冒険の始まり
マキは、昨日のことも忘れ朝からゴソゴソ動いている。
今日は、朝から冒険者ギルドに行くことを考えていた。
一人で行くのは怒られると思い、兄とこそこそ昨日から相談。というか一方的にお願いしていた。
「お父さん、これから冒険者ギルド行ってくるね。せっかく冒険者になったし、依頼をうけてみ・よ・う・か・と↓?…」
父の顔色をうかがいながら、恐る恐るいった。
昨日兄と相談して決めていたのだった。(両親には内緒だけどね)
「あー、約束したかも。面倒見るか」
と父に言う。
兄は、口数が少なく寡黙。でも、しっかりもしている。
鍛冶師ということもあり、サポート職の分類ではあるが、攻撃力は高い。スライムやゴブリン程度は、何とか倒せているのは知っている。
何度か武器、防具になる資源集めにも行っていた。
「昨日ひどい目に合ったばかりなのに…しょうがない。カルジが行くなら。うーん」
父は、悩んではいたが、許可を出した。
娘は冒険者にあこがれていた、ここで許可しなくてもいつかは駄々をこねて一人で行ってしまう。
そんなことになる前に、ある程度のことは学んだ方がよいと考えたのだった。
冒険者ギルドに行けば、仲間もいるかもしれない。いい出会いがあればとも思っていた。
母は、心配していたが父のアイコンタクトで察したのか、何も言わなかった。
心配は付きものではあるが、ずっと親として面倒を見るわけにはいかない。
遅かれ早かれ、離れていくものだ。
ギルドに到着すると
「ここに、依頼があるよ。マキは、ランク低いから採取だ」
兄は、必要最低限の説明をする。
マキも初めてのことなので、依頼ボードをじっくり見てはいるが、薬草の採取とマナ草の採取の依頼を選ぶ。
「お兄ちゃん、これにする。でも、マナ草ってどんな草何だろう?」
依頼書には、簡単な草の絵はあるものの、はっきりはわからなかった。
依頼書をとって、ギルド職員に手渡す。
「薬草とマナ草の依頼ですね。Fランクとそちらは、Eランク方ですね。よいでしょう。
あまりこの町から離れないで、森の奥まで入らないように。」
依頼の受領と簡単な注意をいう。続けて
「ところで、マナ草って知ってますか?」
ギルド職員は、尋ねた。
「し・知らない。教えてください。」
マキは答えた。
お店でよく、薬草、マナ草は見たことはあるが、加工されていて、外にどんな感じで自生しているかわかっていない。
ギルド職員は、やれやれという感じで
「マナ草は、葉には棘がある、こんな感じよ」
近くにあった図鑑をもとに説明した。さすがギルド職員といった感じだ。
初心者用に簡単な説明をしてくれて、冒険者ギルド2階には、冒険に役に立つ資料室があることを教えてくれた。
マキは、熱心に聞いていた。
門番にギルドカードを見せ、町の外に出た二人
近くの森を散策していた。
町の近くの森は明るく、きれいであった。
駆け出しの冒険者がよく集まる場所でもあるし、森の浅い場所でもあるので、
モンスターも少ない。ゴブリンとスライム程度だった。
「お兄ちゃん、薬草あったよ。」
「うん?」
「お兄ちゃん、マナ草あったよ。」
「うん?」
あっという間に、目的の物を見つけていく。
依頼では、5本づつらしい。
「マキは、運がいいな」
兄は、さっき説明を受けて薬草、マナ草のイメージが残っていてすぐ見て分かったのだと思っていた。
実は、マキは鑑定?を使えていた。なので薬草探し、マナ草探しは楽だった。
「なにこれ?マッチョ草だって!」
と言って、マキは、変わった野草も採取していく。
しばらく探索していると
「きゃっ!」
マナは、びっくりして、声を出した。
そこには、まん丸のモンスターのスライムがいた。
「お兄ちゃん、助けて、モンスター!」
初めてでちょっとしたパニックになっていた。
「お!スライムか」
兄は言うと、大剣を抜いた。
スライムは、最弱のモンスターの代表だ。兄も何度か倒しているから1匹ぐらいは余裕だった。
あっという間に、スライムに一撃を与え、スライムが飛散し、魔石とスライム液をドロップしていた。
マキは、魔石を取り、兄はスライム液を取った。
「お兄ちゃんかっこいい。すごい。尊敬!」
マキは、こっそり魔石をとり、兄のご機嫌とり。魔石の方が高く売れるし、鍛冶師としても武器へのスキル付与などに役に立つから、必要なはずなのだ。
兄もマキの職業は知っているから、あまり追及せずに仲良く分け合ったのだ(兄さんは大人)
褒められ、兄も少し喜んでいるようだった。
色々探しているうちに結構な量の薬草、マナ草が集まった。
次回の投稿は、10月13日を予定しております。