変わり果てたレン
新年あけましておめでとうございます。
これまで楽しみにしていた方大変もうしわけませんでした。
しばらく更新が滞っておりましたが、再開いたします。
コメントなど頂けましたら励みになります。
湖の村で休んでいた、マキ達。
ダンジョン攻略を再開する。
12.1階で鍛えたマキ達は、13階層、14階層と問題なく進めた。
15階層も祠で鍛えて武器も新しく強くなっていたので、楽々進めた。
長い間、ダンジョンも潜っていたマキ達一行は、区切りもいいし一旦15階のワープポイントを探し、キワザスに帰還することにした。
キワザスに帰還したマキ達は、再び宿を取りダンジョン産の資源をギルドに持ち込み売り払うといいお金になった。
そのお金で、少し食料事情も解消された町の食堂でみんなでごはんを食べることにした。
食堂に着くとエメダは、さっそく注文をする。
奴隷の頃が嘘のように、好きなものを注文しみんなのも聞き回る。
「お肉は、置いておいて、サラダとパンと飲み物とニウテ、カルジ達はお酒かな」
「お兄ちゃんは、まだ未成年です。ドワーフ族のニウテさんはいいけど、お兄ちゃんはだめです。」
エメダに少し怒った様子で、マキは注意する。
「マキちゃんは、お兄ちゃん大好きだよね」
「お兄ちゃんは、お兄ちゃんです。他に家族は、もういないので大切にしたいの」
マキは、照れながらも少しどこか悲しげ
「いい妹を持ったな。カルジ!」
「まーな。」
兄もまた、マキを大切に思っている。
わいわい騒いで食事を楽しんでいた時、マキは、ふと辺りを見渡した時どこかで見たような、見てないような人物を発見した。
ポータに住んでいたと思われるレンが偶然にも食堂に居合わせていたのだ。
ポータに住んで生き延びた者がキワザスに流れ着き生活しているのは知っている。その中に、レンがいたことに密かに喜んでいた。
でも、数カ月見ていないだけで以前接していた優しい面影もなく、やせこけ今までにない負のオーラを放っていた。
食堂ではみんなもいてなかなか話しかけにくく思い、その場では何もしなかった。
食事の後、くつろぎタイムだ。みんなそれぞれぞれバラバラに過ごした。
マキは、レンが気になり少し町を探して歩いた。クウィも一緒に行く。
町を探しているともう少しで日も落ちるというのに、町の外に行こうとする者を発見した。
そこにはレンの姿があった。
「レンさん。よかった。無事だったのですね。でも、もう夜ですよ。これから外に行くのは危険です。」
突然話しかけられレンは、かなり驚いていた。
「人違いじゃないですか?ダンジョンに潜るのであまり朝とか夜は関係ないのですよ。お嬢さん。」
レンは、平静を装い返答する。取り巻きの冒険者も反応する。
「夜も遅いのに、お嬢ちゃんの方が危ないですよ。もし、私達が危険な冒険者だったらどうしたのですか?」
不気味な微笑みを浮かべ、冒険者はいう。
「レンさんじゃないの?本当?」
「だから、人違いだと言っているでしょう。」
「でも、その杖に付けている魔石。グレートスライムの魔石だよね?私がつ・・私のお店で買ったものだよね?」
大切に使われているようで、魔力も満ちている魔石。マキが最初に作った魔石。忘れるわけがない。(魔石師の特殊能力っぽいけど)
本当に弱いスライム。それがグレートスライムに進化できる事なんか本当にあるのだろうか。
あったとしても自然界には極めて稀なこと。テイマーがスライムを育てた場合は進化するかもしれないが、そのスライムがもし死んで魔石になったとしても売ったりはしないはず。
そもそも、スライムを育てるテイマーもまた稀である。そんな中でグレートスライムの魔石を持っているということは、レンしか存在しないのだ。
「ごちゃ、ごちゃ、うるさいガキだな。やっていいかい?」
めんどくさくなったレンお付きの冒険者達が暴れ出す。
「きゃ。やめてください。レンさんとお話ししたいだけなんです。」
「クウィ~!!」
魔法で防御力を高め冒険者達の攻撃を耐えつつ訴える。クウィは、空中で待機はしているものの怒ってはいるようだった。
なんとかマキは攻撃を避けつつ耐えてはいたが、次第に避けられなくなってくる。
傷付くマキを見てなのか。
「やめろ!俺は何も命令はしていない。彼女への攻撃は止めるんだ。」
レンは、声を張り上げ冒険者に命令を下す。
その声に驚いた冒険者達は、
「じょ、冗談ですよ。レンさん。悪かった許してください。」
攻撃をピタリとやめ、媚を売るようなしぐさで、冒険者はレンへ謝っている。
レンは、冒険者に「レン」と言われてしまったので、困り果てた顔をした。
「ごめん。マキちゃん。
確かに俺はレンだ。
今は、冒険者をして生活を立てている。もう少しで20階層に到達できそうでマキちゃんと話している余裕はないんだ。
もう後戻りできないんだ・・・」
(最後の言葉は聞き取れなかった。)
マキは、少し悲しかった。ポーターでは優しかったレンだが、話し方が何故かきつい。
20階層まで行ける冒険者が、やせ細りひっ迫した生活をするわけもないと怪しいとも思った。
取り巻きの冒険者も廃人のように目の下にはクマを作り、何かに依存していそうな雰囲気もあり、恐怖を搔き立てた。
「こっちこそ、ごめんなさい。ポーターが無くなってまた会えるとは思っていなくて、ついついはしゃいじゃった。
これからダンジョンだったのですね。20階目指して頑張ってください。」
お店に来た知り合い程度の関係、マキは色々お話ししたかったが、これ以上深追いする必要も無いと思いその場を後にした。
ただ、変わり果てた姿が気がかりだった。そして、怪しげな魔道具が目に入った。
別れた後も少し気になり、レン達の後を付けると
「なんだあのガキは、レンさんはあんなのと知り合いだったのか」
「どうせ、この町もあと少しで滅ぶというのにな」
「おっと、あんまりいってはダメだったな。あの錬金術師の魔道具だったか、魔物を生成できるなんてほんとなんだか」
仲間の冒険者は、レンの後ろを歩きぼそぼそつぶやいている。
「やめろ。聞かれたらまずいだろう。」
レンは、冒険者を注意するのだった。
よく見ると、謎の魔道具らしいものが入った袋を冒険者達は持っているようだった。
「どういうことだろう。魔物を生成するとは・・・魔道具とは・・・滅ぶとは・・・」
「クウィ~!」
マキは、不思議そうに思ったが、みんなの元に帰った。
次回の投稿は、1月24日を予定しております。




