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聞きなれない魔石師との奮闘記  作者: さんご
成長と旅立ち
23/75

町の滅びの時

予想よりさらに1カ月が過ぎたころ、とうとうやってきた。


冒険者が慌ててギルドに駆け込み

「魔物の群れが町の近くまで来ている!急いで討伐部隊を派遣してくれ」

そんな情報がギルドに入る。ギルド内でもざわつき、騒然となる。


準備は色々していたつもりではあったが、予想外の数に時はすでに遅く、1000を越える魔物の群れが町に向かっていた。

ゴブリンやスライムといった普段新緑の森で確認される弱い魔物は少なく、上級の魔物ばかりだ。

1年を通して綺麗な緑の森なのに、森は黒く枯れ果て、見る影もなくなっている。


ギルドは急いで、領主と連携を取り騎士団を派遣するように努めた。

同時に、有力な冒険者を募り討伐部隊も編成し、大忙しだ。


新緑の森の方では、冒険者による討伐が始まるが難航している。

魔物は多いし、強い。同士討ちで戦闘経験も豊富で普通の冒険者では歯が立たない。

魔物の軍勢は、どんどんに町へ近づいてきていた。


町には、魔物から守るための防壁で囲まれている。

長年にわたり町を守ってきた防壁だが、今回はあまり役に立たなそうであった。想定外というやつだ。

魔物の物量から防壁が機能せず、壊され始めどんどん魔物が町になだれ込んでくる。

町の門の周辺ではすでに冒険者や町の警備隊が戦闘をはじめ魔物を食い止めているが、魔物の量に押され次第に町の中に魔物が侵入し暴れだす。

町の中では、混乱が生じ避難を開始していた。



時間的に前後するが、


マキの家族は、スタンピートの兆候前、店に冒険者が押し寄せ回復アイテムや状態回復のアイテムが飛ぶように売れていた。

そのためか、異変を肌で感じていた。

町の錬金術師や薬士とも連携し、多くのアイテムを作成しては売るを繰り返し、危機に備え対応していたが、それもむなしく魔物を町への侵入を許してしまったのだ。


兄が不在の中、両親はマキを町から出るように言っていたが、魔物が店まで来てしまったのだ。


「キャー、魔物だ。お父さんとお母さん逃げよう。」

父は応戦しながら


「マキ、早く逃げるんだ。ここは危険だ。」

「お父さんとお母さんも一緒じゃなきゃ嫌だよ。」

「クウィ~」

マキは、両親と離れるのが嫌だった。いなくなってしまう気もしていた。


「お父さんが魔物を食い止める。その隙に、マキを連れて逃げるんだ。こう見えても少しは冒険者をやっていたんだ。大丈夫だ」


父は、魔物と対峙し母へマキを連れて逃げるようにいう。

母も従い、マキとクウィを連れて逃げる。

町はすでに混乱の状態、あちこちで火の手が上がったり、悲鳴なども聞こえてくる。

他の人を助ける余裕もなく、マキと母は必死に逃げ町を出ようとする。


「キャー、魔物が」


逃げ惑ううちに、グレートゴブリンとグレートオークに挟み撃ちにされてしまう。

戦闘をするが、敵は強い。

ついには、マキが攻撃されそれを庇うように母が盾になり、マキを逃がそうとする。

母は常に護身用に煙玉を持っていて、それを使いマキを上手く逃がす。


「後で追いかけるから逃げなさい。振り返っちゃだめだよ。」

「お母さん。( ノД`)シクシク…」


マキも抵抗し、魔法で霧を発生させ、泣きながら必死に町を出るのだった。



一方、ユキは…


ユキは、実は貴族の娘。

その父と長男は、平民を守る義務として先陣を切り魔物討伐に赴いた。

ユキは、町から出るように言われて馬車の準備や野営や戦闘の準備をしていたが、貴族の見栄なのだろうか、それなりに時間がかかっていた。

そんな中、町へ攻め入る魔物の軍勢の方が早く、町に侵入し暴れていたため、一家バラバラで逃げることになってしまった。

ユキは、マキを頼ろうとマキを必死に探しながら、町をでようとしていた。

町を出るまで、マキを探せず諦めかけていた時に、マキが遠くの方から泣きながら走って逃げてくるのを見つける事ができた。


2人は生き延びたことに安堵し、抱き合って喜んだが、と同時に2人とも両親を失い悲しんだ。

そう長くも感慨に浸ることもできず、急いで東に向かい、町の外を目指した。


マキとユキはなんとか町から逃げ出せて、一緒に次の町に向かうことにした。



スタンピードは、しばらく収まることも無く、町を破壊し続けた。そして、ポータの町が滅びた。


町を破壊し尽くした後に、魔物が間引きされたことと魔物の生息域が広がったためだろう、町より他の場所に移動しようとはせず、実質スタンピードは落ち着いた。

ボスと噂のカーズウルフは、健在だった。

スタンピードの落ち着きを取り戻すと生まれた森の奥へ引き返し、魔物のボスとして君臨していた。

新緑の森が危険な森と化した。

次回の投稿は、2月9日を予定しております。

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