第12話(手に入れた平穏)
拠点を確保した後、コジューローがどんぐり傭兵団の仲間を呼びに戻る。その間に俺たちは、ウルヴァリンの死体を森の中に弔い(置き捨て)、その後は数多くある岩山の割れ目を確認する。
「かなりの数、居住できそうだな」
「そうですね。今まで天敵がいて手が付けられていなかったから、食料も豊富ですし、水場も近くて、滅多にない優良地ですよ」
「私たちの城より立派だわ」
「ですな。姫が住むのに相応しいところです。コイツさえいなければ!」
俺がランスロットに話しかけると、的確な状況分析を行ってくれるのだが、ジェームズが噛みついてくる。
「とりあえず中央の岩山の一番上の穴がグレン様とフラン姫の住居ですね。周りの岩山にどんぐり傭兵団を潜ませておけば、防衛は何とかなるでしょう」
「あんな真ん中の一番上?素敵っ!」
ランスロットが勝手に住む場所を決めると、フラン姫が目をキラキラさせながら声を弾ませる。というか、フラン姫は俺と一緒に住むことに違和感を覚えていないようだ。やるなランスロット!
「私はその斜め下の穴にさせてもらいましょう。いざという時にグレン様をお守りしないといけないので。でジェームズさんは、私と反対側の穴で」
「ふ、フラン姫がコヤツと一緒なのは認めがたいですが……場所としてはフラン姫にも近いし文句はありませぬな」
「更にジェームズさんの下あたりの穴に、出来ればオサムネがいてくれると万全ですね。どんぐり傭兵団の首領としては、そちらにいた方が良いのかもしれませんが」
「いや、アニキとジェームズのジイさんを守る役割だろ?任せてもらうぜ。コジューローは更に俺の下な」
ランスロットが更に勝手に決めていく。まぁ異論はないんだが……ないんだが、なんか悔しい!!とはいえ、それだけ入ってもまだ上から4分の1くらいなので、40世帯くらい入る大きな岩山だ。周りはもう少し小さいとはいえ、この岩山地帯だけで200世帯くらいは生活できるだろう。さらに周辺の森の中などを加えれば、優に1000世帯を賄える土地となろう。
場所決めを行った後は、乾燥した草などを周辺から集めて、住居の寝場所に敷き詰める。そのついでに大量の木の実も集めることが出来たので、作業が終わった後はみんなで揃って木の実を齧った。
俺は念願のフラン姫との蜜月タイムだったのだが、ウルヴァリンたちと戦ったせいか、酷い疲労による睡魔で、あっという間に眠りに落ちてしまうのだった。
次の日になると、コジューローに連れられてどんぐり傭兵団がやってくる。そして、ウルヴァリンの住処に近いほうの岩山に、ほぼ全員の居住が決まる。ただ、俺に勝負を挑んできたアルゴチュだけは、親衛隊の1人として俺たちの住む岩山に居住することになった。
オサムネとコジューローも親衛隊に入ってしまったので、どんぐり傭兵団はオサムネと一緒に傭兵団を立ち上げた腹兄弟のシゲムネが引き継ぐことになった。
拠点を作ったからといって大人しくしてる俺ではない。数日後には親衛隊を引き連れて、自分の城の周辺を平定しに出発する。ウルヴァリンの突然変異種である呪怨が一帯を治めていたこともあり、呪怨以上の強さの野獣はいないようだが、それでも跳びネズミには脅威になる野獣は多いはずだ。そいつらに、俺たちの強さを早めに知らしめることで、俺たちの仲間に手を出せないようにしておきたい。
自分たちの行動範囲にいる野獣を把握し、襲ってきた野獣は返り討ちにしつつ、あらかた周辺を平定し終える頃には、噂に敏感なハグレ跳びネズミたちが現れ始めた。
さらに月日が進むと、安全で過ごしやすい国があると噂を聞いた一族の斥候役などが訪れるようになり、一族ごと配下に加わるケースも増えてきた。たまに俺の方を支配しようとするやつもいたが、そんな奴らは一撃で沈めて平伏させ、腕の良かった奴は親衛隊に組み込んでいく。
そんな事をしていたら、俺の領地に住む跳びネズミの数が勝手に増えていき、生まれた子供が採取に行けるようになる頃には500世帯、1000匹を超える跳びネズミの数になっていたのだった。




