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聞きなれない魔石師との奮闘記  作者: さんご
成長と旅立ち
13/75

錬金術のお勉強

本日は、申し込んでおいた錬金術講習の日。

レンには聞いて独学では錬金術を学んできたが、本格的に講師をつけてはなかったので、うれしかった。

今日の講義を聞いて学べば、何か得られるものがあるかなと期待を膨らませていた。


時間前に、ギルドに到着し、ギルド職員に話しかける。


「あの~。錬金術の講習を受けに来ました。」


「はい。大丈夫ですよ。実験棟の部屋に集合してください。」

「わかりました。追加でユキもお願いできますか?」

「はい、枠があいてますから大丈夫ですね。一応、ギルドカードを見せてね」

ユキは素直にギルドカードを見せて、登録済みであることを確認する。

「大丈夫そうね」

「ありがとうございます。」


先日ユキもギルド登録を済ませてあるので、問題なく参加できた。

こんなやり取りをして、実験棟までてくてく歩いて着いたらあっというまに、講習の時間になった。


講習は、実験棟の二階にある講義室で行われるようだった。

講義室は、錬金術で使う器具や鍛冶などで利用する器具が置いてある。そんな中で行われた。

本日の参加者は、4名だった。

はじめは、簡単な自己紹介が行われた。


「マキです。錬金術に興味があり参加しました。」

「私はユキ。魔術師ですが友達と一緒に勉強したくて参加しました。よろしくね。」

「俺は、クォーツ。祖父が錬金術師で後継ぎとして、勉強のために」

「カエデは、カエデ。あれ?えっと、魔具生成のスキルを得たので、あ!聞かなかったことにして(´;ω;`)ウゥゥ

 磨きたくて参加しました。皆さんよろしくお願いします。」


マキの第一印象

カエデは、かわいいがポンコツ感が半端なかった。

クォーツは、熱血っぽかった。


「私は、マテリア。錬金術歴20年の素材屋も営む錬金術師よ。素材が欲しかったら私のお店「マテリアル商会」をごひいきにしてね♡」

男性受講者に向けて、ウインクをする。クォーツは、大人の女性の色気に一発でノックアウトされたようだった。


女性陣は、ざわついている。一人しか男性いないからな。しょうがない。


「おばさんが、なにやってるの!」

カエデが、小さい声でぼそぼそいっているのを聞いてしまった。


「では、さっそく初めましょうか。まず錬金術の基本から!」


マテリアは、錬金術の基本を説明した。

錬金術の基本は、「分解」「錬成」「再構成」が必須となる。

魔導士系のスキル持ちであれば、比較的覚えやすいらしい。

薬草でも持ち分解をイメージし繰り返し、魔力を手に集中させ放出をすると通常スキルとして生えてくると説明を受ける。

近いスキルがなくても、訓練次第では使えるようになる。


みんなそれに従い、分解をイメージしながら、魔力放出をする。

マキはというと魔石師は錬金術師の下位劣化?なので、合成は元々できたこともあり、問題なくクリア。

言われた通り、何度かみんなと練習したら通常スキルの「分解」取得していた。

基本スキルということもあり、みんな数回やれば生えてきたようだった。


次に、「錬成」。こちらも、先ほどと同じではあるが、分解したものの効果を高めるイメージで魔力放出を行うと生えてくると説明を受ける。

ポーションを作りたいのであれば、より回復するように、素早く回復するようにイメージすると「錬成」になるようだ。


最後に、「再構築」。こちらも、同じではあるが、「錬成」した物をどこかに定着させるイメージする。

ポーションの場合は水の中に再構築して溶かし込むイメージで魔力放出を行うと生えてくると説明を受ける。


みんなそれぞれ、基本スキルとゲットしていく。


カエデの魔具生成は系統が微妙に違うのか?ポンコツなのか?覚えるまでに時間はかかったが、みな覚える事ができた。


「ここまで、できたらいったん休憩しましょう。」

ということでいったん休憩となった。


何故か、カエデに話しかけられる。

「マキさん、さっきからちらちらカエデを見てたでしょう。上手くできているからってそんなに見たら恥ずかしいわ」

ポンコツ過ぎて、視界に入ってしまっただけで、大人対応を発動する。


「ごめんなさい。あまりにも目立っていたのでついつい。危険が起きたらすぐ避けなければいけないし」

「どんな危険よ。教室で危険なんかないわ」

「確かに、ポーションで危険はないわね。失礼失礼。魔具師さんでよかったの?」

ポンコツが、危険でもし失敗して爆発でもしたら避ける必要があるためだとは、言わないようにした。


「そうよ。魔具師よ。まだ、一度も作ったことはないけど、今日のお勉強で少しはコツをつかんで作成に役に立てるんだから」

「どんなのが作れるの?」

「魔法が使えなくても、炎が出せる道具であったり、旅や冒険に役に立つ道具よ」

「なるほど、私も、合成しかできないの。一緒に頑張りましょう。」


そんなやり取りをしている間に、休憩は終わった。


「みんな仲良くなったようなので、休憩は意味がありましたね」

謎の言葉をマテリアは言う。


休憩も終わり、後半の講義となった。

「では、後半は二人一組でやっていきましょう。マキさんとカエデさん。クォーツさんとユキさんペアになってくださいね。」


クォーツは不満そうなのは内緒です。(魅了かかってますので)


「ペアになったら、今度はそのペアでポーションを作りましょう。やることは、さっきの「分解」「錬成」「再構成」です。

ポーションに必要な素材は、簡単です。きれいな水、薬草、魔力、あと…秘密です。♡」

何故か、クォーツに向けてウインクする。(もう完全に魅了かけています。)


もうすでに準備してある、水と薬草を「分解」「錬成」「再構成」を行い、魔力をプラスしてポーションを作るようだった。


「できたら、相方に飲ませて上げてください。失敗したら死んじゃいますので気を付けてくださいね。間違っても変なものを入れないでくださいね。クスクス」

「え!!」


みんな驚く。最後のレシピも教えてもらっていない。

さらに、飲んだら死ぬの?ポーションって回復薬じゃないの?とマキは思いつつも重大なことに気づく。

そう、ペアはあのポンコツのカエデ。死は免れそうにない。まーでも失敗するとは限らないし、やるしかないのだ。


「カエデさん?し・し・失敗だけはしないでね。お願いしますね」

「マキさんやだ。カエデは失敗しないよ。こう見えても、魔具生成なんだから!ケラケラ」


無駄にフラグを立ててしまったと後悔する。確かに、魔具師も錬金術を使って物作りをする。

作れはするが、魔具師は、錬金術にそこまで長けていないのが一般的であった。


マキは、問題なくポーションの作成に成功するが、最後のレシピは何だろうと思いにふける。

悩んでも、考えても何もわからなかった。そもそも、このペアでやる意味って何だろうと思っていた。

味見をしてみても、少し苦いが毒ではなさそうなので、カエデに飲ませても問題ないだろうと判断した。


一方、カエデの方はというと

一生懸命作っているようだったが、なぜかこちらをチラチラ見ている。

よそ見してないで、しっかり作ってねと思いつつも暖かく見守る。

できたものは、それなりのものだったが、近くで見ると液体の中に固形物があるし、匂いもおかしい。

さらに、色も自分と作ったもの(薄い緑)とかなり違う色(黒緑)だ。

これ飲むのか~と思いつつも、マテリアの講習でもあり従う必要がある。


「みんなそろそろできたかな?こんなのができたら成功よ」

マテリアは、自分が店に出している物をみんなに見せる。

綺麗な薄緑(たぶん草の色)をしている液体を見せる。

クォーツもユキも多少色の違いはあるが、同じ色だ。カエデだけなぜか、緑色ではなく黒といった方がよい色だ。


「お父さん、お母さんこんなところで死んでしまってごめんね。」と心の中でマキは思いながら飲んだ。

「ぐわーーー?あれ?甘い?けど苦い。だけど息ぐるしい。はぁはぁ」

何とか生きていた。

やばかった。もう少しで天に召されるところだった。


カエデはというと、マキが作った物を飲もうとしていた。

「カエデへの初めてのプレゼント♪初めてのお友達♪薄緑でエメラルドみたい。」

なんか変な解釈されているが、一気に飲み干す。

「おいしい。私が味見した自分のと全然違う。体も軽くなる。」

「あれ?何も入れてないけど?甘かった?普通の草の味しかしなかったけどな…」

マキは不思議に思ったが人の味覚はそれぞれだ。甘い気がしたのだろう。と思っていた。


「はい。なんでペアになってポーション作りしたか、わかった人いるかな?」

マテリアは、言う。

みんな考え込む。


マキは、気になっていたので口を開く。

「先生、最後の秘密のレシピを教えてください。秘密がわからなかったので、まだ、完成形じゃないはずです。」

「それは違うわ。みんな秘密をちゃんと入れているはずよ。それが分からなかったマキさんは残念ね。」

「え!いったいなんだったのでしょう?みんなも知りたいよね?」


カエデは、言う。

「マキさん、本当にわからないの?錬金術師にはなれませんよ。」

「錬金術師ではないけど…」


みんな気づいた様子だった。

「え?あれ?私だけわからないの??」


カエデは答える。

「みんな相手のことを考えて、作っていたはずだよ。

 ポーションは自分で飲むときもあるかもしれないけど、たいていは、人のために使うもの。魔具だって同じ。

 相手が怪我をして飲むのを想定する。早く治ってほしい、楽になってほしいとかね。だから、秘密のレシピは思いよ。愛なのよ。一つおりこうさんになったね。」


カエデがとてもまともなことを言っている。

「あれ?私のポーションに変なのいれてないんだけどな…」


マテリアは激怒する。

「マキさんそれは失礼じゃない?。カエデちゃんが正解よ。秘密のレシピは、愛よ。

 冒険者が持っていくポーション。ポーション1つで生死分ける時だってある。だから、飲んだら死ぬかもっていったのよ。

 だから、今回マキさんだってカエデさんが死なないように思ったはずよ。

 危険な冒険を考えれば、錬金術師は、少しでも回復するように、少しでも元気になるように思いを込め、努力するはず。

 そうしたポーションが良いポーションで効果が高くなるの。

 傷に効く薬を作るだけなら、薬草を混ぜた水でも飲ませておけば十分。錬金術はいらないわ。

 何のために、一度薬草を分解し、そして錬成し効果を高めるのか?再構築して飲みやすくするのか?

 ちゃんと考えなさい。次までの宿題よ。」


みんなうなずいている。


マキは、心を打たれた。

確かにその通りかもしれない。仲間が傷付いたときいち早く傷が治るように思って薬を作るだろう。

それが愛かはわからないが、治るイメージを強く持って作るに決まっている。


スキルで作れれば楽だとか、思っていたけど、違っていたのだ。

みんなはいち早く気づき自分が全く気付かなかったことに反省した。

錬金術も奥が深いし、イメージ、思いが重要だと改めて理解した。


なんとか講習も終わり、今日習ったことを心に刻み忘れないようにした。


講習が終わった後の話だが、

クォーツは、マテリアのありがたい話を聞き何か思い立ったのか、もう一度作りたいことを進言し、相手を深く思いポーションを作成したものをマテリア先生に手渡すのだった。


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