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第11話(超絶形態への目覚め)

「というわけでちょっくら行ってくるわ」

「なるほど、ではオレも用意するぜ。おい、コジューローも準備しろ!!」

「承知っス!」

 新しい拠点を探しに行くことを伝えたところ、当たり前のように同行しようとするオサムネとコジューロー。また団体行動になりそうだ。


「そこが言う通りの良い場所なら、こいつらも移動させた方が良い。場所を確認次第、コジューローを伝令として走らせればアニキたちがここに戻ってくる手間が省けるってもんですぜ」

「なるほど、冴えてるな。オサムネ」

「へへっ、それ程でもないでさぁ」

 ちょっと嫌そうな顔をした俺に、そう語るオサムネ。確かにまた戻ってくるのは手間だ。


「また使いっぱしりっスか。一人で移動するのも危険なんスよ?」

「あぁ、だからお前にしか頼めねぇんじゃねぇか、期待してるぜコジューロー」

「お頭……」

 何というか、オサムネは部下をその気にさせるのがうまいよな。


「グレン様が無頓着なだけです」

「ロンスロット!また俺の心の声を読んだな!!」

「わかりやすいんですよ、グレン様は……あと、ランスロットです」

 相変わらず淡々としてるなランスロットは。


 そして、いつものメンツである、俺とランスロット、フラン姫と道案内のジェームズ、オサムネとコジューローで、候補地に向かうとする。昼間は危険な獣が活動していることが多いので、日が暮れてからの移動になる。


 幸い危険な獣には数体しか遭遇せずに、目的の場所についた。遭遇した数体の獣は、俺たちに襲い掛かって来たのだが、とりあえず回転烈火撃(グレンダッシャー)をぶちかまして撃退することができた。


「技出した時、なんか光ってませんでした?」

「確かに以前より威力が強くなっているようだぜ」

「さすがアニキ!!」

 なんか俺が気合を入れて技を出すと、光の(つぶ)が立ち上るのだ。身体に異常はないが、何なんだろうか?これ。


 ジェームズに案内されたそこは、森の中にありながらも、山のような岩が幾つもそそり立つ場所だった。岩の所々に亀裂があり、俺たちであればその中で過ごすことが出来そうだ。周りの森も呪怨(ジュオーン)がいたせいか、採取されていないようで木の実などの食料も大量に確保できそうだ。また少し離れたところには水場もあり、確かにジジィが言っていた通り生活するのに適した場所だった。

 だが、その岩山には、嫌な臭いでマーキングされているのが薄まっておらず、奴らが巡回していることを示し、力の弱いものが住むのに適さない状態だった。


「この臭い。まだ近くに居やがるな」

「間違いなく居ますね」

「奴らか……面倒くせぇ」

「やっぱりウルヴァリンっスね」

(じい)……ここは危険じゃないの?」

「えぇ、やはりまだ、時期尚早でしたか……」

 俺たちが小さな声で呟いていると、岩山の頂上にのそりと四つ足の獣が現れる。それも5体。


「ちょうどいいじゃねぇか。いい機会だから全滅させてやる」

「そう気を吐けるのはグレン様だけですよ。他はほら……」

 俺が煌々とした目でウルヴァリン達を睨みつけていると、ランスロットが周りを見ながら、俺を制す。確かに他のメンツは、もう駄目だと言わんばかりに固まってプルプルしている。


「んー。でも俺、今負ける気しねぇんだよな。お前ら森の中に隠れてろ、全部俺がやる」

「そういう訳にもいかないでしょう。一体くらいは引き受けますよ」

 俺が一歩前に出ると、ランスロットも横に並ぶ。


「お、おぉ……すまねぇ、ちょっとビビっちまった。オレたちも1体くらいなら……なぁコジューロー」

「はぁ?無理っスよ。普通に考えたら。あん時、何とかなったのは奇跡みたいなもんスから!」

 体を震わせながらも一歩踏み出すオサムネと、固まっているコジューロー。まぁ天敵を目の前にしたら無理はないわな。


「逃げもせずに威勢のいい餌がいるな……狩りを楽しめないのは残念だが、丁度小腹が空いていたころだ。ありがたく頂戴するとするか」

 どうやらリーダーらしい一体が俺たちを舌なめずりしながら見下ろし、襲い掛かるために力を溜める。


「行くぞっ!!」

 そう掛け声を上げると、ウルヴァリンたちが岩山から躍りかかる。


「はぁ、貴様らバカか?」

 こちらを見くびって、身体のサイズや爪や牙の鋭さなどの身体的優位で過信し、何も考えずに飛び掛かってくる。そんな何の捻りもない力に頼った攻撃を食らうと思っているのか?


「いや、普通の跳びネズミ(ラニー)だったら逃げまどって反撃もせずに捕食されるだけですからね?」

 俺の考えを読んだランスロットが、素早く突っ込みを入れてくる。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!」

 俺は全身に気合を入れる。


「ア、アニキ!それは?!」

「グレンの身体が金色に光っている?!」

 オサムネとフラン姫が俺の身体を見て驚く。


「俺のこの身を烈光と化して!今必殺の!!烈光螺旋撃(グレンマッシャー)!!!」

 俺は溜めに溜めた力で、体を捻りながら地面を蹴る。天地反転したかの如く地から天へと立ち上る稲妻と化した俺が、無造作に躍りかかったリーダー格のウルヴァリンの身体を突き抜ける。そしてクルッと身体を回して、頭を下に向ける。その俺の足元に光が集まり円陣が生まれ、その円陣を足場として蹴り出す。

 今度は天から地を劈く稲妻のように、光の残像を残した俺が、もう1体のウルヴァリンに迫り、そいつの脊髄をボキリと叩き折る!!


 一瞬でリーダーを含め2体を沈められたウルヴァリンたちは何が起こったのか理解できずに、着地したまま固まっている。

 脊髄を折られたヤツを踏み台にし、俺は大きく跳ねると光り輝く体毛で彗星の尾を描きながら、近くでフリーズしている3体目の脳天に、回転踵落としを放つ。


ベコォッッッ!


 鈍い音がして3体目のウルヴァリンの脳天が凹む。そいつを蹴り飛ばし、目を白黒させている4体目に接近すると、俺は全身に漲る力を右拳に集約する。


 4体目のウルヴァリンの懐に入り込むと、俺はその拳を無防備な腹に叩き込む。


「俺の(こぶし)よ!輝き吼えろ!必殺!!閃烈破砕拳シャイニング・ナックル!!!」


ドゴゴアァァァァッッッ!!!


 目が眩むような光の塊となった俺の拳が、ウルヴァリンの腹で閃光と共に轟音を上げて炸裂する。


 4体目の腹から噴き出した血を浴びながら、俺は5体目のウルヴァリンに目を向ける。


「な、な、な、なんなんだ……このネズミは……?!」

 5体目のウルヴァリンは驚愕の表情を浮かべて、1歩2歩と後ずさると、そのまま身を翻して逃げ出す。

「グレン様……」

「う、嘘だろ……」

「信じられないっス」

「グレン……貴方は一体?」

「な、なんという……」

 俺の身体の輝きが収まった後も、絶句しているランスロット、オサムネ、コジューロー。フラン姫とジェームズも同様だ。一瞬の間に4体のウルヴァリンを葬った俺の異常さに言葉もない。流石にやり過ぎたかと思っていると……


「さ、流石(さすが)はアニキ!オレの見込んだ(おとこ)だけはあるぜ!!」

(すご)いっス!(すご)いっス!(すご)いっス!!英雄っス!!」

「グレン様、見事な勝利です」

「まさに勇者と言っても過言ではないわ!!」

「このジェームズ。驚きを隠せませんぞ!」

 何故か称賛の渦が生まれる。


「え?ちょっ?おまっ!……俺が不気味だとか怖いとかないの?」

「え?だってグレン様だし。光ったのは吃驚しましたが、いつも崖上から跳び蹴りしてるじゃないですか、そんなもんでしょ?」

「ちょっと光って超絶形態(スーパーモード)になっただけじゃねぇか」

 俺の不安も何のその、ランスロットとオサムネはすんなり受け入れたようだ。


「それより、1体逃げて行ったけどいいの?」

「あれはわざとでしょう。あんな圧倒的な力を伝えらえたら、ウルヴァリン共は二度とここに近寄ってこなくなる……それを狙って、わざと逃がした……ですな?」

「あぁ、そうだ。これでこの地はしばらく安全だろう」

 フラン姫の疑問にジェームズが答える。それは俺の考えと一致している。


 こうして、俺たちは自分たちの拠点を確保するのだった。



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