不幸な青年の物語
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5年前のある日
Cランク冒険者ヨイダが、家に帰ると母親のマーガレットが苦しそうに倒れていた。
町医者の診療を受けたが、風邪程度しかわからなかった。1週間がたっても病気は、良くならず状況は変わらなかった。
何日かたち優秀な鑑定士にも状況確認をお願いし、原因の調査を行ったが病気の原因はわからなかった。
ヨイダは、母親の病気を治すために必死に働き、そしてありとあらゆる魔法薬を試した。
この世界にあるポーションは、肉体が傷には効くが、病気には効かなかった。
(この世界では理解はされないだろうが、ウイルス性の病気の場合、ポーションを摂取することでウイルスが活発化して余計悪くなるようだった。)
ただ、ポーションを飲ませることで一時的な体力の底上げはできた、延命という意味ではある程度有効だった。
ヨイダは、これまでの貯えでお金の許す限り上級ポーションをはじめに、あらゆる回復系魔法薬を試した。
時には、万能薬、時には、ダンジョンで稀に得られる霊薬のエリクサー。
不治の病を癒すと言われるラルドの雫。
ある時は、聖女様にまで頼み多額の寄付金を納め回復魔法をかけてもらったこともあった。
色々やってはみたが良くはならず、母親は1カ月もの間生死をさまよった。
1カ月を過ぎたころ、母親のステータスに変化があった。
スキルに「不死」が現れたのだ。
「不死」はかなりのレアスキル死ぬことが死の概念が無くなるものだった。
1カ月もの生死をさまよったおかげで発現したのか定かではないが、これで、死ぬことはない治ったのだとヨイダは思った。
(この時は、これからが本当の不幸であることにきずかなかった。)
スキルが発言してからしばらくは、問題なく生活できていたが、本来の病気が治ったわけではない。
時間と共に母親は、身体の色んな箇所に支障をきたしていく。
はじめは、手が動かなくなり、次に足、そして、言葉も失い。1年を過ぎたあたりには生きているのか死んでいるのかわからない状態になってしまった。
しかし、ヨイダは「不死」を持つ母親、時間と共に元に戻ると思っていた。
来る日も来る日も母親は、苦痛の表情を浮かべヨイダに訴えかける。
何もできない自分。治らない母親。ヨイダはだんだんと精神が病んでいく。
母親が生きていることに安堵してはいたが、この苦しみはいつまで続くのかと思っていた。
母親のために何かできないかと必死になり、再び治療するために、無理して働き、危険を冒して冒険もした。
病気にかかった時と同じように、回復薬を買い漁る日々を送って行った。
家に帰り母親の笑顔を見られるその時を願って。
とはいってもヨイダもまた、人間。いつ母親が亡くなるのかという重圧に耐えてはいたが、次第に精神が崩壊していく。
働いても楽にはならない。よい薬を買っても治る気配がない。
母親には、薬もご飯も必要。色々な世話が必要で限られた時間の中で、お金を稼ぐ必要があった。
もっと稼がないと、もっと良い薬を、もっと…と思うようになった。
お金を求め、盗賊に落ち悪に手を染めていく。
元々Cランク冒険者ヨイダ、日中は、ダンジョンで稼ぎ、帰り道や夜に商人や弱そうなやつを捕まえては、強盗をやって金品を奪い稼いでいた。
そんなことを繰り返すうちに、悪い仲間が集まり強盗団のような小規模の集まりができ、そのボスとなった。
最初のうちは、順調で50人ぐらいに人が増えた。その時は、ヨイダが何もせずとも金品が入ってきて、母親を看病することができた。
しかし、規模が大きくなるにつれて、近隣の騎士団やギルドに目を付けられ、日が立つごとに仲間はどんどん減っていった。
ヨイダも逃亡する日々を送ったこともあったが、母親のところには戻る必要があり、神経をすり減らしながら帰った。
仲間たちには、このことを教えていなかったのが幸いした。
最終的には、長い間一緒に冒険した、冒険者仲間の2人と自分しか残らなかった。
母親を殺そうとも思ったが、肉親の母親殺すことはできなかった。
殺したとしても、「不死」であるため死ぬことはない。傷がつき余計苦しむだけだと悟った。
絶望の日々だった。母親が生きていることは嬉しいが、どうする事もできない事実に苦しんだのだ。
そんなことをしている間に、最近ポーターから流れてくる人が多いのに気づいた。
噂では、ポーターの町がモンスターに襲われ崩壊し、そこから逃げてくる者たちだった。
その流れてくる者から金品を奪い荒稼ぎしていた。そして、現在に至ったのだ。
次回の投稿は、3月8日を予定しております。




