病気の原因と対処法
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マキは、話を聞きうなずいた。
直感からか、治る気がしたのだけれど伏せておくことにする。
見て見ないとわからない部分もある。
「治せるかわからないけど、状況はわかったわ。母親に合わせて貰えるかしら?罪を償うのはその後にしましょう。」
「話を聞いていなかったのか?お前のような子供に治せるわけがない。!」
「あなたも話をちゃんと聞いていた?治せるかはわからないわ。」
「俺は、あらゆる魔法薬を試しても治らなかったんだぞ。魔法は強力そうだが、そういったものでは治らないはずだ。」
「マキちゃん治せるの?マキちゃんに従うけど」
「五分五分かな…」
盗賊集団と2人は、町に向かった。
旅を始めて、2週間を過ぎたあたりにようやく、順調に進んでいたようで町が見えてきた。
「あと少しよ、ユキ」
「うん。何とか生き延びたね」
マキとユキは抱き合い喜んだ。
ボロボロになりながらも、町に到着した。
門番にギルドカードを見せ、町に入りこれまでの旅で得た魔石や素材を冒険者ギルドに売却すると、宿を探し、2人はようやく安堵した。
盗賊集団は、裏からこっそりいつものように町に入って行った。
次の日、ヨイダの家に向かう。
話の通りヨイダの母親はベットで寝ていて、肌艶はなくどす黒く苦しそうだった。
マキはヨイダの母親を遠目に見る。目に魔力を乗せて見る。観察する。
「うーん。やっぱり。そういうことなのね」
マキは、何かわかったようだった。
「何かわかったのか?」
「言っておくけど、私は医者じゃない。鑑定士でも、回復士でもない。だから、正しいかはわからない。悪いようにはしないつもりよ。
それでいいなら、思ったことを話すわ」
「わかった。」
ヨイダは、ゆっくりうなずく。
「あなたの対応が悪すぎたのよ。初めからポーション、ポーション。回復薬、回復薬と回復系の魔法薬を大量に与えたでしょう?
だから、体内に魔石ができてしまっている。その魔石のせいで「不死」が得られたのよ。」
「普通人間には、魔石がないはずでは?できないはずじゃ?」
「そうなのよ。異例というべきでしょうね。ポーションも魔力を含んでいる。それ以上の魔法薬は言うまでもない。
ポーションで体力を底上げし延命し続けたことで、体内にあった魔核に魔力が吸収されて魔石ができてしまったんだと思うわ。」
魔核は、この地上どこにでもある。もちろん、人間の体内にもある。普通はそこら辺にある魔核から魔石ができそして魔物として生まれてくる。
体内にある魔核からは、魔石はできないと言われていた。
人間は、魔力を得ても代謝し外へ排出したり、魔法を使うことで失われるから、魔核があったとしても魔石になることはない。
今回は、回復を願うあまり過剰なまでの魔力を体が吸収することで魔石ができてしまったと推測したのだ。
「それで、俺はどうしたらいいんだ。」
「言いにくいけど、今の母親の状態は「魔物」ね。…ゾンビ、生きた死体といったところかしら」
「なるほど、不死系の魔物と一緒なわけか…だから、俺はどうしたらいい?」
「別に、何もしなくていいわ。
治る保証はないけど、今の「不死」を利用して、まずは病気を治しましょう。
つらいかもしれないけど、簡単に言えば断食ね。
1週間ぐらいかしら食べ物を与えちゃだめよ。…あ!。そっか、状態異常回復魔法が有効かもしれない。」
状態異常回復魔法とは、毒、麻痺を取り除く魔法。
「そう、毒を体から取り出す魔法。悪い病気の素を取り出せば少し早く良くなるはずよ。」
「ユキちゃん毒消しの魔法使えたよね?」
「ユキ使えるよ。大丈夫。この人は気に入らないけど、母親には罪はない。」
「ユキちゃん頼むね。毒をイメージするのではなくて、わからないけど病気の素を取り除けって思いながら魔法を使ってね」
マキは、ユキに魔法が効くように指示を出し、魔法を唱えてもらう。
「アンチドーテ」「アンチドーテ」「アンチドーテ」「アンチドーテ」「アンチドーテ」
「アンチドーテ」「アンチドーテ」「アンチドーテ」「アンチドーテ」「アンチドーテ」
これまで溜まっていた病原菌、1回や2回では取り除けないようだ。
「マキちゃん、魔力を頂戴。これ以上魔法使えないよ。」
「ユキ最近魔力貰ってばっかりじゃない。鍛えないと、貰ってばかりじゃ強くならないよ。フフフ」
人命がかかっているから冗談はさておき、魔石を1個割り、ユキに魔力を渡す。
「これこれ、これよ。ハハハ」
「メガアンチドーテ」
辺り一帯光に包み強力な魔法が発動する。
すると、母親の肌は肌色を取り戻し、若干ではあるが動けるようになったようだった。
病魔を取り除けたようだ。
「だいぶ良くなったっと思うわ。ここからが大変なのよ。上手くいく保証もないのよね。やったことも無いし…」
「母親は「不死」だ。ここまで来れば治るのではないのか?」
「さっきも言ったけど、母親の体内には魔石がある魔物の状態。いつ豹変し本当の魔物になるかもわからない。
だから、魔石を取り除かなければいけないの。上手く取り除けても生きている保証はない。ヨイダさんどうしますか?
このままでも、良いかもしれない。でも、不死の力でまた病気になったら永遠に死ぬことなく苦しみ続けることになる。
母親の幸せもあなたの幸せもどこにあるのか、忘れないで!」
ヨイダは、悩んだ。
「母親の苦しむ顔を見たくない。不死であれば俺が死んでも生きている。
そして、誰も面倒を見なければ、死より辛いことが永遠に続く。魔物にでもなったら、討伐されてしまう。
手が無くなろうと、足を失っても生きている。
もしかしたら、心臓が無くなっても生きている。」
そんなことをヨイダは想像し決断する。
「わかった。魔石を取り除いてくれ。今は、俺も母親も苦しい。幸せとは程遠いところにいる。
俺は、生きてさえいれば幸せだと思っていたが、母親は辛いだけだ。そして俺も不幸だった。」
ヨイダは、覚悟を決めてマキにゆだねる。
マキも覚悟を受け、気を引き締めた。
「いつも、やっていることをやるだけ、イメージを強く、そして上手くいくことを願う」
独り言を言いながら、母親の体に手を当てて、もう片方の手には草原で倒していたウルフ魔石を持つ。
「魔石合成」
マキは、震える手を抑え、小さな声で唱える。
しばらくすると母親の体内から魔力が引き出され、そして、もう片方に持っていた魔石へ魔石が合成され移る。
これまでの魔法薬の性なのか、膨大な魔力が魔石へと移る。密度の濃い魔力があたりを漂う。
持っていた魔石は、ウルフの魔石ではあったが、魔力に呼応し、スキルにも反応してか真紅のデスウルフの魔石へと変貌を遂げる。
魔石をよく見ると、「不死」のスキルが浮かび上がる。
「成功よ。体内から魔石を取り出せたわ。ユキ回復魔法をかけてあげて!」
しばらくすると、母親は目を覚まし、ヨイダは泣いて喜んだ。
肌艶も回復し、母親は笑顔を取り戻した。
3日後、またヨイダの家を訪ねる。
ヨイダの母親が笑顔で迎えてくれた。しかし、そこにヨイダの姿はない。
母親は、幸せそうに息子が罪を償い帰ってくることを待つ。
ヨイダも最愛の母親が待つ家に帰れることを思っているだろう。
次回の投稿は、3月15日を予定しております。




