フィリピンで全寮制学校創立(85年)
84年、過去に壊滅させたマフィアの大ボスや子分達が所有していた広大な敷地と建物が競売に出されていた。ロジャーから連絡が入り、俺とリリーはプライベートジェットでフィリピンに向い、リリーの会社で落札した。落札後も近隣の土地取得をロジャーに指示した。
未来に成功するIT系の創立者は知能指数が高い、ギフテッドと呼ばれている。
例えば、ナポレオン145、アインシュタイン160、フロイト156、ビルゲイツ160、ホーキング160、イーロンマスク165、スティーブン・ジョブス140。
知能指数の比率は、130以上(2.5%)、140以上(0.4%)、150以上(0.05%)と言われている。
フィリピンの1980年台の年間出生数は180〜190万人だ。仮に180万人だとすると、180万人✖️0.4%=7200人、IQ140以上の天才が毎年7200人も生まれている。
日本の場合を例にとると、東京大学の学生のIQは130だと言われているが、日本人は世界でもっとのIQの高い国で平均112である。そこで東京大学の学生のIQを世界標準に修正し仮に135と想定すると、年間出生者数100万人✖️1.1%=11000人となる。東京大学の1学年の生徒数は3000人で、京都大学3000人弱、他に大学の医学部を合計すると大体合致してくる。おそらく東京大学の合格者のIQは135〜137くらいではないだろうか。多くが官僚になり、ごくわずかな人間が研究者になり、その一部がノーベル賞を受賞しているかもしれない。
ギフテッドのその後の追跡調査では、かならずしも成功者になっていないとの研究結果がある。社会での適合性に難がある人間が多いのがその理由だ。ギフテッドの能力的な特徴は数学と暗記の能力が高い。数学を使う情報化学、半導体関連、あるいは会計学に適性がある。暗記は法律にも向いている。
フィリピンではIQ140以上(0.4%)の天才が毎年7200人出生し、10年間なら7万人になる。貧しさ故に能力を発揮することなく、埋もれている。
高度で適切な教育環境の下でギフテッドを育てれば、非常に優秀な人材になるはずだ。
俺はオーラを見ることができる。頭の良さはアバウトだがわかる。俺は優秀な人材を発掘し自分の下で育てたいと思った。
俺は学園都市を造ることに決めた、三友物産の小川支社長にプロジェクトのプロデュースを依頼した。土木工事、建設作業員を農村部から雇用するようお願いした。
83年のアキノ上院議員の暗殺事件を契機に海外からの観光客と投資の減少で、フィリピン経済はマイナス成長となり失業率が上昇した。農村部を中心に貧しい者はより貧しくなった。落札した農場を含む広大な土地では、ジョージパパ達の農村や他の多くの農村の住民が働いていた。彼らの借金はなくなったが、元々収入が低かった。俺はこれらの人達を助けたかった。
85年、建設が進みプロジェクトの計画図を小川支社長と学校法人の代表者のリリーを伴ってフィリピンの教育省に、学校法人の設立認可と教師募集の支援をお願いに参上した。政府には資金がなく、外国からの投資を喉が出るほど欲していた。フィリピンの人材育成と発掘、雇用促進、全ての費用をリリーの会社の負担で行うのだ。諸手を挙げて応援するといった。海外からの資金で、雇用促進、将来のフィリピンを担う人材育成を行う事業を、政府主導で成功に導くとしてテレビと新聞を通じて大々的にニュースにした。
政府のお墨付きを頂いたので、俺は、全国の幼稚園、小学校を訪問して人材発掘の行脚を定期的に行うことにした。また責任者をリリーにしたので、ナンシーと2人はフィリピン駐在とした。リリーは俺と離れ離れになることを嫌がったが、俺はリリーをフィリピンの英雄にしたかった。リリーのためにフィリピンにもプライベートジェットを購入した。フィリピンからシンガポールまで4時間くらいだ。好きな時に飛んでくればいい。
フィリピンでは、日本の小学校にあたる初等科6年、日本の中学校と高校にあたる前期中等科4年、後期中等科2年が義務教育になっていた。(ただし全員が就学していない)
俺は幼稚園と小学校を訪問した。小学校の低学年以下の知能指数140以上(0.4%)を発掘するためだ。大体200人に1人の計算だ。月曜日の朝の朝礼に参加すれば効率がよかった。フィリピンの小学生の1クラスは40〜50人、1学年が10クラス弱の400〜500人くらいだ。だから小学校1つの低学年で1200〜1500人の生徒数だ。一つの小学校訪問で6〜7人を発掘できた。後は両親を説得するだけだ。スタッフとして同行している教師を派遣した。フィリピン全土に知能指数140以上の生徒は1学年に7200人いるはずだが全員は無理だ。貧しい農村部を中心に人材発掘をした。
俺は小学校の1学年の生徒数を最大で1000人を募集することにした。1クラス40人、25クラスだ。1〜3年の低学年を募集した。毎年学校の規模を徐々に拡大していくつもりだ。一大事業に見えるが費用は案外安い、農民の年収が6万円の国だ。子供1人の年間生活費は多くても2万円、最初の年は2万円✖️3000人(3学年)だから6000万円、教師の年収を15万円とすると、15万円✖️25=375万円、3学年なら1125万円、6学年なら2250万円にしかならない。運営の人員や責任者を入れてもたかが知れているのである。
最も苦労したのが教師の確保だ。1学年25人の担当で3学年75名必要だ。ギフテッドの生徒だから小学校卒業時には中学校の勉強も終了している可能性が高いと思われる。中学校では大学の勉強をさせる予定だ。追々中学校と大学の施設も必要になる。中学校、大学では、情報科学、法律、会計学、宗教学(小学校、中学校のみ)を中心に学ばせる。後期中学校で情報科学専攻を中心に、特に優秀な100人を毎年海外留学させる。留学先の大学4年間の費用は1学年100人、1年生〜4年生の400人として、100人✖️4✖️2000万円(留学費)=年間80億円の費用になる。フィリピンの学校在学時よりも海外留学費用が多くなる。
教師は法律学、会計学、情報科学の現役社会人及び学生を募集した。別に教員資格がなくてもいい。実社会に特に必要な知識と技術を学ばせる。法律と政治分野の学生は大学在学中に公認会計士、弁護士の資格を取得させる。情報科学については、大学と大学院で世界最先端の技術者を招聘し研究させ、特許を取得させる。
海外留学組は、後の世で世界的IT企業になる人物のいる大学に留学させたり、設立間もない無名な会社の段階で就職させる。毎年100人の天才を送り込むのだ。世界中の名だたる企業、ITを含めて金融、機械工学、最先端企業に送り込む。先進国の政治、経済のどの分野の中枢にもODA.HDの教え子がいる状況を作り出すことが目標だ。