すべてに驚く
ある日の夜
クウィとマキは一緒に寝る。
夜も深まり辺りも寝静まったころ。
「クウィ~!(時空間魔法発動)」
マキを飲み込み、別の空間に連れていく。
「ん・・あれ?ここは?」
マキは、目を覚ます。
家で寝ていたはずなのに、なぜか草原に寝ていた。
あたりを見渡すと、草原が広がり、空はクウィと同じ青い空が広がる。
遠くを見ると、空の色に溶け込んでいたのかそこにはクウィの姿があった。
「クウィもここに迷い込んだの?ここはどこ?」
話すわけでもないだろうが、マキは、クウィに話しかけた。
すると、クウィが話す。
「初めまして、育ててくれてありがとう。この空間は、私の魔法の時空間魔法で作った世界。私の思い通りの世界。安心して」
話すことももちろんだが、生まれて間もないのに、流暢に話すことに、マキは驚いた。
「クウィと話すことができるなんて。」
マキは、感動する。
クウィは語りだす。
「私は星獣、星の記憶を持ち生まれた。生まれたときから、卵には魂が宿りなんとなく意識があったわ。
あの時、母のスカイクジラがドラゴンに襲われ応戦していたの、ドラゴンの攻撃から母の背中から落ちてしまって、そのまま、地面に激突し死ぬ運命にあったものが、
偶然にも魔物に襲われ、その攻撃の衝撃がクッションとなって地面に落ちても卵が割れなかった。
さらに拾われなかったら、魔物にそのまま食べられ死んでいた。だから、助けてくれたマキには感謝しているわ。毎日一定量の魔力ももらって育てて貰えた。
日々のマキの言葉が聞こえ、少しづつ言葉を覚えたの」
「そういえば、いつか卵の時すごい多い魔力を得たときもあったわ。あの魔力はおいしかった。空の上では味わえない、プルンとした冷たい魔力。
マキのとはちょっと違うけど、なんか安心して食べることができた。また食べたいな。」
クウィは卵の頃からも記憶があり、人間の言葉をそばで聞いて、覚えたようだった。
「いつだろう?うーん??」
マキは、悩んでいた。
「あ!あの時かなぁ?部屋一帯に魔力を放出したときだ!スライムの魔力は、スライムそのものの魔力なんだ。」
ポンとうなずき
「なるほど、本で読んでた。魔核の周りに魔力が集まり、そして魔物になると、だから、スライムの魔石は、スライムを形作るような味なのかな?。不思議だな。」
「クウィは、魔石って食べれたりするの?ごはんは魔力でもいいの?」
マキは、興味から聞いた。
「魔石は直接食べることはできないわ。ただ、あの時のように魔石に内在する魔力を開放してくれれば、そのまま吸収できるかもしれないわ。
マキの近くにいれば魔力を少しもらえて、食べ物を食べなくても生きていけるけど、マキと一緒に生活し文化を知ってみたいわ。」
「スカイクジラの一族は、ほとんど地上に降りない。寝ているときも浮いて寝られる。空には外敵が少ない。
たまにドラゴンと空域争いをするぐらい。基本、争いを好まない種族。」
マキは、有用なことを聞いた気がした。
「この世界では何ができるの?」
「この世界は、私の世界。モンスターも召喚できるし、素材も集められる。まだ、幼体で草原しかないけど、
少しモンスターと戦ってみる?今ならきっと倒せるはずですわ。安心して、ここでは死んだりしないから!」
クウィがそういうと、スライムが出現する。
あわててマキは、武器がないので、魔法で応戦する。
「アイスアロー」
ユキと練習していたこともあり、空中に氷の矢が現れ、スライムめがけて飛んでいく
上手く命中して、スライムが消えていく。
「やった、倒せた。ここでは魔石は落ち落ちないのね」
ちょっとがっかり。
「まだ、私も弱いからそこまで再現できないわ。さぁ、気を取り直してどんどん行くわよ。クウィ~」
今度は、オークが現れる。
オークは初級者殺しの魔物。こいつを倒せるようにならないと、冒険者になんかなれないぐらいの指標魔物。
さっきと同じように
「アイスアロー」
上手く当たったが、ダメージは少ないようだ。
「もっと鋭いイメージで、魔力も込めないとダメだわ。オークは火が弱点よ」
クウィがレクチャーをしてくれる。
「鋭いイメージ、強いイメージ、火、炎、火炎」
「フレイムランス」
大きい火でできた槍が姿を現し、オークめがけて飛んでいく。
オークに当たると、突き抜けて炎の槍は消え、オークも燃え尽きる。
「クウィ!やったよ」
初めて倒した魔物にマキは、喜んだ。
すると、クウィは、
「今日はこのぐらいかな、魔力が尽きてしまうわ。」
そういうと、クウィはこの世界からすっと消え、マキもベットの上に戻っていた。
「クウィの能力はすごいわ。」
魔力も減ったクウィは、マキの横で寝ていた。
マキは、興奮してクウィを撫でていたが、戦闘で魔力を使ったせいか疲れて寝るのだった。
(ちなみに、クウィは、皆が愛してやまないもふもふではない。ツルスベひんやりタイプだ。
超高級シルクのようにすべすべ)