表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
37/60

37.初めての馬乗り

リファイドの元に、壁の上部から降りて来た騎士達が駆け付けて来た。

それを見た彼は、再び私を見る。


「そろそろ城に行こう」


(城に?なんで?)


疑問には思うが、恐らく私に拒否権は無い。

手を差し出された私は、仕方なく歩み寄って行った。


連れて行かれた先にいたのは、リファイドが乗って来た雪の様に真っ白な、白馬の所だった。


「この子が私の愛馬、ルースタリアです」


馬の近くまで歩いて来た私に、手綱を持ったリファイドが紹介してくれた。


(でっかい……)


ロッチアが乗っていた馬も大きかったけれど、この白馬もとても大きい。


これに乗れと?

……それは無理です!


「あのね。リファイドは先に城に行ってて。私は後から行くから」


「何か用事が?それなら、それが終わるまで待つけれど……」


「いえ、結構です。私は馬車でお城に行きますので!」


私のこの言葉に、リファイドがようやくその意味に気が付いた。


「サナは馬に乗った事がないのか……。でも、それなら大丈夫。私が後ろから支えているから心配はいらないよ」


「貴方の大丈夫は、信用出来ません!」


さっき死に掛けた事は、まだ忘れていないんですからね。

紐無しバンジーの恨みは、根深いんです!


フイッと顔を背けた私に、リファイドは吐息を零した。


「困ったな……。ルースタリア。ちゃんとゆっくり走ると、サナに約束してはくれないか?」


リファイドが話し掛けると、白馬のルースタリアは、ヒンッとひと鳴きして、リファイドに擦り寄った。


(あっ。ちょっと可愛いかも……)


そぉーっと近付いてみた私は、真っ白な馬を見つめてみた。

風に靡く長くて真っ白な鬣と、差し色が全く無い、純白な毛並み。


まるで童話に出て来る王子様が乗っている様な、とても綺麗な馬だった。

まあ、実際乗っているのも王子様だけど……。


あまりの美しさに、ちょっと触ってみたいと言う気持ちが浮かんでくる。


「触っても……平気?」


「うん、大丈夫。ルースタリア。私の大切なサナです。仲良くする様に」


ブルブルッと首を揺らして返事をした白馬に、私は恐る恐る近付いた。

そっと顔に触れてみると、優しそうな瞳が私を見つめていた。


「仲良くしてね」


そう呟くと、なんとなく彼女は瞳で分かったと言ってくれた様な気がした。


「仲良くなって良かった。それでは、行こうか」


「えっ?」


後ろから私を抱き締めたリファイドは、またしてもフワリと宙に浮いた。

馬の上にストンッと降ろされた私は、放心状態のまま静かに座っていた。


チラリと横を確認してみると、地面がかなり下の方に見える。


(馬って、こんなに高いの?)


私の顔が一気に青褪めた。

こんなに地面から高くて、捕まる所が無い不安定な座り心地の馬に乗っていくだなんて、絶対に無理!


「や、やだ!!怖い。降ろして!!!」


「サナ。落ち着いて」


「やだ!本当に怖いの!!」


パニックを起こす私を、リファイドが後ろから優しく抱き締めた。


「私の手は、いつでもサナを包み込める場所にあるから大丈夫。安心していい」


耳元で囁かれたリファイドの優しい声に、私は騒ぐのをやめて、なんとか平常心を取り戻した。


「サナが怖がるので、ゆっくり行こう」


グッと手綱を引いて、馬の向きを変えたリファイドは、軽く馬の腹を蹴りユックリと歩かせ始めた。


彼の右手は手綱だが、左手は私のお腹に固定されている。

片手運転は、車でも危ないと言う事は分かっているが、離されたらと思うと物凄く怖い。


外されない様に、彼の左腕を両手でしっかりと握り締めた。


カッポ、カッポと進む私達の周りには、周りの景色が見えないほどに、騎士の人達が取り囲んでいる。


彼らの乗っているお馬さん達が、ブルブルッと首を振り、早く行こうよ!と言っているかの様だ。


「馬の動きに、だいぶ慣れて来たね」


「そうかな……。まだ少し怖いけど、さっきよりは怖くないかも」


「そう。それなら良かった」


微笑んだリファイドは、周囲を見回した。

周りにいる馬達が、走りたがっている。


「サナ。馬達が走りたがっているので、ゆっくりとした駆け足くらいの速度にしても良いかな?」


ああ、やっぱりそうだったんだ……と、私は納得をする。

なんとなくお馬さん達が不満を持っている事は感じていたからだ。


思いっきり走られるのは怖いけど、ゆっくりとした駆け足くらいだったら良いかな?とか思う。


「うん。分かった……」


「ありがとう!」


スッと離されていく左手に、私はギョッとする。


「えっ?ちょっと、まっ……」


私から離された左手は、手綱を握り締めた。

右手をあげたリファイドは『いくぞ!』の合図を送る。

リファイドの合図を見た側近の男の人が、大きな声をあげた。


「全騎、進め!」


その声と共に、馬達が一斉に走り出した。

私が考えていた、ゆっくりな駆け足と言う速度じゃない。

馬達は、あっという間に、城まで続く真っ直ぐな道を駆け上がって行く。


城へと到着したリファイドは、風を受けた爽快感から、イケメン度増しの満面の笑みで、腕の中にいる私の顔を覗き込んだ。


「どうだったかな、サナ」


気持ちよかったでしょ?と、言わんばかりの言葉だった。

しかし私は、直ぐに顔を上げられなかった。


あまりの恐怖から、ガッチリと馬の鬣を握り締め、必死にしがみついてここまで来た。

何度落ちるかもしれないと、恐怖心を持ったかは分からない。


プルプルと震えた私は、後ろに座るリファイドを振り返り、涙目で睨み付けた。


「嘘吐き!!!!」


私の怒りの声に、また失敗した事に気が付いたリファイドの眉が再び下がった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ