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聞きなれない魔石師との奮闘記  作者: さんご
成長と旅立ち
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食料生産にいってきます。

アクセスしていただきありがとうございます。

駆け出しでわかりにくい部分などありましたらご連絡ください。

ブックマーク登録などしていただけると、作成の励みになります。よろしくお願いいたします。

魔石種検証も一段落が付き、冒険者ギルドにマキとユキは顔を出し、依頼を確認する。


「ダンジョン攻略もそろそろ始めないと」

マキは、ユキと話すが、ユキは、少しダンジョン籠ることに飽きたのか、掲示板にある依頼を探す。


「たまには息抜きも必要よ。面白い依頼ないかなー」


ユキは、依頼を楽しそうに探していた。

掲示板の端に、ある依頼を見つけた。


「魔法が使える人大歓迎。土属性の成長魔法グロースを使用可能な人は超大歓迎。キワザスの食料難に打ち勝とう!

 農業を愛し、土と戯れたい人大募集。報酬はそれなりに↘↘。冒険者ランクは問わない。」


マキ達も知っていたが、キワザスでは難民を受け入れたせいなのか、食料が枯渇していた。(だから、マキは野菜の研究を…)

冒険者達は、魔物の肉などでなんとか生きていたが、町に住む商人、戦闘ができないものは、お店で買うしかないのだ。

しかし、お店で買える量も少なく自由度も少ない。さらに値が高騰している。2、3日食べられないということも多々あったようだ。


ユキはこの依頼が、食料難を打破するための依頼であるとすぐにわかった。


「マキちゃん、この依頼受けない?あの魔石種なら何とかなるんじゃないかな??」


ユキは、真面目にマキへ話しかける。そして、依頼書を受け取ろうとしている。


「うーん。確かに、何とかなるかもしれないけど、私、育てられないし、強くもならないといけないし

なかなか無理じゃないかな?」


「でも、ここで活躍していれば、ポーターの復興にも役に立つし、なにより、この魔石種をもっと検証できるし、

もしかしたら、ポーターの産業にもできるかもしれないよ。」


「わかったわ。ユキちゃんがそこまで言うなら、やってみよう。」

少し困った顔のマキだったが、受けることにした。


依頼書を取り、ギルド職員に見せる。


「冒険者は、一攫千金を狙っての人も多いし、なかなか、こういう支援の依頼は受けて頂ける人が少なくて大変助かります。

でも、この依頼は、長期にわたりますが、だいじょうぶでしょうか?」


それもそのはず、食料=野菜・植物は、一日や一週間で育ち解決する問題ではない。

どんな植物でも少なくとも3カ月以上は、育つのに時間がかかり、それから収穫し、食べられるようになるのでどうしても時間がかかる。

そのため、成長促進の魔法を覚えている人を集めているようだった。


ちなみに、成長魔法は、相手に使うと能力の向上の効果が得られる支援者向けの魔法となる。

身体強化と重ね掛けができ、ヒーラーや魔法使いが戦士をサポートするために使う魔法となる。


「はい。長期にわたるのは大丈夫ですが、成長魔法は使えないのですが、逆に大丈夫でしょうか?ほかの魔法は使えます。」


「はい、大丈夫です。魔法が使えれば覚えらえる可能性もありますし、なにより、食べ物を育てる畑にも魔物も現れますので、

冒険者として魔物を狩る要因としても有効ですので問題ありません。」


「では、ぜひお願いします。私とユキが対応したいです。」


マキとユキは、ギルドにギルド証を見せ依頼を受領する。


「では、明日にでもキワザスの北の方にあるアブランドに依頼者がいると思いますので、尋ねてください。

ギルドから事前に話は通しておきます。」


「はい。分かりました。よろしくお願いします。」

2人は、依頼を受領して、ギルドを後にした。

このことを、兄やエメダに話ししばらくダンジョン攻略を保留とした。

この間に、各人強くなることを決めた。



よく晴れた日、アブランドに向けて旅立つと言っても、そんなに遠くはない、半日ほど歩けば着ける距離だ。

2人は、身体強化を使い走って行ったら、普通の半分の時間、2時間ほどでついてしまった。(結構、魔力減りました。半分ぐらい)


町に着いた二人は、さっそく依頼者グローズの元へいく。


グローズは、農業ギルドの中心人物ということで、この食料難の危機を紳士に受け止め

畑の現場で指揮を執り、得意な成長魔法を駆使し植物の育成に取り組んでいるが、鬼のような形相でピリピリして仕事をしていた。


「あの?すいません。ギルドからの依頼で来たのですが…」

恐る恐るマキは声をかける。


「ん?あ~ギルドの紹介か、こんな子供みたいなものが来るとは、魔法は使えるのか?」


危機的状況ということもあり、機嫌が悪いのか雑な対応をされる。が、依頼のために頑張る二人だった。


「はい。」


「早速見せて見ろ」


2人は、水の魔法を見せる。


「なるほど、魔法はまあまあ使えるみたいだな。で、成長魔法は使えないと

今、食料難で即戦力が必要なんだ。成長魔法をどこかで覚えて来てくれ。」


「え?」


「そういうことだ。とりあえず、畑に現れる魔物でも退治してくれ!」


早速、依頼失敗の危機?のようにまともに扱ってくれない。

ギルドの話となんだかズレを感じた2人だった。


「あの?少しこれを見て頂けますか?」

マキは、魔石種を見せようと頑張って話しかけたが


「なんだ、その紫の物は?今は必要ないからあっちに行け!」


2人は、塩対応にあっけを取られ、とりあえず、この場を離れる。


「何あの態度、むかつく!!」

ユキは、マキに怒った表情で話しかける。

グローズはまともに取り合えってくれず、ユキは激おこだった。


「そうだよね。何か打開策として話を聞いてくれてもいいのに」


「名も無い冒険者だからしょうがないよ。この魔石種は優秀なのに、落ち着くまでしばらくここら辺で魔物でも狩ってますか」

ユキはそういうと畑の先の森に入り魔物を狩り始める。


近くに畑があるということで、植物を食う虫系の魔物や食料欲しさに畑を荒らすイノシシ系の魔物が多くいる。

後、盗賊や夜盗などもいる治安の悪い地域だ。


「キラーインセプトがそっちにいるよ。」

ユキは、マキに合図を送る。


「プラントバインド」

マキは、森の地形を利用し、蔦を生やし魔物の動きを止める。


「ナイス!止めだ。ウォーターアロー!」

ユキは、動きを止めた魔物を確実に仕留める。


2人の息を合わせ敵を倒して行く。


合間に、成長魔法を覚えようとするが知識がない。

2人は困っていたが、教えてもくれなさそうだし、途方に暮れるしかない。


そんなことを繰り返し、この辺りでしばらく過ごす。

3日ぐらいが過ぎ、このままではらちがあかないので、また、グローズに勇気をふり絞って話しかけた。


相変わらず、ピリピリと張りつめた空気だ。

「あの、グローズさん」

マキは、声をかける。


「あ。あの冒険者か、昨日は魔物を倒してくれたそうだな。ありがとう。」


「あ。はい。あの成長魔法を教えてほしいのですが、今お時間ありますか?」


「冒険者としてはなかなか優秀なようだが、教えられるほど余裕はないが、そうだな。

成長魔法は、植物が元気に育つイメージだ。水を与えられ、肥料も与えられ、日光もたっぷり当たったイメージを持てばできるはずだ。」


グローズは、簡単ではあるが、魔法の知識を教えてくれた。


「あ、ありがとうございます。少し試してみます。」

機嫌がよかったのかマキは、笑顔でお礼をいいその場を後にする。


「ユキちゃん、成長魔法グロース教えてもらえたよ。イメージだけだけど、2人で覚えてみよう。」

「え!!あの堅物教えてくれたの。なになに?うんうん。なるほど。魔法はイメージだね。やってみようか」


マキは、教えられた魔法のイメージを伝えた。


ということで、2人は、近くに植えてある野菜にかけようと思ったが、失敗して台無しにしては折角の信頼を失うことになると思ったので、

近くの森に自生している薬草にかけて見ることにした。


「植物が元気に育つように!!!お水も肥料も太陽も!!気持ちいい感じで!!」


この日は2人で何度も何度も試してみた。夕方にはいつのまにか、たぶん使えるようになっていた。

たぶんというのも、成長魔法グロースを植物にかけたところで覚えたての2人では植物がそんなに急成長するわけではない。

気持ち大きくなったかな程度であるため、効果が実感できるほどではないため、たぶんなのだ。

魔力をどのぐらい注げばいいのかとかも全くわからないので、試行錯誤しながら覚えていたのだ。


その日の夜、夜盗が畑を荒らしに来ていた。マキとユキ、その他の冒険者も気付くのが遅く、現場に着くころには、だいぶ荒らされ、逃げていた。

夜盗達は、計画を練っていたのか、冒険者が少ない方角を狙っての犯行だった。

一画のトマト畑が台無しになっていた。


次の日冒険者達は、グローズに呼び出される。

「昨日の失態はなんだ。せっかくもう少しで食べられるところまでに育ったのに、あそこを厳重に警備するのは当然だろう。

なんで全く逆の方を警備していたんだ。だれの指示だ。どういうことだ。」

グローズのお説教やら、愚痴やらが永遠に1時間も続く。


お説教されても、そもそも、ここの警備には指揮官はいない。

普通に考えればグローズがここの代表として取り仕切り、冒険者を管理・指示するべきなのだが、

農業に忙しくなにもできていないのを冒険者のせいにした形となっていた。

指示もろくに出されていないため、冒険者各々が好きなように警備し、好きなように過ごしていた結果だったのだ。


「マキちゃん。あれはひどいよね。自分がちゃんと冒険者を管理して指示しないのが悪いのに、人のせいにして!」

ユキは激おこだ。


マキは、なだめるしかない。

「ユキちゃん怒った顔可愛い。

 う、うん。ユキちゃんがいうことは確かに、そうだけど。まあまあ落ち着いて!私も今回の件は、納得いかない。

 私に考えがあるの。」


2人はひそかに相談し、ある計画を考え始めた。


その前に、色々検証してみた。


成長魔法がたぶん使えるようになったので、そこらへんをもう少し実験を試みていた。

結果、グローズさんの魔法のイメージは違っていたようだった。もう少し効率の良い成長イメージがあったのだ。


【植物が元気に育つイメージ。水を与えられ、肥料も与えられ、日光もたっぷり当たったイメージ】というのは、少しずれていたようだった。

水と肥料は、確かに植物には重要なファクターではあるが、それは土が活性化するだけだった。

結果成長は早くはなるが、急速に植物が大きくなるわけではない。

日光部分しか、イメージはあっていないようだった。だから、成長速度がいまいちだった。

本当のイメージは、育つイメージにすること。日光がたっぷり当たり、栄養もちゃんと吸収し、すくすく大きくなるイメージを持つ必要があった。

検証した結果、2人はそれにたどり着き植物が急成長を遂げるまでになった。

といっても、食べられるようになるには、たぶん二週間程度かかる予想となった。


ちなみに、成長魔法は人にもかけることが可能で筋力強化などのバフを与えることで有名な魔法だ。

なので、2人は成長魔法をかけあい森の中で遊びつつ魔物狩りをしていて、植物の生長促進のズレに気づいたのだ。

足を速くするには、素早く動けるイメージ、筋力をアップするだけではない。

腕の筋力アップなら岩をも砕くイメージといった感じだった。単純に筋力アップだけでなくその後どうなるかも付け加えるとより効果が大きいようだった。



何日か過ぎ、何度か夜に夜盗が畑の物を盗みにやってきていた。

毎回ではないが、その都度撃退し逃げ遅れた者を捕えては、騎士団へ引き渡しを繰り返していたが、夜盗はいっこうに減らなかった。

マキとユキは、そのたびに、畑が荒らされ収穫できる作物も減っていく現場を見ていた。


「早く、実行に移さないと食料難の改善は見込めない」

マキは、つぶやく

次回の投稿は、5月31日を予定しております。

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