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第13話(英雄王爆誕)

 そんなある日、一族をまとめていた長たちが、俺の元にやってきて、その中の1匹が代表として前に出てくる。


「グレン様、我々をこのように安全な場所に住まわせて頂き、大変に感謝しています。その上、特に指示も命令も作業も負わせずに自由にさせてもらって、ただただ頭が下がるばかりです」

 そう言って、本当に頭を下げる。


「ん?普通だろ?」

「普通じゃないですね……色々と。グレン様は危険な野獣が領内にでれば、我先にと1番にすっ飛んで行って、皆の安全を守っているにもかかわらず、代償などを求めてませんからね。普通はそういうことをする代わりに、食べ物や質のいい寝床の草などの貢物を要求するものです」

「んなの、自分や仲間で取りに行けばいいじゃねーか」

「それはそうなんですが、統治者というのは得てして、そういうことをしないものなのです」

 俺は言っている意味が判らんとランスロットに聞いてみたところ、そういうものらしい。


「そうなのです。代償もなく守ってもらっている。それは守ってもらう側からすると、ただただ不安が募るばかりなのです。気紛れでいつ追い出されるかわかりませんし、守ってもらえなくなって一族が離散する可能性も考えてしまうからです」

「そんな酷いことする気はないんだがなぁ」

「長たちの言うことの方が正しいです。守ってもらう代わりに貢物を差し出す。逆に言えば貢物を差し出す代わりに守ってもらいたい。ってことなのですよ」

 長たちの言葉をランスロットが判りやすく説明する。うん、よくわからんが。


「あ、はい。口に出すのはちょっと憚られるのですが、ランスロット様の言う通りなのです。どうか我々に貢物を献上させては頂けないでしょうか」

「そりゃまぁ、貢いでくれるって言うのを断る理由はないが……」

「なので、親衛隊を拡張して警備隊などを作り、貢物をその部隊に分配することで、採取を行わない戦いだけに専念する部隊を作り、周辺を警備させれば、すぐに危険な獣にも対抗できますし、強敵が現れた場合、すぐにグレン様へ連絡を取ることも可能になるんじゃないですか?」

 ランスロットが前から考えていたのか、スラスラと新しい仕組みの事を話し始める。


「おぉっ!それはとてもありがたいです!!我々は年寄りや子供が多いので、そういう部隊を用意して頂けるんでしたら安心して過ごせます」

「という事で、どうですグレン様?フラン様も喜びますよ」

「ん、まぁよくわからんが、俺がみんなを守れて、フランが喜んで、みんなが幸せになるんだったら良いんじゃないか?」

「おぉ!!ありがとうございます。ありがとうございます」

 長たちが一斉に頭を下げる。


「納得してくれたのは良かった。じゃ、これでいいか?」

「あの……いや、その……」

「ん?何だ?まだ何かあるのか?」

「えぇ、すみませんが……そういう事でしたら、我々の王になってもらえませんか?」

「ふむふむ、王ね……え?王?!」

「あ、はい。貢物も献上しますし、我らを纏めて下さる王として起ってもらえないかと」

 俺が王?シュツルムズィーゲン皇国の第3皇子とはいえ、風来坊の俺なんか王には相応しくはないだろう。


「そうですね。そろそろ頃合いだと思ってました。なっちゃいましょう、王に」

 ランスロットが簡単に言う。


「ちょ、ちょっと待て!俺だぞ?俺が王?!」

「別に何が変わるわけでもないですよ。今だって実質、王みたいなもんなんですから。下手な王より、よっぽど王らしい、むしろ英雄王みたいなことになってますから」

「え?そうなの?」

「そうですよ……ねぇ?」

 俺がワタワタとしながらランスロットに言うが、ランスロットは平然と返し、長たちに問う。


「はい。紛うことなき英雄王と言えます」

「あ、そう……」


 こうして俺は流されるまま王になってしまうのだった。



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