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お題シリーズ2

ハッピーバースデー 火

作者: リィズ・ブランディシュカ



 ずっと前。

 私が小さかった頃は、あの人は優しかった。


 でも、職を失ってから、がらっと変わってしまった。

 お酒を飲むようになったし、タバコを吸う様になった。


 時々暴力を振るわれる事もある。


 私は辛かった、悲しかった。

 でも、我慢した。


 時間が経てば、きっとまた優しかった頃のあの人に戻ってくれると、そう思っていたからだ。


 でも、そんな日は来なかったんだ。


 私は、血にまみれた家の中をみまわして、火を放った。


 家の中が真っ赤になって、色々なものが燃えていく。


 熱くて火傷するくらいに。


 でも、心の中が暖かかった。


 だってこの赤は、幸せだった頃の事を思い出せるからだ。


 今はもうめっきりなくなってしまったけれど、私が小さかった頃はあの人が、ケーキを買ってきてくれた。


 お誕生日の記念にと、ろうそくを立ててハッピーバースデーの歌を歌ってくれたのだ。


 でも、そんな機会は永遠に失われてしまったから、せめて最後に見ておきたかったのだ。


 あの、暖かかった火を。


 ハッピーバスデー私。


 お誕生日おめでとう。


 でも、人生今日で終わりだね。


 私の人生、楽しかった時だけで終わっていればよかったのに。



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