第53 回初心者講習2日目の夜 スタンピードの兆候
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その夜、昨日と同じように見張り番をマキとユキでしていた。
夜も更けて、あたりは真っ暗に浮かぶ月。
満月のようだった。
夜空を眺めながら二人は
「今日は、危なかったね。オークって強いんだね。」
「あの豚があんなに強いなんて、ユキ思わなかった。マキちゃんは、よく弱点を知っていたね?」
「少し前に、ちょっとしたところで何とか倒したんだ。そうだ、よかったらだけど少し修行しよう?試してみる?他の人には内緒にしてくれるなら」
みんなが寝静まっているところで、マキは、怪しげなことをいう。
「しゅ?修行?どうやって?こんな森の中で??
物音立てたら、みんな起きるよ?」
ユキは、はてなマークでいっぱいであった。
マキは笑みを浮かべお願いする。
「クウィお願い。」
「クウィ~」
この間のように、あたりが時空間に飲み込まれる。
「クウィ~、ようこそ、私の世界へ!」
前のように、クウィは話す。
この間と一緒で見渡す限り草原に空は青い空、さっきまで月が出ていたはずなのにあたりは明るく昼間のようだった。
気温、湿度ともに快適な感じだ。
ユキは驚きを隠せない
「え~~!!ここは、どこ?夜のはずなのに!!え~~~
クウィ話せるの?!」
マキは、普通に立っており、その横にクウィが浮かんでいる。
「私の時空間の世界だわ。言葉も人間と接して学習した。そのうち、念話を覚えるはずですわ。」
「ここは、不思議な空間よね。クウィの体内と思っているよ。時間の流れも違うようだし。クウィの思うがままみたい。」
この間、クウィから聞いたことをユキにも説明する。
ユキは、口を開けて、この状況を理解できていない。
「今日の戦闘でMPも少ない。MPの尽きちゃうから、さっそく、今日の復習ね」
クウィが空をくるくる回り言うと、そこにオークが現れた。
「え!!倒したばかりなのに、ユキと二人じゃ無理だよ。」
突然の敵にユキは、言うが、マキは首をフル。
「ユキが倒すのよ。炎の槍で!魔法はイメージって教えてくれたでしょう、もっと鋭く、もっと強くイメージをしっかり持つのよ。今の魔力でも十分倒せたはずよ。」
ユキは、驚いてるがマキの言う通りだと思った。
「きっと甘えていたんだ。同じ魔法じゃ倒せないのわかっていたのに、氷の魔法を使おうとしていた。
マキに教えて貰えてなければ、敵の弱点なんかも考えもせずにやられていたかもしれない。
後衛といえ攻撃職のユキがもっとしっかり…、まともな攻撃できるのは、ユキだけだったのに、煽ってもらって、やっと本気が出せた。
ロッフェにあんな傷まで負わしてしまって。」
「強く、より強く。フレイムランス!」
ユキが日中発現した、炎の槍より、小型だが、魔力が密度が違う。
ユキは炎の槍を上手く操作し、オークに当てる。
日中とは違い、オークの体を貫通し、炎の槍は地面に突き刺さる。
一帯の草原を燃やし尽くし、魔法が消滅し、オークも燃やし尽くした。
「それでこそ、ユキちゃんだ。やればできるじゃん。」
マキがユキをほめユキは照れる。
「クウィ、オーガなんか呼び出せる?今度は二人で協力して倒すよ」
「うーん、ぎりぎりMPが持つかな。じゃーいくわ。」
クウィがそういうとオーガが現れる。オーガは、オークのさらに1ランク上の魔物だ。
これまでの魔法では、ダメージが通らない。
「マキ、これはさすがに無理だよ」
ユキは、初めから諦めた様子で言う。
「私おもったの。最初にクウィの体内に来た時、クウィが話してくれたことで思い出したの。
そして、日中できたのよ。魔力の受け渡しをね。ユキも必死で気づかなかったでしょう」
意味ありげに、マキはユキへ説明する。
「通常、人へ魔力を渡すことはできない。マナポーションなどで回復をすることはできても、直接渡すことはできない。
あの時は夢中でだれも気付かなかったけど、すごいことをしていたの。
魔力は人それぞれ波長も、密度も、質も違う。それを譲渡したの。
クウィも言っていた。マキの魔力とちょっと違ったけどおいしかった。って。
つまり、魔石を分解した時の魔力を魔力操作で操り自分の魔力に近い状態にして、クウィが食べることができたんじゃないかってね。」
ユキは理解が追い付かないまま、マキは、ユキの手を握り魔力操作を行い、魔力を渡してみる。
「魔石師は、魔石の操作に特化した職業。魔石の素は、魔力。つまりそういうことよ。」
マキは、そういうとさらにスライムの魔石を手に持ち分解し、魔力と魔核に分ける。そして、分けた魔力だけを身にまとい操作し、さらにユキへ譲渡する。
ユキもそれを感じ取ったのか、凄まじい魔力におののき、顔つきが変わる。
「魔法はイメージ、あの大きいオーガを凍らせるイメージ、そして動かなくするイメージ」
ユキは、ぶつぶつ独り言を言って、貰った魔力にイメージを乗せる。
「ブリザード!凍って砕け散れ!」
ありったけの魔力を込め、そして放つ。
あたり一面氷の景色へと変わるが、オーガにはそれほどダメージが通っていないようだった。
「上級魔導士ぐらいあった威力だったのになぜ?うわ~」
マキとユキはオーガを倒せず、攻撃を食らう直前。
「ごめん。だめだ~クウィ~」
クウィの魔力が尽きてしまったようだ。突然現実世界に戻った。
「「きゃー!」」
現実世界に戻ってきていたが叫んでいた。
平静を装いてはいるが、二人は興奮したまま見張りを続けた。
「最後の魔法失敗しちゃったね。もっと修行しないと、マキがくれた魔力がうまく使いこなせなかった。」
ユキは反省していた。
「そうだね。もっと魔力を上手く扱えるようにならないとね。」
叫び声に反応してか、ナイトが起きてきた。
「どうかしたのか??」
二人は、首をフルが…!
ナイトの後ろに、大きな巨人が立っているのが見えた。
「「オーガだ!」」
マキとユキは叫ぶ
巨人で遠くからも見えるが近くにいるわけではなかった。
眠いがナイトも慌てて、武器を装備し体制を整える。
「逃げるんだ。俺の今の装備では倒せない。お気軽、講習じゃなかったのかよ~」
「え!え~~」
ナイトは、新人の講習にフル装備では来ていなかった。講習の森もナイトから見たら雑魚ばかり、素手でも倒せる敵。
オーガのような魔物が出てくるとは思っていなかったのだ。
ナイトウォーカーの仲間たちもお気軽装備できていた(近くにいないけどね)。
ロッフェも起こし逃げる準備をさせたが、日中の戦闘で満足に動ける状態ではなかった。
ナイトの指示で逃げることを考えるが、夜ということもあり、むやみに動いても連携も取れず、ほかの魔物も寄ってくる可能性もある。
夜中に町に帰っても、オーガを倒せる保証がなかった。町に被害が出るだけだ。
何故か、マキとユキは、先ほどのリベンジをと活きこんでいる。
「倒すまでは、行かなくても、追い返す。ダメージを与えよう。逃げても逃げきれない。」
マキは、冷静に判断する。
「ユキもそう思う。ここで食い止めるしか手はない。」
「ナイトさんもそれでいいですか?」
マキとユキは、覚悟を決めたのか顔つきが変わる。
ナイトもいるし、ユキもいる。今の段階であきらめるより、戦った方が生き延びられると考えたのだ。
マキは、魔法で応戦する。ユキも合わせて魔法で応戦するが小ダメージだ。
「オーガの弱点は、足だ。足が動けなくなれば、あとは囲んで攻撃し放題だ。片足を重点的に狙え!」
ナイトは、マキとユキに指示を与える。
ナイトも応戦はしているが、武器が弱くダメージを与えられない。オーガの防御力は高いようだ。
マキとユキは、魔法で応戦している。
「マキちゃん、さっきやったやつもう一回できる?今度こそうまくやる」
ユキは、意気込む。合わせるかのように、マキもうなずき、二人は手を取る。
今回の講習でためたスライムの魔石を3つ取り出す。
3つの魔石を手に持ち、それを魔力で包み、分解して見せる。一瞬あたりいったに魔力は広がるが、それをマキは制御する。
「3つ分の魔力はさすがにきつい。」
なんとか制御した。マキの周りに集まり、漂う。
辺りはすごく思い空気となる。
「ユキ!準備はいい?」
怖いほどの、魔力の密度に量。魔力が感じされる者なら息するのも苦しいレベル。
それをマキは、操作しユキへ流す。
と同時に、ユキは、貰った魔力を片方の手に集め、より密度を高め、無駄なく魔力を魔法に変換、風魔法へ変える。
さらに風の空気を圧縮研鑽し暴風のようにし、より鋭利にすると雷へと変化する。
バチバチ音を立て、集中力がかけたのなら自分も吹き飛びダメージ受けそうだ。
「サンダーランス」
ユキは、雷を槍に変形させ、オーガに穿つ。
「うがぁ~」
オーガにそれが命中する。
足は余裕で吹き飛び、オーガは倒れこむ。
さらに全身に電気が襲い、オーガは焼け、崩れ魔石となる。
「やったな。二人ともすごい威力だ。」
ナイトは、二人の魔力を集め討伐したと思っている。
そして、討伐したことを褒めて称える。
「オーガの素材がー」
ナイトは、泣いているが、マキとユキは、倒れこみ安堵した。
「やったーたおせたー」
「こんな浅い森に、オーガが出現する報告は、聞かない。何か良くないことが起こる前兆なのか?
もしかしたら、スタンピードが発生するかもしれない」
ナイトはつぶやく。
あとで、魔石を確認したら、オーガの変異種であったことが分かった。
アクアオーガのようだった。雷属性で効果倍増だったようだった。
次回の投稿は、1月5日を予定しております。
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