食料事情改善に向けて
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何度かの夜盗襲来で、1区画また1区画と畑を荒らされ、その度にグローズは、種や苗を植え、成長魔法をかけ育てる。
だが、農業従事者も数多くいるわけではないし、成長魔法も皆が使えるわけではない。
だから、毎日グローズは機嫌が悪く余裕も無い状態が続いていた。
マキは、日を重ねるうちに、その状況を理解しあることを決行することにする。
その夜、マキとユキは荒らされた畑にいた。
「ユキちゃん。どんどん種を作って撒くから、成長魔法頑張ってね」
「しょうがないな。夜で眠いけど、グローズを驚かせるために頑張るよ。キワザスのためにもなるしね。」
「そうそう、その調子よ。」
2人で分担し、畑に種を撒く、そして魔石から魔力を取り出し、ユキに渡し成長魔法も合わせて使う。
成長魔法に反応し、辺り一面芽が飛び出し成長する。
ダメになっていた畑を次々周り、種を植えていった。
次の朝
「なんだ。この畑は、紫色のトマトか?こっちには、ナスなのか??」
グローズは、驚き騒いでいる。
「こんな奇妙な食べ物食べられるわけがない。すぐにでも狩って、新しいのを植えないと」
畑一面紫色の植物が生い茂る奇妙な光景に、グローズはわけも分からず、激怒し今にも植え替えようとしていた。
「ちょっと、待ってください。」
颯爽に、ユキは現れる。
「これからが仕上げなのです、もう少し見て、これらを食べてみてください。」
ユキがそういうと、成長魔法を使う。畑一面という広大な範囲の魔法、さすがに魔力が尽きかけるが、後ろでは、マキが魔石から魔力を供給する。
辺り一面、魔力が包み込み少し輝く。すると、今まで実っていなかった野菜が一気に花を付け、そして実を付ける。
「おおおお!!」
思わず、グローズは、声を上げる。
ユキは、近くのトマトをもぎ取ると、グローズに差し出し、食べることを進める。
しかし、こんな奇妙な野菜、口に運ぶわけもない。
「これで、キワザス、そして、避難民も救える可能性があるのに、見た目だけで判断して」
ユキは、グローズに問い、そして、トマトを食べて見せる。
「あ。あまい。!!」
かじったそばから、トマトの酸味と甘みがあたりを包み込む。
近くで作業し見ていた、農業従事者は気になり、食べ始める。
畑のあちこちから、絶賛の声が聞こえてくる。
グローズもまた、皆が食べ始め味が気になったのか、一口食べた。
「こんな甘いトマト食べたことがない。!ん、う。でも、だめだ。こんな色じゃ誰も買わない。
しかも、今だけ収穫できても継続して収穫できるとは限らん。」
グローズは、顔がほころびながらも、だめだしを言う。
「確かに、私達は継続してここにいることはできません。だから、グローズさんとお話がしたかったんです。
こんな形になってしまって申し訳ありません。で、野菜美味しかったんですよね??」
マキは、申し訳なさそうに進言するが、野菜のことについては、自慢げに確認する。
「ん。まー、野菜の味は認めてやるよ。だが、味の問題じゃない。量が必要なんだ。
継続して、供給できる量がな。」
「はい、そのことは承知しております。その前に、成長魔法を教えて頂きありがとうございます。
これができるようになって初めて実現可能だと確信しました。ここには成長魔法使える方は、何人いますか?」
マキは、グローズに感謝を述べ確認する。
「私も完全には、把握していないが、5人はいるはずだ。」
「そう。それです。ちゃんと把握して指揮してください。忙しいのはわかりますが、分担しなければよい作業ができません。
5人ですか、少し厳しかもしれませんが、継続的に供給できるかと思います。」
「まさか、そんな方法が!」
「はい。色については、キワザスの特産品としてください。それなら少し変わった色でも受入られるはずです。
ゆくゆくは、ポータとも協力してほしいですけど」
マキは、復興も考え、グローズと交渉する。
「まーなんだ。とりあえず、わかった。でも、できるかわからないものを約束することはできない。」
「確かにそうですね。では、可能性をお話しします。そして、成長魔法を教えます。」
マキは、真面目に語りだす。
まず初めに、成長魔法を使える人5人でローテーションを組み、そして、畑を守れる範囲で耕作すること。
さらに、成長魔法を補正すること、そして、この植えた紫色の植物もちゃんと交配し増やすことが可能なことを説明する。
「グローズさんに教えてもらった、成長魔法は違っていました。確かに成長を促すことはできましたが、強い効果がありませんでした。
教えて頂いた身で申し訳ありませんが、成長魔法のイメージは、グローズさんもおっしゃっておられましたが、
植物が元気に育つイメージ。植物がです。【植物が】が重要だったのです。
水も肥料も確かに必要です。では、水は水の魔法を使えばいい。肥料は、土をよくするだけです。結果、植物はよく育つかと思います。
だけど、成長の早さは植物にゆだねられ、そこまで早くはなりませんでした。
植物が元気に育つイメージをもう少し植物寄りに、考える、イメージする必要があったのです。
だから、私のイメージは、日光がたっぷりあたり葉が元気になり、栄養もちゃんと植物が吸収し、そして、すくすく大きくなるイメージを思い描き魔法に込めてください。
そうしたときに、上手くいきました。」
関心しているようにグローズは聞いている。
「なるほど、良く分かったよ。そしてありがとう。」
そういうと、近くにある雑草に成長魔法をかける。
すると、今までに無い速度で成長し、あっという間に大きくなった。
「わぁ!すごい。」
マキとユキは、驚いた。
さすがベテランというべきなのか、少しイメージを変えただけで、ユキとマキが使う成長魔法とは比べものにならない速さで雑草が成長した。
「確かに、今までとは違う速さだ。これはすごいな。量も安定するかもしれない。」
少し兆しが見え、グローズは、マキとユキに感謝する。
「ところで、この紫色の野菜は、どこで手に入れたんだ?」
「え?あーそれは、ひみつです。」
マキは、微笑み返答する。
その後、1週間程度でグローズ達率いる農業従事者が頑張って働くとかなり食料生産が追いつき、潤うようになった。
狭い場所ではあるが一面、紫色の植物が生い茂りそこに多くの野菜がある。冒険者が重点的に守り生産力を上げている。
マキからもらった以外の野菜も新しい成長魔法でかなりのスピードで育つようになり、そして、農業従事者に伝えている。
奇妙な紫色の野菜がキワザスで取れるようになった、そしてその野菜は、大変美味しくないより、魔力も回復することで有名になり特産野菜となる日も近かった。
何故か、紫の野菜が増えてから魔物が減少し、そして、冒険者が多くでいりすることで、夜盗の出現が激減し、より安定するようになった。
この件以来、グローズも丸くなり皆の意見を聞くようになった。
成長魔法の効果はすごく、普通の植物でも今まで3カ月かかったものが1.5カ月とかなり短縮できることが分かったが、魔石種から派生の植物には到底かなわなかった。
その後、マキも色々調べた結果、1つの結論に達した。
魔石種から作った植物は、主に魔力を糧に成長が促進されることが分かった。だから、一回目は、魔石に含まれる魔力が豊富だったため、早く育ち収穫できたが、
二回目以降は、その魔力が失われ周辺から集め成長するため育つのが遅くなるのだった。
マキは成長魔法を覚え使うことで、1回目と同じぐらいの速さで成長することが判明したのだ。
といっても、成長魔法の効果がプラスされているので早いという見方もあるため、もう少し検証する必要がある。
キワザスの食料問題も何とか落ち着きを見せ、マキとユキは冒険者ギルドに依頼達成を報告しにいった。
依頼書には、グローズのサインがあり依頼達成を証明している。
それをギルド職員に見せると驚かれた。2週間程度で達成して戻ってきたからだ。
しかも、高く評価されており、マキとユキは、Eランクへアップすることになった。(やったね)
みんなと合流し、これまでのことを話しダンジョン攻略を再開するのだった。
次回の投稿は、6月7日を予定しております。