユージのことをここでずっと待ってるんだと思う。外見では強がっていても、よくため息をついて悲しそうな顔をしているの。だから、コンドミニアムにいる時はナンシーに優しくしてあげてくれる?」

「リリーはいいのか?」

「嫌だけど、しょうがないじゃない!でも私がユージの1番だからね!」

「そっ、その通りです。もちろんじゃないか」

「チュッ」

「アタシは、今日ホテルに泊まるから、ヘリコプターの発着場に9時に待ち合わせよ。絶対に遅れないでよ」

「わかった」

 運転手がドアを開けて俺が車を降りて振り返ると、リリーが笑顔で手を振った。リリーの悲しそうな目が俺の心に刺さった。

「ドァン」

 ドアが閉まった。待機していたリリーの車が走り出した。

「ごめんよ、こんな俺で」

 俺は呟いた。


「ピンポーン」

「カチャ」

「ユージ兄様!」

 ナンシーが抱きついてきた。俺はナンシーを抱きしめてキスをした。ナンシーが舌を入れてきた。互いに舌を絡ませて長いキスをした。ナンシーの気持ちが俺の中に流れ込んできた。ナンシーの心が泣いていた。

「お帰りなさい。リリー姉さんは?」

「仕事で会合があって、今日は遅くなるのでホテルに泊まるそうだ」

「そうなんだ」

(リリー姉さん、ありがとう)

 夕食はイタリアンだった。リリーが一流シェフを雇っていた。ステーキの後、チーズを摘みに赤ワインを2人で飲んでいた。俺の前でナンシーが笑っていた。ナンシーの金髪が暖色系の電球色を浴びて周りを照らしていた。真っ白な肌にサファイアの瞳、やや大きめな口に程よく膨らみのある唇、整った鼻筋、ナンシーが話している内容が頭に入ってこなかった。ただナンシーに見惚れていた。

「ねえ、ユージ兄様、私の話を聞いてるの?」

「ごめん、お前に見惚れていた」

「エッ、本当?、それなら許してあげる」

・・・・・・

 2人で風呂に入った。湯船の中で抱き合ってずっとキスをしていた。

 まただ、ナンシーの心が泣いていた。俺はナンシーを抱き上げて寝室まで運んで、ベッドに横たえた。

 ナンシーを気絶させた。俺はナンシーの秘所に埋め込んだ極小水晶球を取り出した。

「ナンシー」

「ううーん、どうしたの兄様?」

「ナンシー、すまなかった。お前の身体にこれを埋め込んでしまった。これを埋め込むとその人間の居場所や風景を見ることができる。でも俺の念を通すと性感を刺激してしまうんだ」

「ごめん、お前とルーシーを誰にも渡したくなくてしてしまった」

・・・・・・

「そうなんだ、アタシをおもちゃにして、アタシの心をメチャクチャにして、兄様、責任とってよ!」

「ううううう、わあああ〜」

 ナンシーが泣き崩れてしまった。

「ナンシー、ごめん」

 肩を抱いても、ナンシーが振り解いてしまった。

「ううううう、ワワワ〜ン」

・・・・・

「ナンシー、これを渡したかったんだ」

「何よ〜」

「リリーと同じ水晶球のブレスレットだ、着けてくれるか」

 ナンシーが右手を出してきた。ナンシーの右手に付けると淡く輝いた。

「これを着けて、ユージ兄様!と強く念じると俺との念話が通じる事ができるし、俺はどこにいてもナンシーのために力を使う事ができる。これで遠く離れていてもナンシーを守る事ができる」

「じゃあ、前にリリー姉さん達とGTRでドライブした時、チンピラに襲われた時に不思議な事があったけど、あの時はユージ兄様がやったの?」

「そうだ、リリーのSOSが入ったからな」

「これって、リリー姉さんと同じなのね」

「そうだ」

「試してみていい?」

「口を閉じてSOSを出せば念話が繋がる」

“ユージ兄様、聞こえる?”

“ああ、よく聞こえる。念話をしている時は相手の感情も入ってくるから、気をつけないと、嘘をつけない”

“ユージ兄様のいやらしい気持ちも流れてくるよ”

“アタシが欲しいんだ。メチャクチャにしたいんだ”

“念話を切るからな、恥ずかしいだろう”

“えっ”

 俺はナンシーに覆い被さってキスをした。


 ナンシーが俺の胸の頭を乗せていた。

「リリー姉さんはどう思ってるのかな?」

「リリーはナンシーのことも愛しているよ。ナンシーだから許しているんだと思う。多分ルーシーのこともそう思っている」

「そうかあ、じゃあアタシが兄様のことを愛して、こんなことをしてもいいのよね」

「もちろんだ、こんな俺でごめんな」

 ナンシーが俺に覆い被さってキスをした。

「ひどい人、でも愛しているの」

 その後はナンシーが激しく求めてきた。

 

 ヘリコプターの発着場に着くと、ヘリコプターのドアが開いてリリーが出てきた。

「リリー姉さん、昨日はありがとう」

「昨日は仕事よ」

「ユージ行くわよ。ナンシー、後のこと頼んだわよ」

「はい、姉さん」


 大型ヘリコプターの内装はプライベートジェットの様に豪華だった。

「このヘリすごく居心地がいいな、ラウンジみたいだ」

「そうでしょう。でもダイニングキッチンとトイレがないのよ」

「これでもプライベートジェットと同じくらいの値段したのよ」

「ところで、農村部を訪問する計画はどうなっている」

「ヘリコプターで移動する核となる拠点を決めて、宗教法人施設兼宿泊施設、食材等の確保にスーパー、ガソリンスタンド、空手道場を設置するつもりよ。今、三友物産の小川さんのところで計画を練っているところ、運輸、物流倉庫、不動産運営会社の設立も必要になるそうよ」

「話がどんどん大きくなっていくのはいいことだ。小川さんは経営者として優秀だから、どんな計画になるのか楽しみだ」


 大型ヘリコプターがODA学園の小学校に着陸した。以前はマフィアの大親分の古城だったところだ。まだ、計画段階で測量が行われていた。

 古城から学校長と先生達が走ってきた。

「お待ちしておりました」

 学園長室の入った。ここが作戦本部になっていた。三友物産の学園担当の社員、建築士、建設会社に担当社員が既に待機していた。(さすがリリーだ、段取りができていた)

「学園の設計について説明して下さい」

 俺が言った。

 大きい完成予想図とA4サイズの完成予想図が配布された。団地のような建物が整然と並んだで、講堂、体育館、プール、陸上競技場が配置されていた。

「申し訳ありませんでした。配慮が足りませんでした」

 俺は頭を下げた。

「織田様、どうされたんですか」

 全員が驚いた。ODA教の教祖で、学園の創立者で最高責任者の俺が頭を下げたのだ。

「私からいくつかの提案があります」

「1、学校給食について、小学生の全員が一緒に食べられる大食堂を造ること。食べ終わったら各自が食器を洗い指定された場所に戻すこと、各クラスが責任を持つこと」

「2、体育館と講堂は一緒にする、観客席を造ること、クーラーをつけること」

「3、学校の教室、宿泊棟、食堂、図書館、体育館、プールの建物は繋がって雨に濡れないこと、全てにエアコンをつけること」

「以上です。私のイメージはSFの宇宙ステーションの様に建物を配置します。中央部に大食堂と講堂兼体育館、図書館、プールを作って下さい。外側の建物から放射状に繋がって雨に濡れないようにします。外縁の建物には1年生の教室と宿泊棟が1階、2年生が2階、3年生が3階というよう宿泊棟と教室が同じフロアになります。

「未来の近代都市を創造して下さい。前期、後期の中学、大学、研究施設は、その都度考えて下さい」

「ただ、オリンピックの競技種目の練習施設を作っておきたいですね。陸上競技場、プール、野球場、テニスコート、武道の道場、ゴルフ場、ヘリポートも欲しいですね」

「フィリピンにこんな学園都市があったのかと世界中に誇れるものを造って下さい、アイデアは建築家だけでなく、SFのアニメーターでもいいでしょう。設計に悩んだら、世界に誇れる施設なのかを自問自答して下さい。資金のことは考えなくて理想を追い求めて下さい」

「織田さま、質問してよろしいでしょうか?」

 三友物産の担当者が手を挙げた。

「どうぞ」

「先程、ゴルフ場、ヘリポートと申されました。学園都市の規模はどのくらいに想定すればいいでしょうか?学校の配置も考慮する必要があります」

「ありがとう。いい質問です」

「小学校、中学校、大学、大学院、研究施設、次世代技術製造工場、倉庫、輸送会社、ODA真理協会施設、八島流などのスポーツ施設、従業員の住居区域、外部からの宿泊施設、ホテル、スーパーを中心にした複合商業施設、オリンピック会場のような7万人以上の自動開閉型の大型競技場、ゴルフ場、飛行場、今はこれくらいしか思い浮かびませんが、未来都市をイメージして下さい。新しく施設を建築するかもしれないので、敷地は広く確保して下さい。建築の優先順位は、学校、ODA真理教会からとします」

「未来都市ですね」

「そうです」

 出席した関係者は、夢見る宗教家だと誰もが思った。最貧国のフィリピンで立派な施設を建設しても、莫大な開発費と維持費を捻出しなければならない。この計画はODA.HDの重石になって頓挫するだろう。

「全てを今、建設する必要はありません。都市計画に従って少しずつ実現すればいいのです。まだ小学生が少し集まった段階です。将来的に彼らが大学生になり、研究員になり、最先端の商品を製造する環境を用意できればいいと思います。ODA真理協会信者が増えたならば、オリンピック会場のような施設で大会、お祭りができればいいと思います。その様な心づもりで予め土地を用意し、都市計画を構想してほしいのです」


「学校長、今の段階で生徒の受入はどの位できますか?」

「プレハブの仮設住宅と教室で3カ月後に1000人まで受け入れが可能です」

「数年はプレハブになると思いますが、よろしくお願いします」

「かしこまりました」

「今日の訪問する予定の学校はどうなってますか?」

「先方の校長に話をしてあります。ここから車で1時間の場所です」

「ではこれから行きましょう。食事は自動車の車内でとりましょう」

「はい、私の車が先導します」学校長がいった。


 車は日本の三菱のパジェロロングが5台もあった。パリダカールラリーで優勝したパジェロが小学校にあった。フィリピンの悪路走破にぴったりの車だ。さすがリリーだ。ガソリンスタンドがないからタンクローリー車があった。

 目的の小学校に着いた。近隣の住民が既にきていて、布を敷いて各々座って俺の到着を待っていた。俺が到着すると、先生達が人員整理して道を開けてくれた。校内アナウンスで生徒達が出てきた。ここの校長に導かれて、教壇の上に立ち、見渡した。病人と怪我人を見るためだ。若い人で重症な人を選ぶ。俺は教壇を降りて人混みの中を歩いた。後ろから学校長と報道スタッフがついて来た。

 俺は1人の女の子の前に立った。おそらく6〜8歳くらいの女の子だ。俺は彼女の手を取った。教壇の上まで彼女の手を取って上がらせた。

「あなたはどこが悪いのですか?」

「どこも悪くありません。ただ生まれた時から目が見えません」

「そうですか、それは大変でしたね、わたしに目を見せて下さい」

 彼女の目は無かったというか成長が阻害されてひどく小さかった。


「ご家族の方はいらっしゃいますか、若い人がいいです」

「アタシです」

 一緒についてきた小さな女の子が言った。

「あなたは?」

「妹です」

「お姉さんの名前は?」

「マリアです」

「ここにいるみなさん、どうかマリアのために祈って下さい。その祈りの力を私に注いで下さい。マリーにはほとんど眼球そのものがありません。みんさんの力が必要です」

 俺はマリアを気絶させた。目に指を突っ込んんだ。機能していない部分の障害になっている部分を除去していった。両目がくり抜かれた。壮絶な状態になっていた。

「妹さん、あなたの両目は見えますね、こっちにきて下さい」

「はい」

 俺は霊体意識になって妹の左目の上に左手を置いた。マリアの左目に右手を置いた。妹の左目の構造をコピーしていく。マリアの左目は脳神経の接続細胞も欠如していた。分子レベルで妹の眼球と脳に繋がる神経細胞を3次元コピーをして、細胞を再生していく。脳の内部に眼球に繋がる血管を圧迫する箇所があった。これが眼球の成長を阻害し、神経も圧迫していたのだろう。妹の神経と血管の配置に合わせて再生していく。自分の霊体意識の視界を数万倍に拡大して神経細胞と血管を再生し、圧迫する箇所を除去していく精密な作業を行う。民衆からの祈りのエネルギーを光のエネルギーに変換する。自分がコンデンサーの様な働きをしているためか、身体全体が発光しているのがわかる。時間を加速させて再生を続けた。緻密な作業だ。光の粒子を可視化させて照射する。数十分かけて両目とも再生が終了した、目を覆う皮膚も伸ばした。目の前には妹の目とそっくりの目があった。俺はマリアの目の上に両手を乗せていた。

「マリア、起きろ」

「はい、オダ様」

「俺が目の上の手を退けるから、ゆっくりと薄目で前を見てくれ」

 ゆっくりと僅かにマリアのまぶたが開いた。

「眩しいです。光が見えます!」

 マイクがマリアの声を拾った。

「おおおー」

 観衆がどよめいた。

「お姉ちゃん、見えるの」

「眩しいけど、見えるよ、見えるの」

「うううう、アアアアアア」

 マリアと妹が抱き合って泣いていた。

 俺はリリーと学校長を手招きした。

「2人ともギフテッドだ、特にマリアは特別なギフテッドだ。あとは頼んだぞ」

「お任せ下さい!」

 学校長が言った。


 ODA学園を中心に周辺の小学校を訪問した。宗教施設、ODA真理本部内にある教祖の特別区画内のレストランにリリーと食事を取っていた。

「拠点がないと小学校を周りきれないな、ヘリコプターの燃料補給基地も必要だ」

「リリー、生徒を集めることを優先させよう。都市部のスラム街にある小学校も訪問することにする。計画を練ってくれ、頼む」

「わかったわ、明日の会議で方向性を決めましょう」


 学園にいる時は毎日リリーと愛し合った。愛しているからリリーを抱きたかった。

「ユージ、私ピル飲んでないわよ。それでもいい?」

「ああ、多分そうだと思っていた。いいよ」

「子供ができたら、ユージはどうする?」

「もちろん嬉しいさ、産んで欲しいよ」

「私、ユージと結婚したい」

「ああいいよ、俺も前から結婚しようと思っていた。でも今はダメだ」

「いいの、結婚して、本当ね」

 リリーが本当に嬉しそうだった。リリーよりも素晴らしい女はいないから、いずれは結婚すると思っていた。

「ただし、条件がある」

(先にしっかりと言っておかないとな、リリーは案外嫉妬深い、俺は拘束されるのが大嫌いだ)

「女遊びに文句を言わない。瑠美子、麗子、ナンシー、ルーシーとの間に子供ができても許すこと」

「だけど、結婚するのはリリーお前だけだ。いわば第一夫人だ。俺とお前の子供が男子ならば、俺が造る企業群の跡取りとする。ナンシー達を含めた他の女達をリリーがまとめること、そんなところだ、よく考えてくれ、俺は助平で女好きのだらしない男だ、それでもいいなら結婚する。俺が1番愛しているのはリリーなのは生涯変わらないと誓うよ」

「むぎゅ〜」

 リリーが俺のほっぺたを両手でつねった。

「ウソおっしゃい!まだ他にも女がいるでしょうー。東京のアタシの店の女の子達とやってるでしょう!、広尾の会社の女の子達もあなたの女でしょう!」

(やばい、やばいぞ、頑張れ“俺”、主導権を握られてしまう、挽回しろ!)

「いや〜、その〜」

(そうじゃない、頑張るんだ)

「瑠美子と麗子とナンシーとルーシーは本気だけど、他の子は浮気だから」

(やばいぞ、ばれている)

(ベッキーとベルはどうしよう。ここでバラすか)

「リリー、ごめん、自分を抑えられないんだ、無理ないんだ、こんな俺でよかったら結婚する」

「ああ〜、ずるい、ずるい、アタシが浮気したら、どんな気持ちになる?」

(ドキッ、考えもしなかった。相手を殺してしまうだろう)

「ごめん」

「アタシは優しいから、ゆ、る、し、て、あ、げ、る」

「むぎゅ〜」

「いたたたっ」

(ダメだ、リリーには勝てない、惚れているから、言い返せない)

「いつ結婚してくれるの?」

「フィリピンの体制が整ったらリリーの仕事をナンシーに譲って、リリーがシンガポールに移ってからだ。シンガポールがODA.HDの本社だから、正妻のリリーがシンガポール在住していないとおかしいだろう」

「他の女の子達はどこに住まわせるつもりなの?」

「俺の考えでは、オーストラリアは瑠美子、ニュージーランドは麗子、ルーシーがインド、ナンシーはアメリカ、フィリピンとハワイは決めていない」

「ふ〜ん、なんだか世界中に女ができそうね」

(そうかもしれない。鋭いな)

「そんな事あるわきゃないだろう」

「とにかく、私がシンガポールに行かないとダメだわ」

「そ、そうだな」


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