スタンピードの兆候-2
初心者講習後からギルドは、新緑の森の調査依頼を多くの冒険者に依頼していた。
最初は、ギルドの職員も安易に考えていた。
ランクの低い冒険者に依頼を多く出し調査を行っていたが、普段よりも森には敵が多く調査難航していて、なかなか有力な情報を持ち帰ってくるのが少なかったのだ。
怪我をして依頼を失敗する者、魔物が多すぎて逃げ帰るものなど様々だった。
ランクが低い冒険者だったためか中には死んでしまった者も多くいた。
「新緑の森へ行ってきたか?」
「昔と違って、魔物が増えたな。なんでだろう。」
「この間は、オーガが見かけたぞ!速攻逃げ帰ってきた。」
「俺は、グレートゴブリンだったから倒せたが、それ以上は無理だな。」
「新緑の森は新人の森だったが、今はランクの高い上級者が行く場所になってしまったな。」
「気軽に稼げた場所なのにな。薬草の宝庫でもあったのに…」
「あんな危険な場所にはいかないほうがいい。」
こんなギルド内でも会話や噂が流れ、なかなか依頼を受ける者が減ってきていた。
良い情報が得られないまま、1カ月が過ぎた頃、あまりにも情報が集まらなかったためか、ギルドは最初の方針、考え方を止め、上のランクの冒険者に依頼を出し、必死に森の調査を行った。
その頃には、すでに上級の魔物が徘徊する森と変化し危険度が増していた。
しかし、ランクが高い冒険者に依頼しただけの事があり、敵策能力に優れた冒険者が森の奥まで入り、考えられない数の魔物を確認した情報が得られたのだ。
その結果、スタンピードが発生する可能性が高いことが分かったのだった。
もって、1カ月ぐらいだろうと判断された。分かった時には、高ランク冒険者でも進行は止らえれなかった。
これまでも町に近い浅い森で多くの魔物が確認され、考えられないぐらい大量の魔物の素材が持ち込まれたりとだんだんと異変に気付いたところもある。
また、新緑の森には珍しいワンランク上の魔物の素材なども多く持ち込まれていた。
(一時的ではあるが経済は潤っていた。)
そんな情報から、現場の状況は確認できていなくても町の人達は総合して考えても、スタンピードが発生する兆候を考えていて、怯えて暮らしていた。
レン達が設置した魔具は森の奥で、さらに魔物が大量に発生さ、過剰に増えた魔物も少しづつ南下しポーターの町に迫ってきていたのだ。
魔物が増えすぎたためか、森の中の魔物の食料や魔力が枯渇し、人間やほかの地域の動植物を狙うためにどんどん町に近づいていた。
奥の森だけでなく町の近くの新緑の森もだんだんと黒づいていった。
森の中には不穏な影
ひときわ目立つ黒いオーラを放つウルフ種がいることが確認された。
そのウルフは、魔物を従え町へ近づいていて、カーズウルフとなずけられた。
冒険者の間では、それがボスだろうとわかってきた。
カーズウルフの能力まではわからないでいたが、高ランク冒険者を集め討伐隊も編成されようとしていた。
次回の投稿は、2月2日を予定しております。




