波物語騒動に思う
ネットの記事を中心に書いているため、間違った情報があるかもしれません。
また、作中、フジロックへの言及がありますが、波物語運営との対比としてのものであり、作者がフジロックを擁護する目的のものではありません。
フジロックに関しては開催を強行したことは反対です。
ヒップホップの国内最大のフェスが問題をおこし、いまだにその批判が続いている。
ヒップホップの文化を20年以上に渡り愛してきたヘッズの一人としてとても悲しくつらい。ただ、当フェスを擁護するつもりは一切なく、むしろ、激しい憤りを感じている。
ここに、このフェスの何が問題だったのか、どうすればこのような批判を避けることが出来たのか、考察していきたい。
波物語は愛知県常滑市にて開催され、県による助成金を受けた地域活性事業でもあったようだ。
筆者やこの問題を知った多くの方が一番に疑問に思うところはここだと感じる、何故、このイベントに公金が投入されているのか、ということだ。
このフェスは過去にも問題を起こし、常滑市からの助成金が外された経緯があるという、それが今回は県からの交付である、到底納得のいくものではない。
審査において、公金の使用にかなっていると思わせるだけの説明をしていたとすれば、現状に則して言うのなら、詐欺以外の何物でもない。
波物語が開催された時、愛知県は新型コロナ緊急事態宣言下であった。勿論、イベント企画時はそれよりは警戒レベルが下だったかもしれないが、企画段階でも政府の示すガイドラインにそって対策を取っていることを示さなければ、助成金交付の対象にはならないはずだと思う。
音楽コンサートなど開催におけるガイドラインとてらしてもこのフェスは論外にひどい。
観客への密の回避、マスク着用の徹底、大声を出さない、移動時の動線の徹底に飲食におけるルールの徹底、はっきり言ってどれ一つ行われていない。
あれほど批判を浴びたフジロックだが、動員人数を制限し、ステージ近くで密になった問題はあったが、動線の徹底や複数のトイレの確保、抗原キットを準備し、飲食は専用ブースを作っていたようだ。
フジロックは音楽コンサート開催におけるガイドラインに出来るだけそって対応したが、一部の心ないマナーの悪い観客や、そもそも論として開催そのものを巡って批判が殺到した。だが、最低限、助成金交付を受ける事業として打つべき対策は打っていたのだ。
たいして波物語は、事前に仕入れてしまったから、というふざけた理由で酒類を販売するなど、対策を打つ気すら無かったと言わざる得ない。
そもそも、何故、酒類を仕入れる必要があったのか、音楽イベントを通じて地域活性に役立てたいと言うならば、この状況下でアルコールの販売など容認されないのは目に見えている。
観客がマスクを外して密になって騒ぎ、一部の出演者がそれにステージ上から苦言を呈したことも話題になっているが、もし主催者がここでイベントを即時中断し、対策を徹底していればまだしも、煽りを入れる出演者を止めもしなかったことでも、運営側にコンプライアンス意識が無かったとわかる。
企画運営に関わった会社は、代表を初めとして担当者に至るまで誰一人として公の場での釈明を行っていない。そして、この会社は現在、HPが閉鎖され電話も繋がらないそうだ。
私はコロナ以前まで友人と細々と月一回の音楽イベントを地元の宿泊施設の好意で開催していた、コロナ以降、イベントは無期延期から今ではほぼ再開は絶望的な状況になってしまった、バンドリーダーである友人はリモートなどを活用した活動を仕事をしながら続け、音楽スキルの向上にも前向きだ、本当に頭がさがる。
少し前、なろうにて波物語の問題でヒップホップへの情熱を失ったというエッセイを拝読した。
作者の方は青春をヒップホップとともに過ごし、成人後はカルチャーの普及に担い手の一人として携わった経験もある方だそうで、そこまでいけば、彼にとってヒップホップは自身の一部といって差し支えないのではと思える程だ、そんな人物がヒップホップへの幻想がなくなり、夢から覚めた思いだと書いていたのだ。
どれほどの悲しみや憤り、悔しさがあったのか想像につくしがたい。
感想にヒップホップが悪い訳ではないので、どうかご自身の人生を否定なされぬようと、厚かましくも寄稿したのだが、返信にて丁寧に感謝を伝えて頂いたものの、「子供に胸を張って言うことが出来なくなってしまった」と書いてあり、涙が出る思いだった。
何故、情熱を注ぎ、一生懸命に仕事の合間に心血を注いだ大事な物を「子供に胸を張って言うことが出来ない」などと言わなければならないのか。
今回のフェスの運営会社は度重なる問題にも改善する気持ちなく、懲りもせずに助成金を受けてイベントを行った訳だが、彼等にあったのは金勘定だけだったのは疑う余地もない。
多くの人が、なんとか音楽の発表の場をと、共に音楽を共有する場所をと懸命に努力し、人生すら賭けている中で、彼等はその行為に泥を塗り、投げ捨て、踏みにじったのだ。
弱者の側から反体制を叫ぶのではなく、公金を騙しとり、弱者を自ら踏み潰したのだ。
到底、許されるものではない。
県の担当者に全く瑕疵が無かったとは言えないかもしれないが、これは公金の不正受給問題である。
自治体にはしっかりと提訴して頂き、運営会社の責任者たちはその裁きを受けて貰いたい。
お読み頂きありがとうございます。
ヒップホップを愛する人には誠実な人もいます、どうかヒップホップ好きと言うだけで批判されることが無くなるようにと思っています。